これまでに1000冊以上は読んだアラサーライターが選ぶ、読んで面白かった本 10選
最初に断っておきます。
タイトルの通りわたしのバリバリの主観で選んでいるので、面白くなくても苦情は受け付けません。でもわたしは何度も読みたいくらい面白かった本たちです。
ちなみに文学、西洋哲学、フランス、言語、西洋史、ジェンダー、心理学、社会学あたりが主な興味範囲だと自己認識してる人間の選んでいるものです。思ったより文学多めになりました。それではどうぞ!
1.リチャード・ランガム『善と悪のパラドックス』
わたしたちホモ・サピエンスは寛容性や優しさを持つ一方、どうしようもなく暴力的で攻撃性が高く残虐だ。
「なぜホモサピはそのような性質を持ち合わせることとなったのか?」という問いに人類学や心理学、歴史学などの学問から迫る本。
読んでる間、知的好奇心が刺激されまくってさいっっこうに楽しくて脳が喜んでた。でもホモサピに対して「もう生物学的なレベルでどうしようもねえな」と思うようになったのは、ひょっとするとこれが始まりだったかもしれない。でもこの扉を開けたのはよかったし、満足した愚者より不満足なソクラテスっていうじゃないですか。とりあえずおもしろすぎて最高。
2.綾辻行人『十角館の殺人』
ええ、言わずと知れた名著です。
言うべきことはただひとつ。めちゃくちゃ面白いので、何かの間違いでネタバレを踏むより前に読んでください。
まだ読んでない人のことがうらやましいし、認知症か記憶喪失になって内容忘れたら読みたい本No.1。
3.太宰治『斜陽』
わたしは太宰が大好きなんですが、太宰のなかでもこれは神。
恋と革命への憧れで包んだ破滅願望と共に生きてるけど逞しい主人公のかず子もめちゃくちゃいいし、よわよわの直治もとてもいい。かず子も直治もどちらもわたしだ!!と思うから共感しっぱなしだし、かつ「こんなものを書ける太宰はわたしのような人間のことをわかってくれてる」というイタい気持ちにもなる本。そしてもちろん太宰なので、お話としても面白いです。ほんとうにだいすき。
最後に、大好きな箇所の引用を置いておきます。
▼こちらからでも読めます。
4.小川哲『ゲームの王国』
まず前提として小川哲氏の本は基本的にすべて、読んでる間はほかに何もしたくなくなるくらい面白いから全部ここに並べたい。でも、10冊しか選べないことにしちゃったから、何かひとつにしようと思ったらこれになった。
クメール・ルージュ期のカンボジアを題材した歴史系SFです。時期が時期だけに人がバタバタ死ぬから決して明るくはなかったし、他に特に何を覚えているわけでもないけど、なんかすごいおもしろかった!!!!ってことだけ覚えている。
5.オルナ・ドーナト『母親になって後悔してる』
このタイトルに心理的抵抗を覚えた人もいるかもしれません。
でも、結婚して後悔してる人間もいるし、転職して後悔してる人間もいるんだから、母親になって後悔してる人間だっていて当然なのに、なんで母親だけそうなるんだ??みたいな視点を与えてくれた本。劇的に面白かった〜〜〜〜〜
転職先の上司に「ここに転職して後悔してます!」とか言ったら社会的にやばいのと同じで子どもに言うのはどうかと思うけど、もっと気軽にわたし後悔してる!って言える社会がいいな〜〜〜と思うなどしました。変な幻想や信仰よくない。
6.水林章『日本語に生まれること、フランス語を生きること』
どうして日本はこんなに近代国家っぽくないんだ?
これはわたしの数年来の疑問なんですが、そのひとつの答えを言語という切り口から提示してくれたという意味でとても刺激的で面白かった。
しかも著者の水林さんはフランス語で著述活動をされている方。フランス語を学ぶわたしにとっては言われてみるとしっくりくる部分も多くより楽しめた気がします。
7.ジョゼフ・ヘンリック 『WEIRD 現代人の奇妙な心理』
近代化と切っても切り離せない個人主義は、なぜヨーロッパで生まれてこんなにも発展したのか?に迫った本。
Amazonの紹介文にもあるように、心理学版『銃・病原菌・鉄』と言える内容で、『銃・病原菌・鉄』もブッ刺さったわたしに刺さらないわけがなかった。
ちなみに作中にある個人主義の度合いを測れる心理テストをしたら、個人主義感ある人とない人で、同じ世界で同じ国に生きてるのにこんなに違うの!?レベルの違いが出てかなり楽しかったです。同じ国で育ってこれだから人間は話さないと理解し合えるわけないねという学びを改めて得ました。
8.ローランビネ『HHhH』
フランスは好き。でもフランス文学はそんなに。
そう思っていたわたしをフランス文学かなりよくない!?!?!もっと読もう!!!と思わせてくれたのがビネです。
ビネはいつも現実とフィクションのはざまを描いているのが特徴的。本作もナチの高官ハイドリヒの暗殺事件を題材に小説を書いている作家の目線が用いられていて、新鮮な読書体験ができました。しかもその作者目線の語りにまたフランスぽい皮肉と思索が詰まっていてド好み!
ところで、ゴンクール賞ってナチ関連の作品が多い気がするのは気のせいでしょうか。
9.クリステン・R・ゴドシー『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』
本屋でこの本に目を止めて、タイトルに怯まずちゃんと買ったわたしに「いいね!」ボタンを10000億回押したいくらい良書だった。
資本主義、社会主義的な観点からフェミニズムをみるという視点、全然なかったから面白すぎて、うわ〜〜〜〜〜言われてみるとたしかに!!の嵐で「へぇ」ボタンも10000億回押したかった。「へぇ」というより「そうじゃん!!」って感じかも。
装丁からして完全に女性が読む本!って感じかもですが社会主義を見直すとか資本主義を再考する的な意味でも劇的な良書なので多くの人に読んでほし〜〜〜〜
10.ジャック・リゴー『ジャック・リゴー遺稿集』
この本のせいで、また好きな男が増えた。
でも、こんなかっこいい人間がいたんだと思って感動するとともに、憧れはするのによわよわの自分には絶対にこうはなれそうもなく、絶望した本です。
でもほんとかっこいい!!人間の人生としてすごくいい。
おしまい!!
ほんとは大好きで共感しまくりな絶望系作家ウエルベックとか悲観主義者界の教祖・シオランの著作も、この前読んだ激おもろ哲学系ノンフィクション『実存主義者のカフェにて』も入れたかったし、『言語の力』とか京極夏彦氏の百鬼夜行シリーズも迷ったし、けど10冊という縛り上、入れられず、、、
このnoteを書くきっかけになった脱輪さんのnoteは100冊だったけど、たった1000冊くらいしか読んでないのに100冊も選んだら10%じゃん多すぎだろと思って10冊にしたものの、10冊に絞るのって意外とむずいですねえ
100冊のリスト作れるまで精進します〜〜〜
12月からフランスに行きます!せっかくフランスに行くのでできればPCの前にはあまり座らずフランスを楽しみたいので、0.1円でもサポートいただけるとうれしいです!少しでも文章を面白いと思っていただけたらぜひ🙏🏻