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せっかくEmotionTechのnoteにきたんだから、こんな本読んでみたらいかがでしょう

どうも、冬至ですね。寒すぎて夕食は鍋料理しか思い浮かびません。
CXS部AEチームのサノです。2日連続で失礼いたします。

さて、年末の大掃除、皆さまどうしていらっしゃいますか。
私は、いつもはできない部分までしっかり綺麗にしよう!と張り切って腕まくりするけども、窓掃除なんて始めた日にはやっぱり寒すぎて暖かくなったらやろう、と家の中に逆戻りなんてこともあったりなかったり。そして、部屋のフローリングぐらいは拭き掃除しちゃおうかな、などと気持ちを入れ替えるのだけども、それより目につくのが本。棚の上に積まれた本。この子たちを整理しないことには、床掃除もままならない、ということで、いそいそと積んでいる本と棚の本をにらめっこしながら、どの本を棚の前面にもってくるのかで本の出し入れをするのが、年末の恒例行事となっています。

ということで本日は、せっかくだからこんな本読んでみたらいかがでしょう、というお話。
少しでも弊社に興味をもっていただいたこの機会に、ご関心領域の理解をグッと深めていただくのも良いかと考えております。

弊社EmotionTechは「すべての人々がイキイキと働ける世の中を創る」という想いを実現するため、CXM(顧客体験マネジメント)とEXM(従業員体験マネジメント)の支援を行っています。
イキイキと働く従業員が感動的な顧客体験を生み、感動的な顧客体験が持続的な企業成長を生む。人の感情に向き合い人の体験を向上させることが、従業員・顧客・企業が3方よしとなる世界につながっていると考えています。

今回は、このCXMやEXMを推進する上でヒントをくれる7選をご紹介いたします。


1)顧客ロイヤルティ指標NPS®を知る
 ネット・プロモーター経営 フレッド・ライクヘルド ロブ・マーキー 著

2)CSの大家のアプローチを知る
 顧客体験の教科書 ジョン・グッドマン 著

3)日本のCXMの運用方法と事例を知る
 実践的CXM 今西良光 須藤勇人 著

4)設問構造を考える
 考える技術・書く技術 バーミラ・ミント 著

5)「問い」を考える
 問いのデザイン 安斎勇樹 塩瀬隆之 著

6)データの本質を考える
 データ解釈学入門 江崎貴裕 著

7)フィードバックを行う
 サーベイ・フィードバック入門 中原淳 著

1)顧客ロイヤルティ指標NPS®を知る

ネット・プロモーター経営 フレッド・ライクヘルド ロブ・マーキー 著

 NPSを理解するのであればこの本です。弊社内では「赤本」と呼ばれています。NPSは2003年後半『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌で紹介され、その後2006年に本書の旧版『究極の質問』

が出版されています。
「0~10点で表すとして、この企業(あるいは、この製品、サービス、ブランド)を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」と、これに続けて少なくとももう1問で理由を聞くだけで、顧客の感情や態度を速やかに測定でき、態度の背景も把握できるとする手法は、きめ細やかに多くの質問を設ける従来の満足度調査の手法とは設問数が大きく違います。回答結果によって顧客を3つのグループ(推奨者・中立者・批判者)に分けて、推奨者(9、10)の割合から批判者(6以下)の割合を引いて算出されるのが、NPSで、究極でこの1つの数字だけを追いなさいということが語られています。推奨者が良き利益を作り出し、企業成長を支えるからです。
そして、この本ではNPSの「S」は「score(スコア)」だけでなく「system(システム)」を表すとあり、NPSの深化を記しています。推奨者を作り出す仕組みが「NPS」だということで、NPS測定や運用方法、後半では従業員NPS(eNPS)にも触れています。NPS自体がCXMやサービスプロフィットチェーンを体現できる方法だと理解できる一冊です。
直近ではNPS3.0も発表されています。

2)CSの大家のアプローチを知る

顧客体験の教科書 ジョン・グッドマン 著

 半世紀にわたり業界をリードしている大家、グッドマンの法則のジョン・グッドマンの本。グッドマンの法則というのは、クレーム(苦情)処理と再購入決定率の間に相関関係があることを示し、軽量化した法則のこと。本書はCustomer Experience 3.0と銘打ち、CXの導入と運用について詳しく記載されています。カスタマーセンターでのオペレーターの対応やVOC(顧客の声)マネジメントについての言及が多く、CS文脈の理解としても参考になります。最近では『デジタル時代のカスタマーサービス戦略』

