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指導の引き出し①〜フィードバック〜
さてここでは、元通信制高校の職員、そして後進の育成に携わった経験を活かし、指導をしていく際に自身が意識したことや、実践したことを元に私の引き出しを少しずつ開示していければと思います。
色々な場面で応用することもできる内容にしていけるよう、是非参考までにご一読いただけると幸いです。
第1回目のテーマとしては「フィードバック」
この内容でもほんの少しだけフィードバックについては触れましたが、個人的にフィードバックの本質からずれた形で使用されているケースが散見されていうと感じています。
※言葉自体は市民権を得てきているのですが、本当の意味でのフィードバックとは?というあたりに疑問を呈する実例もかなり多いようですので…。
では、今日も引き出しを一つオープンしていきましょう。
◆フィードバックを再定義する
フィードバックとは、「目標を達成するために行動した結果やその評価について、行動した主体者に具体的な言葉で伝え、次の行動に反映させること」を言います。
またこのフィードバックの目的には以下のような内容が挙げられています。
・人材育成
・社員のモチベーション・エンゲージメントの向上
・アウトプットの最大化による業務能力向上
・組織の目標達成
これは教育の現場でも、企業・組織の現場でも同じことが言えると思いますが、少し言いかえをすると
・人材育成 ⇒ 年齢を問わず、人材を育成する
・関わる人のモチベーション・エンゲージメント(愛着心)の向上
・アウトプット(実践力・発信力)の最大化による能力向上
・組織・団体、そして個人ベースでの目標達成
などと言えるかもしれませんね。
つまりここで言える大事なことは、
次の行動にどうつなげるか!
つまり、意識変革、もしくは行動変容につなげるアドバイス
がフィードバックの本質なのです。
ここで問いかけたいのは、下の内容なのです。
これ、本当に皆さん意識できていますか?
私が見たダメなフィードバックは、基本的に自分視点パターンが多すぎるということです。
◆こんなフィードバックしていませんか?
少し具体例を通して、見ていきましょう。
<ダメな例①>
相手の欠点を列挙し、そこの改善を促す
これはフィードバックではなく、指摘です。
フィードバックの原則は「相手の成長を願うこと」
企業の研修などで、本当によくあるフィードバックのやり方で、言われた側はしんどいだろうなあ…と思うのは、研修運営側が
「フィードバック力」は何も言わないことからは生まれません、まずはクリティカルシンキング(批判的な視点)で相手が持っていない視点から指摘を入れてあげましょう。
と堂々と言うことが往々にしてあります。そうすると最悪の流れは、その相手が発表をした内容とはまた全然関係のないポイントで、重箱の隅をつつくような指摘を入れ、さも自分がフィードバックをしたかのように勘違いをしてしまう現象が発生し、言われた側は素直に受けることもしつつも、どこかしら心の中に疑問点を抱いてしまう状態になってしまうことです。
ここに大きな齟齬が生まれているのです。
もう一度投げかけます。
次の行動にどうつなげるか!
つまり、意識変革、もしくは行動変容につなげるアドバイスになっていますか?
フィードバックの本質は、「相手の成長を願うこと」です。
おそらく、フィードバックした側は「あー、なんとかフィードバックできた」と安心しているかもしれませんが、本当に相手の成長につながっているのでしょうか?
<ダメな例②>
グッドポイントを見つけるも、本質からずれている場合
これは、日本人に多い(と思われる)フィードバックを「ダメ出し」と捉え、相手を傷つけないようにするために、なんとか良いポイントを見つけ出すも、そのポイントがずれている場合です。
本当に相手の成長を願うならば、あえて核心を突くことも大事です。
そして私見ですが、このタイプのフィードバックをする方に多い傾向としては、「結果」にポイントを当てて、それが出来たということに対して、グッドポイントを見つける場合です。
例えば、お子さんが何かしらのテストで85点という高得点を取って、テスト結果を持って帰ってきたとき、どのようにフィードバックしますか?
「おー、85点も取ることが出来たか!よく頑張ったね!」
「クラス3位なんてすごいじゃない!次もまた頑張ろうね!」
…一見、これは間違っていないように見えます。
でも、受けて側は「高得点=すごい」「上位になった=えらい」というような評価を受けたものと思ってしまいます。
本質的な「その子の成長を願う」フィードバックであれば、何を伝えてあげるのが良いでしょうか?
少なくとも、経営者のようにすぐに売り上げ・利益という最前線で立ち向かわなければならない一部の層を除けば、私は、
「結果」よりも「プロセス(過程)」をフィードバックすること
が最重要と考えます。
あれだけ、時間かけて勉強したからこそ、この結果が取れたんだ。
上手く時間配分を考えて、勉強を効率よくすることが出来たんだ。
プロセスを見ること。ここが一番大事なのです。
これ実は、大人も子どもも関係ありません。
どこを見ているかが大事、そしてそれを真正面から向き合ってあげることが大事。結果だけ見るのは、正直申し上げると誰でも出来ることなのです。
◆だからこそ1ストライク・1ボール!
真正面から向き合うことが出来ていれば、その言葉は本当に重みのあるもの、そして多くを語らずとも相手に伝わります。
私も、通信制高校職員時代の生徒から
「enya先生に褒められるの嬉しいんだよな」
とか、べつの社員育成のタイミングでも
「enyaさんのフィードバック、鋭いし厳しいとも感じますけど参考になりました」
と言われることが多くなりました。
意識したのは、「相手の成長を願うこと」「相手のために本気になること」ただこれだけなのです。
そうした時に、一番やってはいけないのは”配慮”という名前の”遠慮”です。
ですので、出来る限りフィードバックには
良いポイントともうちょっとのポイントを両方伝えてあげることが大事です。心理学的には、順番等(良い⇒悪いor悪い⇒良い)もあるのかもしれませんが、片方だけにならないように、そして悪い点に関しては、できれば「Iメッセージ(私は~こうおもう!)」という言葉が必要です。
フィードバックは、教育の現場でも、企業・団体の中でもいわゆる指導層の方々には必ず持たなければいけないスキルになります。
※もう少し踏み込むと、使わない方がいい言葉などもありますが…一部だけ紹介すると「程度言葉」(例:きっちり・しっかりなど)などですね。
まだまだ私のフィードバック力も、伸ばしていかなければならないと感じつつ、それを更に鋭いものにしていくために日々鍛錬が必要ですね。よく私がこの話をするときに締めの言葉として使っているものを最後のご紹介しております!
皆さんの
一言の切れ味は、どのくらい鋭いものになっていますか?
一言の切れ味を、さらに磨いていきませんか?
言語という、人間の持っている力。
言霊という言葉もあるくらいですから、その言葉に魂をさらに載せていきましょう!
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