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同僚に「うなずくだけではダメなんだ」と言われ続け社会人として絶望していた私が、コンタクトセンター業界のオペレータのはたらき方を変革する3日間のオンライン・カンファレンスを初主催した話 その1: 企画編

どうも、千葉です。会話分析AI(Conversation Intelligence)の開発・販売をする株式会社Empath(以下、Empath)の広報をやっています。広報なるもの、社内のコミュニケーションを円滑にするべく、傾聴のテクニック「うなずき」を心掛けた結果、同僚に「お前話聞いてないだろwww」とか「3,3,7拍子かwww」などと言われて何度も心が折れながら、おかげさまで2年半ほどEmpathにいます。

Empathでは、人の声から特徴を読み取って喜び、怒り、平常、哀しみなどの感情や気分状態を表す元気度を解析するAIを開発しています。このAIは、顧客満足度を自動測定する技術も有しており、主にコンタクトセンターのオペレータの電話対応や管理者(SV)のモニタリングなどで多忙なおしごとを支えています。

Empathは、9/30から10/1までの3日間にわたってコンタクトセンター業界に特化したオンライン・カンファレンスを主催しました。すでに開催から2か月経過してようやく記事をアップしている私のポンコツさ加減が露呈しておりますが、重い筆を執って等身大のビフォー・アフターをお届けできればと思います。

この記事では、オンライン・カンファレンスの企画から当日運営まで0⇒1で取り組んで学んだことを「企画編」、「実行編」、「運営編」の3回にわたって書いていきます。下記のようなことで困っていたり、悩んでいたりする人に勇気を与えるような内容になっています!

・面白いイベントを企画せよと指令をうけて内容設計に困っている。

・リードを取る、かつ業界の人たちが唸るようなイベントを企画せよと言いたい放題いわれて絶望している。

・同僚に「うなずくだけではダメなんだ」と言われ続けて、悲しい気持ちになっている。

・企画とか分かんなくてお酒に逃げて、つらい朝を迎えている。

上述の項目は、まさに数か月前にイベント企画を始める段階の私です。企画書をつくる、企画を人に伝える、などすべてにおいて初心者でポンコツキャラである私がコンタクトセンター業界に特化したオンライン・カンファレンスを企画、13社の登壇企業の皆様にご登壇をいただいた経緯についてご紹介できればと思っています。

「これで間違いなし!私がオンライン・カンファレンスで成功した3つの理由」とか「企画お困りの方に届ける5選」などという意識高いタイトルではなくて、私が企画にあたって困り果てて絶望していたときのこと、実際にやってみたことを等身大にお届けできればと考えています。この記事を通して、「あ、こんな人でもオンライン・イベントの企画や運営できるなら、ちょっと私もやってみよう。」と少しでもオンライン・イベントの企画等で困っている方のお役に立てればと思いこの記事を書きました。

今回は「企画編」です。どうぞお付き合いください。


企画の背景(1): コールセンター業界の現状の前に自分の実務能力に絶望する
この章では、企画初心者のリアルな3日間をお届けします。

1日目: 「何も思い浮かばなかった。」

「よし、企画だ!!もうみんなにうなずいているだけの千葉とは呼ばせない!!」と意気込んだものの、アイディアは浮かんできませんでした。ネット記事から企画は白い紙で書いてみるのがいいと知り、紙とペンと向き合うこと数時間。全くアイディアなど出てこず、気が付いたら定時時間。残業してももうわかんないので、今日はこれぐらいで明日やろうと先延ばしへ。

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2日目: 「何も思い浮かばなかった。」
企画って難しいな。。みんなどうやってるんだろう。。あれ、そもそもなんでオンライン・カンファレンスやるんだっけ?企画したらどうなるんだ?えっ‼もう0:00!?

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3日目: 「自分の実務能力に絶望し、ついに発狂。」
「わっかんねーよぉおおおおおおおおおおおおおおお。企画なんてやったことないんじゃあああああああああああああ〇×△※(以下略)」

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スタートアップでは禁句の「やったことないんじゃあああああああああああああ」と発狂し、企画当初はこんなにどうしようもない状態でした。

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写真: すべてに絶望し、酒に逃げる筆者。翌朝残されていたのは、二日酔いとまっさらな企画書だった。

企画の背景(2): 自分の実務能力に絶望して発狂した結果、見えてきたもの

企画の試行錯誤開始から4日目の朝、少し冷静になってみると、事実ベースの現状を全くインプットしていなかったことに気づきました。そこで、(a)コンタクトセンターのイメージ、(b)COVID-19発生以降における、コンタクトセンターの状況、2点について調べてみました。

(a)コンタクトセンターのイメージについて

試しに「コールセンター」「仕事」というキーワードで調べてみたところ、下記のような検索ワード予測が出てきました。

どうしようもない


写真: Googleの検索ワードより

「コールセンター」業界ですが、上の写真のように割とネガティブなイメージが広まっていることがわかりました。一般的に「コールセンター」と呼称されることが多いため、今回「コールセンター」というキーワードで検索しましたが、Empathではあえて「コンタクトセンター」という言葉を使おうと考えています。理由は、「コールセンター」というと電話を機械的に受けるようなイメージが強くGoogle検索でも出てきたようにネガティブ・イメージがついて回りがちなので、人対人のコミュニケーションが基盤となる「コンタクト」という言葉が使われている「コンタクトセンター」を使いたいと考えているためです(本当は全くあたらしい造語を作り出したい!その話は別の機会で書こうと思います)。

コールセンターとコンタクトセンター議論は下記でも議論されていますので、参考までに読んでいただけると幸いです。



参考URL: CALL CENTER REVIEW コールセンター見直し「コールセンターからコンタクトセンターへ」, ベルシステム24

(b) COVID-19発生以降における、コンタクトセンターの状況

さて、COVID-19の状況下でコンタクトセンターでは何が起こっていたのでしょうか?

