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カフェを創ろう。(後編2)
フランス菓子の学校が終わりを迎える頃、自分たちのカフェのコンセプトが決まりました。
漠然としていたものが、頭の中で形になりつつある瞬間でした。
「癒しの空間」で、
「自宅では味わえないような非日常の時間」の中に、
「おいしいコーヒーとスイーツ」があればいいな。
このような感じです。そして、カフェ併設のお菓子教室を創り、そこから作りたてのおいしさを届けられたらいいな、と。
わたしたちが考える癒しの空間とは、公園にいるときのように、居眠りしたくなるような感じ。
陽の光が店内を明るい氣で覆い、木のぬくもりが感じられて、自宅では味わえないような非日常のゆったりとした時間が過ごせる場所。
もちろん、働く自分たちも癒される場所になるために。
メニュー構成の変更
フランス菓子の魅力に取りつかれるようになってしまった私は、この頃から、地元にはないようなケーキを作りたいと思うようになっていました。メニューを考えているうちに、当初考えていたメニューのコンセプトのひとつである「ランチ」を辞めようと決めます。
その理由としては、ケーキを作る大変さを学校で目の当たりにし、ランチとの併用は不可能だと思ったからです。当初から、店は夫婦でやろうと思っていたので、人を雇ってまで、メニューを増やそうとは思っていませんでした。
(しかし後に、この決断が苦しみへの第一歩になるのです・・・。)
テナント探しをはじめる
カフェをやりたいと決意してから、一年と半年が過ぎた頃、わたしたちはテナントを探し始めました。
わたしは、観光客をターゲットにできる地域を希望していたのですが、子供が自転車でも通える場所のほうがいいだろう、という夫の言葉に同意して、自宅から半径2キロ以内の場所で探し始めました。
そんな時、国道の渋滞を避けるために入った小道で、ある看板を目にします。
「貸土地」
国道から左折して、すぐの場所。
なにもない、更地の状態なので看板だけが目立っています。
普通なら素通りすると思うのですが、なぜか、こんな会話に・・・。
「え?この場所、国道からも高速インターからも近いから良くない?」
「広いから、駐車場もしっかりとれるよね」
帰宅後、インターネットで土地を調べてみると家賃とやらが掲載されていました。
「この金額なら、いけるんじゃないか!!」
・・・本当に、タイムマシンがあるのなら、
わたしはこの日の自分に会いに行きたい。
なぜ、いけると思ったのか・・・。なぜ、建てようと思ったのか。
直感に任せすぎでしょうーと・・・。
土地契約の日
とんとん拍子に話が進み、土地の大家さんは、数件希望者がいた中から、一番若い自分たちを選んでくれました。
2006年、11月吉日。
わたしたちは、20年間という条件付きで土地の契約を交わしたのでした。
まさに何もないところからの、スタート。
ここから、いろんな人との出逢いが奇跡のように訪れるのです。
(最終編につづく)