向田邦子ベスト・エッセイ
学生時代の暇な頃はよく本を読んでいた。
本をどっぷりと読み始めたきっかけは恐らく、私の中学校で行われていた毎朝15分程度静かに本を読む時間の影響だ。あの頃の教育方針に感謝したい。
社会人になり常に気持ちの余裕がなくあまり読まなくなっていたが、近頃本を読むことをすんなりとできている。本で自分の心のキャパを図ることができるので最近は良い傾向だ。
心の余裕とは裏腹に金銭の余裕ができ新刊を躊躇いなく買えることは嬉しい。些細なことかもしれないが私にとってはかなり重要だ。心の余裕のかわりに金銭を得ているみたいな気分になるのは嫌だけど。
新刊を見送り文庫で手を打っていたころとは違い丁寧な装丁の本を買ったことだけで満足してしまうこともある。
本をよく読んでいたころの読書ーズハイ状態(没頭してまわりが"しん"としてくるやつ)を追い求めて近頃は色々と読んでいる。読書の感想は読んだ時々によって変わるので、いま印象に残った本の感想を記録してみる。
ということで、読書日記です。
「向田邦子ベストエッセイ」
旅行に持って行く本の現状の最適がでた、とひとつめのエッセイを読んだ時にすぐに思った。戦時中の生活や昭和の時代を駆け巡る生活はとても新鮮だった。向田邦子さんに憧れが止まらなくなって、2ヶ月くらいかけてゆっくりと読み進めた。
忙しく暮らしていたであろう向田邦子さんだが、どのエッセイを読んでいても些細な日常を丁寧に、自分に嘘のないように生活をしていきたいと思うような内容だった。
教えを説かれているのではまったくなく、ただエッセイを読んでいてそう思うということに喜びを感じた。
特にいま印象に残った部分は、「わたしと職業」の切実な一説。
私が近頃恐れている、仕事に追われて態度にケンが出ている問題。そしてこれしか「て」がないという気づき。ぼんやりと考えていた悩みもすっ飛ばしてくれました。私も友人に、顔つきがキツくなったら教えてねと忠告しておこうかな。
真剣半分、面白半分に。