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「Black Swan」結局泣いちゃうのは、ジミンのパフォーマンスだ。


その人は、画面越しにいつも真っ直ぐにみつめてくれて、ニコリと笑う。

その瞬間、ふにゃりととろけてしまいそうになるんだけれど、それは大人の笑顔であることもどこかで知っている。


彼は、欲しいものをたくさんくれる人だ。

おそらくテテのそれとはちょっと違う、その優しさは、時に寂しく思えて、やっぱり嬉しくなって、ずるい人だなぁと思う。


画面越しでしか追えない今、私の好きな彼らは、いつもに増して遠く儚い夢の存在に思えてしまう。


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彼を表現するのによく目にしたり、使われている言葉は、愛嬌、可愛い、あざといなどだろうか。

とてつもなく肌が白くて、細みの腰のラインが美しくて、ハイブランドな洋服が似合って、サラサラの髪には金髪が映えるように思うし、彼が繰り出す萌え袖は“女子“よりも様になっている。女性ファンのみならず、出演する番組、どの国でも年上の男性MCたちを次々とメロメロにしていく魔性さをも、この人は携える。

芸名JIMIN(ジミン)こと、本名はパク・ジミン。BTSでは、ボーカルとメインダンサーを担当、メンバー内でマンネ(年下)ライン。1995年生まれの25歳だ。

随分私は歳を重ねて来たけれど、ジミンのような男性を、見たことがない。


ずるいくらいに、愛らしくて

「ジミンちゃん」と呼びたくなってしまうくらいに、この人はとっても「愛らしい」人だ。

彼を表現する動物アイコンは、「ひよこ」らしい。ファンが編集したさまざまな動画を見ていると、ジミンが歩くときや走るときなど、ぴょこぴょこと、まるで「ひよこ」みたいな歩き方っぽい、カワイイ効果音がよくつけられちゃっている。

思わずそんな音が脳内に聴こえてしまうかのように、ジミンの動作は中性的で女性っぽさがある。加えてその女性っぽさには子供っぽさも混じっていて、斜に構えた言葉でまとめちゃうと「あざとい」んだけれど、それをとても美しい男の子がやってるもんだから、結局は「愛らしい」としか言えなくなる。

彼は往年の少女マンガの少女のような仕草を、リアルにしているときが多々ある。「もっっう、この兄さんたらぁ~~~」と、彼の発する言葉の語尾には、いちいちひらがなの小文字と、音引きがついているように感じる。ふわふわとした喋り方で、声のトーンもちょっと高い。


また、ジミンを見ていると、パーソナルスペースの感覚が狂ってしまう。

彼はすぐにメンバーに抱きつくし、抱きしめる。まるでそれが日常茶飯事のことみたいで、メンバーからは嫌がるそぶりも見られない。テテとは一緒にベッドで仲良く寝ているし、ジンをおんぶしたがっては、よくグクにおんぶをしてもらっている。

おんぶって成人男性まじかよ……と、すべからく悶えたりもするんだけど、彼はすぐにメンバーの身体に触れる。でもそういうことが嫌味なくできる、許されてしまう、柔らかい雰囲気を持っている。

恋敵ならば、後退りして降参してしまいそうだ。


愛らしく抱きしめてくれる彼は

疑う隙もないくらいに伝わってくるのは、根っから優しい人なんだろうなぁということだ。

「RUN!BTS」の「遠足」の回。立ち寄ったスーパーで、スタッフから決められた買い物の重量が限度に達したメンバーは、アイスクリームを購入してもらうために、「監督」にチャレンジを挑む。そこであっさりグクに「売られた」長兄のジンは、負けてしまい、そのスーパーからロケ先であるペンションまで、山道を歩くことになってしまう。

それは視聴者として、ちょっと心にノッキングが残るやりとりだった。そんな様子を心配そうにみていたジミンは、「僕も一緒に歩きます」とばかりに、その”アイスクリームチャレンジ”に立候補する。結果、ジンと山道を登ることになるんだけれど、ロケバスを降りたときから体力計算をしているのか、すでに若干弱腰になっている長兄を横目に、ジミンはどこか嬉しそうで、ジンと一緒に写真を撮りたがっては、きゃっきゃと元気にいてくれていた。

ジンペンの身としては、きつかろう山道をジンをひとりにせず、さらに楽しそうにいてくれるジミンのそんな姿には感謝しかないし、もしかしたら悲壮感が出ていたかもしれない画は回避されたわけで、それは見ている側にも安心感を与えてくれていた。

