想像とちがったラマダーン
いまラマダーン中だし、前回に続いて、またアラブ系の内容です。
昨夜、最近よく一緒にライブをしているエジプト人歌手と楽屋でお喋りしていて、経緯は覚えていないけれどラマダーンの話になった。これまでのわたしの思い込みでは「ラマダーンとは日が昇ってから日没までは飲食をせず、お腹をすかせている貧しい人の気持ちを知るためのもの」だったのだけれど、彼女いわく「ラマダーンはお祭り」らしい。日没後の食事の時間(イフタール)になると街中が食事で溢れて、運転中なら窓から食べ物が投げ入れられる、とか、目をキラキラさせて話してくれました(きっと楽しい思い出なのかな?)
その中で私が一番おもしろいなと思ったのは、ラマダーンの時期はテレビCMが長いということ。イフタールの時間になると、ラマダーンドラマが放映されるのだけれど、半分はCMの時間らしい。というのも、この時期はテレビの視聴率が高くなるから、各社が競い合って趣向を凝らしたCMを作成しているというのだ。CMの内容は、通信(携帯電話)・食品・不動産(いま首都のカイロは人で溢れていて、郊外にニューシティを建設中。)が主なもの。そして「貧しい人の気持ちを思いやる大切な時期に高級不動産のCMを流すなんて何事か!」という議論が起こる、というのも毎年のお決まりのパターンだとか。
そんな話を聞きながら、わたしはなんだか日本のクリスマスやバレンタインを思い出してしまったのでした。もちろんイスラーム教徒といっても厳格な方からライトな方までいるし、地域によっても宗派によっても考え方は異なるので、彼女の話だけを鵜呑みにしてはいけないけれど、少なくとも「断食」という行為も、人間が一生懸命行っていて、それゆえに人間味溢れるユーモラスな話も生まれてくる、と考えると、東側の世界が近くに感じられるのではないでしょうか。
↑写真はもう5年以上も前のエジプト(カイロ)の子供服やさんのショーケース。なぜ赤子は空をとぶのか・・
↑と思ったら大人の女性もとんでいた。
ちなみになんで私がイスラーム関係のことにこんなに疎いのかというと、わたしが行っていた国がレバノンだったからだと思います。レバノンに住む人の約3分の1はキリスト教徒(マロン派)、わたしのいた音楽コミュニティもほとんどがキリスト教徒。アザーンも聴こえない地域で暮らしていました。
その時のわたしの先生はイスラーム教徒の名前を持つけれどイスラーム教信者ではないという珍しい人。彼のコンサートはマロン派の教会の中で行われて、やっている音楽はスーフィーの人も行うようなアラブ古典音楽で、お客さんは感動すると「アッラー!」と叫んでいる(イスラム教のアッラー的な意味ではなく、Oh my god! の文脈の感嘆詞)という状況で、状況だけ説明するとカオスですが、それはそれは静かで美しいコンサートでした。
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