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イマヌエル・カントの「永遠平和のために」

 プロイセンの哲学者が1795年に発表した著作。「平和を実現するためには何をすればいいか」が簡潔に箇条書きで書かれている。全てが正論であるが、彼の思想が200年以上に渡って読み継がれているにもかかわらず、いっこうに「永遠平和」は実現できそうにない。

 残念ながらカントが感じた絶望は、現代においても全く同じ形で生き残っており、それを解決する実効力のある対策を生み出せてはいない。おそらく人間には平和を持続するために必要な何かが決定的に欠けていて、それを変えるために必要なものは社会的な変化や教育ではなく生物学的な進化なのではないか、とさえ思えてくる。

 カントの理想が空論であると批判する気はない。逆に必要以上に彼個人を持ち上げるつもりもない。日々の生活に追われ「良いこと」も「悪いこと」も、いろんなことをしながら生きるしかないとしても、時には立ち止まって「永遠の平和を実現するためには何をすればいいのか」を考えてみるのも悪くないのではないか。

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