また「ボンボヤージュ」でテテが星を眺めながらひとりぼっちで泣いていたとき、ジミンとホソク、2人は尊いルームメイト・コンビなのだけれど、駆け寄ってはホソクが言葉をかける横で、ジミンは背面からぎゅっと抱きしめていた。

ライブでグクが泣き崩れていたときも、微笑みながらぎゅっと末っ子を抱きしめていたジミン。

メンバーの誰かが哀しそうなとき、いつだってジミンが抱きしめてくれる。だから哀しみに濡れる彼らも、きっと大丈夫だと思わせてくれる。


「MAMA2018年」の受賞スピーチのときもそうだった。

マイク前に立ったホソクは途中、「この賞が……本当に……」と言葉をつまらせながら「本当に僕は……この賞をもらえてなかったとしても泣いていたと思います、今年はすごくたくさんの苦労をしたので……」と、涙してしまう。それに連なるようにメンバーが次々と泣き始めちゃうんだけれど、その後マイクを受け取ったジミンは、真逆でとっても素敵なあの笑顔でいてくれた。

「少しは大変なこともあるじゃないですか」と明るい声で、「なぜホソクが泣いてしまっているのか」と衝撃を受けたであろうファンに、安心してもらうかのように、選びながら言葉を続ける。

彼はいつだってファンを不安にさせないよう、安心感を与えてくれている。優しくて、バランサーで、そして凛としている。


ジミンの魅力とは?と問われたら、「ギャップ」と声があがるだろう。楽曲パフォーマンスのときには、「愛らしい」彼とはまるで別人かのように、パワフルでカッコいい姿ばかりがみられるのだけれど、もう語り切れないのでいまは割愛して。私はカムバック番組で、ユンギにジミンが物申すくだりがとても好きだった。

ユンギのソロ収録にわざわざメンバー内では一人、陣中見舞いに行ったジミン。けれど無反応に近かった次男に「感謝されているかはわかりませんでした」と、ユンギが思わず黙ってしまうほど、畳みかけるように、<正しいクレーム>をつけている。

最近のジミンは、とても面白いと思う。アメリカで出演していたバラエティ番組を見ていても、この番組にしてみても、ウィットにとんだ会話と鋭い切り返しが光る。そんな彼は「可愛らしい」ではなく、とっても頭の良い大人の男性の顔をのぞかせているように思えて、そんなギャップに、私はドキリとしている。


パーソナルスペース

ところで、パーソナルスペースについて調べていたら、<パーソナルスペースが狭いひとは自分に自信がある人>という記述があった。

ジミンはおそらく「陽」の人だと思う。きっと、自分に自信があって、自分に対して肯定的な人だ。だからコミュニケーションが上手で、ぐいぐい喋れちゃうし、愛されてしまうし、でもかたや自分に自信があるからこそ、否定されたときには怒りっぽかったりもする。「RUN!BTS」の「屋根裏部屋」企画で明かされていたが、デビュー当時、彼は怒りっぽかったそうだ。テテとグクが思わず意見したくらいに。

彼はデビュー前、何度も事務所から解雇されかけていたらしい。きっとその頃は不安だったんだろうなぁと察する。


日本デビューしたてのころだろうか。随分前の映像で、ジミンがカメラを持って、おそらくテレビ誌の編集部社内で、彼がしつこくグクを追って撮影している動画を見たのだけれど、「不細工な人は撮らないんです」とホソクとユンギとナムを跳ね除けては、「だから勿論僕も撮りません」という強烈な遊びをしていた。

ジミン氏ひどいな(笑)……と笑ってしまったのだけれど、メンバー内で外見におけるランキング上位に入るために、10日に1回しか食べないという過激すぎるダイエットをしたり、日々自分の「表面」をも磨くため、大変な努力をしているんだろうけれど、すごくイイなと思うのが、そこに病みっぽさはなくって、肯定的に咀嚼したうえで、173センチちょっとの身長を生かしながら、唯一無二の美しい外見を日々進化させつづけていくことだ。年月を重ねるにつれて、どんどんジミンは、輝くような容姿になっていく。