COVID-19による緊急事態宣言中、一部のコンタクトセンターにおいて在宅環境の移行は実現していました。その一方で、緊急事態宣言発令後も「3密」のコンタクトセンターに通わざるをえない状況だったオペレータさんが大半であったという記事が掲載されていました*。また、メディアによるコンタクトセンター内での感染拡大の報道や、SNSなどでは「♯コールセンターは3密です」「#メディアで取り上げて状況を変えてください」などオペレータの悲痛な叫びやコメントが散見されていました。

ハンコ出社など日本の企業における古い体質の部分がメディアを通して露呈されたのが記憶に新しいですが、コンタクトセンターでもなかなか変われない体質が露呈された状況となりました。

*参考記事: 「コールセンター員「在宅進まず」悲痛すぎる叫び感染不安もテレワークに割り切れない日本企業」

企画の目的を決める:「業界に一石を投じる」とは?殴り書いたことばからたどりついた答え


コンタクトセンターの現状を知ることで、業界の課題や古い体質に対して残念な気持ちになったというのが正直なところでした。ということで、ふつふつと湧いてきた怒りのような違和感や言葉にならないモヤモヤとした気持ちをギターにぶつけるのではなく、紙に殴り書いてみることから始めてみることに。

「うなずいているだけじゃだめなんだ。」

そう確信した瞬間でした。

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写真: うなずきを封印する覚悟の現れを見せる筆者。

さて、うなずきを封印してひたすら殴り書きをした結果、下記のようなメモが数ページにわたって繰り広げられていきました。

メモ

メモ2

写真: メモ一部。他にもありますが、それっぽいものを掲載。

思いついたことばや気持ちをまず殴り書き。そのあとは冷静になって思いついたことを書き連ねる作業を続けていました。これまで、スタートアップに属する者、スピーディーに思いついたことを言わねば。。と自分にプレッシャーをかけていました。しかし、今回殴り書きをしてみたことで、ひたすらうなずいていた時には見たことのないことばが出てきて新鮮に映りました。自分ってこんな風に考えていたのか。という気づきもあったのです。特に「現場で大変な人を見過ごさない」「オペレータが主役」「はたらきたくなるような」「選択肢を増やす」「手ざわり感」「背中を押す」「支える」の7つのことばは企画をする上で大切な価値観だったと感じています。

企画の目的に沿ったコンセプトを決める: CSR Centered -Whispering about the Contact Center in 2030


実際に現状を調べて、怒りや悲しみのような感情から「業界をちょっとでも良い方向に変える」という大枠のコンセプトにたどり着いた後、他の業界ではコロナ中どのような取り組みをしているのかについても調べてみました。例えば結婚式業界。華やかなようでいてまだまだ古い体制があるようで、今回のコロナの状況を機に業界がどこへ向かうのかと業界の関係者同士が話すオンライン・イベントも開催されていました。そのイベントに参加してみて感じたのが、「個人での取り組みやタスクも習慣化しづらいのだから、業界という大きな枠で考えたら物事はすぐに変わらない。」ということです。だから、まずは小さなことから、啓発活動をコツコツと続けることでしか、変わっていかないこともあるのだなと感じました。「業界をちょっとでも良い方向にかえる」のコンセプトは放っておくとどんどん自分で期待を大きくしてしまっていただけれど、小さな石を投げてみる。それが怖いからみんなやらないだけなので、少しずつの積み重ねでしかないと感じるようになっていました。

というわけで、「業界をちょっとでも良い方向に変える」「啓発活動」という2つのポイントが決まってきたので、このポイントに合う活動はどのようなものがあるかと考えてみたところ、企業の社会的責任であるCSR: Corporate Social Responsibilityということばに出会いました。また、CSRということばは、一般的に使われていることばCSR以外にコンタクトセンター用語として使われているのか?と調べてみたところ、Customer Support Representativeということばがあることもわかりました。

こうした背景から、コンタクトセンターがこれまであまり注視してこなかった、企業の社会的責任の意味でのCSR、そしてオペレータの意味でのCSR、その二つを掛け合わせることによって、「CSR Centered」つまりオペレータ中心のサミットを開催しようとコンセプトが決まったのです(長い道のりだった。。)。あと、もちろんやるからには多くの方に賛同してもらいたいと思いつつも、大々的に社会の不条理にメスを入れていったんぶち壊してガラッと変えてしまうというよりは、「やさしさ」「寄り添い」というキーワードも捨てたくないというのが想いとしてありました。そのため、副題として“Whispering about the Contact Center 2030”というフレーズを採用しました。ここでいう“Whispering”とは、コンタクトセンター用語でオペレータが電話応対中に困っているときにSV(管理者)がささやいて支えるという素敵なことばに着想を得て、拝借しました。

まとめと次回


オンライン・カンファレンスの企画は絶望からの始まりでした。アイディアが全く浮かばず、自分の実務能力に発狂していたどうしようもない状況でしたが、試行錯誤してなんとかコンセプト作成にたどり着けました。私のように、企画をするにも手探り状態で困っている方にとって少しでもお役に立てていればうれしいです。

今回は企画の背景とプロセスについて書きました。次回は「オンライン・カンファレンス実行編」と題して、企画したコンセプトをどのように組み立てていったかについて、書いてみたいと思います!

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