「パーソナルスペース」の話に戻るけれど、かたやソクジンは「陽」でいたかった「陰」の人じゃないかと感じる。

かつてジミンはインタビュー番組で、「ジンのことが理解できなかった」と告白していたのが印象深かった。

「ああ、それわかるなあ」と思った。この2人はきっと“反対”なのだ。

このブログ内で書き散らしてきた、ジンの信念みたいなものや考え方が、ジミンには「わからない」と感じただろうし、ジンは「それはしいてはジミンのため」と考えて言葉にもきっとしていたんだろうし、

でも「陽」の存在の人は大きなズタズタに傷を負うような経験を持たないと、その感覚は中々わからないと思うし、実は一生そんなものを持たずに生きていけるのは幸せだったりもする。

過去の彼らには、分かり合えない平行線の溝みたいなものがあったんじゃないかなと、勝手に憶測してしまっている。


すべてが飛んでいっちゃうくらいに

『MAP OF THE SOUL : 7』収録曲「Black Swan」のMV。

ジミンが魅せるこの美しいダンスに、どれだけのファンが息をのんだのだろう。

事務所に所属する以前、ジミンはダンスで有名な学校の優秀な生徒だった。彼のダンスの技術は高度で幅がひろくて、コンテンポラリーといった分野までも抜群のパフォーマンスで見せてくれる。

さらに特筆したいのは、ジミンはとてつもなく表現能力に優れていることだ。舞台上で彼は、楽曲をその凛とした歌声で響かせながら、いつも顔の表情をしびれるくらいに作ってくれるし、そこにはとんでもない刹那的な色気とエロスが漂っていて、きっと国境も世代もを年齢をも越えて、魅了されていく。

バンタンにもしジミンがいなかったら、事務所を解雇されていたら。これほどまでに世界を夢中にすることは、難しかったかもしれない。



最近、あまりに気持ちが落ち込んでいて、彼らから少し離れてしまおうかと考えていた。

初夏に異国の地で会えると思っていた、北米ツアーが延期となったこと、さらにはリスケの目途も見えていないことなども大きな要因だけれど、

何よりも日常生活があまりに不安定で、スケジュールもガタついてきていて、やりたいこと、しなきゃならないことが出来なくなって、あれほど夢中だった彼らに対しての気持ちが、途切れ途切れになってしまっている。

いつもに増して遠く儚い夢をみるには、今の自分には、きっと余裕がなさすぎる。

そんな折、ふいにこれに触れた。

全身白の衣装に身を包み、いかんなくその身体能力の高さと圧巻のダンスを披露していた、2019年のMAMA・ジミンのソロダンスを見た。

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オケの音でアレンジされた「I NEED YOU」。鍵盤が響く綺麗なメロディとアンサンブルの楽曲が流れる。

柔らかいライティングにひとり、照らされながら、白い布とジミンが舞うその舞台は、天使みたいで、とてもとても美しかった。


たまに、鈍器で殴られて頭がぐらぐらするみたいに衝撃を受けては、鼓動が高まるように胸が熱くなる一瞬がある。取り巻く環境とか、常識とか経験とか、心配とか不安とか。過去に報道されていたあの彼のニュースとか。そういったものが飛んでいっちゃうくらいに。

エンタメの圧倒的なパワーみたいなものをぶつけられるように浴びては、胸を大きく打つ瞬間がある。

そんなふうになって、結局泣かされちゃうのは、ジミンのパフォーマンスだ。



ジミンが配信していた、VLIVEを見る。

この人は、画面越しをいつも真っ直ぐにみつめてくれて、今日もニコリと笑ってくれる。ふわふわと温かくて、柔らかい人だなぁと思う。


彼は、欲しいものをたくさんくれる人だ。

ツアーが中止や延期になったことに気をかけては、たくさん言葉をファンにかけてくれている。トイレに行きたくても我慢しながら、挙句は必殺技みたいな、いつもの“あざとさ”を、画面越しのわたしたちにたっぷり披露してくれる。

やっぱりなんだかジミンは、ずるい人だ。

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息苦しい現実の世界が、今日も始まる。日々溢れ出そうになる弱気な言葉を飲み込みながら、心はいっぱいいっぱいだ。

未知のものに対しての怒りや、哀しみを誰かにぶつけないよう。

私は画面越しの「ジミンちゃん」みたいに、今みたいな状況だからこそ柔らかくありたいと、切に思っている。

泣いちゃうくらいの感動を、まだ私は感じられている。

だから、きっと大丈夫だ。儚い夢の遠い彼らから、そう教えてもらっている。




※この記事はほかのサイトから修正し転載しています(同筆者)


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