という新書も出版され、情報がアップデートされました。DX文脈でのアップデートは時流に合っています。


3)CXMの運用方法と事例を知る

実践的カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント 今西良光 須藤勇人 著

 日本だとNPSの活用事例が少ない中で、カスタマー・エクスペリエンスの重要性と測定方法と分析手法の解説に加えて、実践企業の事例紹介を行っている弊社の本。手前みそで恐縮ですが、わかりやすい説明でまとまっている一冊です。弊社の分析手法であるジャーニーマップ分析にも言及していて、ロイヤルティへの影響を見て改善策を検討するイメージを掴んでいただきやすいと考えています。また、カスタマー・エクスペリエンスに取り組む7つのルールについては、CXMを社内に取り入れていくために必要なステップを確認できるため、導入計画をお考えいただく際にぜひご活用をご検討ください。

4)設問構造を考える

考える技術・書く技術 バーバラ・ミント 著

 著者が考案した問題解決のアプローチ方法であるピラミッド・プリンシパル(ピラミッド原則)についてまとめてある本。「考える」「書く」「問題解決する」「表現する」という4つの構成で説明されています。問題解決については様々なフレームワークがあるので、どのような手法でも好みのものをご活用いただくので良いと思いますが、シンプルに構造化する一つの手法としてお勧めです。CXM支援の中のCXデザインを行う段階で、課題整理から始まりCX整理や設問設計や分析構造の整理に至るまで活用できます。もちろんCXMに限らずに活用できるものなので、一度は触れていただけると良いかと考えています。ただ、少々読みにくい点もあるので、ご不安な場合は、日本人のロジカルシンキング実践法として書かれている『入門 考える技術・書く技術』をお勧めします。

5)「問い」を考える

問いのデザイン 安斎勇樹 塩瀬隆之 著

 課題解決のためのチームの話し合いの際に役立つ、人とチームのポテンシャルを引き出し、組織や事業の創造性、イノベーションを促すための本。ビジネス書グランプリなどでも上位に入り注目されていました。本の紹介文にも「問題の本質を見抜き、解くべき問いを正しく設計し、課題解決のプロセスを設計する思考法・スキルを体系化」と書かれている通り、問題を捉え直す考え方が秀逸。
 本書はチームで問題解決を行う際の手法として、ワークショップやファシリテーションの技法について言及されているので、CXMとの関連が想起しにくいかもしれません。ただ私としては、2つの観点でこの本をお勧めしたいと考えています。
 1つ目の観点は、アンケートの問いの設計に活用できるということ。アンケートはいかに定量的もしくは定性的に正確に設定できるのかという面が重要視されますが、CXMでのアンケートはお客様とのコミュニケーションと捉えることができ、お客様との対話手段として考えることができます。お客様の状況をいかに把握するか、どのようにお聞きすることで問題を洗い出すことができるか、ということを考えた場合、設問設計には問いのデザインのアプローチが参考になります。
 そして2つ目の観点では、CXMを社内で検討する場合の進め方に活用できるということ。CXMを導入する段階では、なぜCXMが必要なのか、自社の問題・課題はどこにあるのか、社内の意見を引き出すためにはどのようにするのか、本書のアプローチがそのままはまるシーンが多々あります。もちろん運用を開始してからも有効に活用いただける考え方です。

6)データの本質を考える

分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術 江崎貴裕 著

 データに基づいた意思決定や問題解決を行う際に、分析者が知っておかなければいけない知識をわかりやすくまとめてある本。「わかりやすく」とありますが、「分析者のための」と付いているように、分析や統計について日常的に触れていないと、若干取っ付きにくい印象があるかもしれません。しかし、本書はカラーで重要部分には下線があったり、図解も充実しているので理解しやすい内容になっています。
 データアナリストに注目が集まっている現在、統計解析についての書籍が多くなっている印象です。もっと平易な書籍もあるのですが、もし本書でわからないことがあれば、その部分だけ別途で調べていただくほうが、他の入門書から入っていただくよりも効率が良いと考え、本書をお勧めいたします。

7)フィードバックを行う

サーベイ・フィードバック入門 中原淳 著

 「サーベイ(組織調査)」で得られた「データ」を適切に現場に届け(フィードバックし)、現場の変化・職場の改善を導く技術について書かれた本。著者の中原先生は組織開発の第一人者です。本書では、主に組織診断などのサーベイ結果の現場での扱い方にについて、丁寧に解説されています。EXM(従業員体験マネジメント)の観点で、非常に示唆が多い内容です。とはいえ、本書で示されているサーベイ・フィードバックの概念は、CXMでも十分適用可能です。サーベイによる①見える化、②ガチ対話と③未来づくりを行うフィードバック・ミーティングの組合せは、社内でEXMやCXMを運用する際に欠かせないサイクルです。サーベイをしただけでは何も変わりません。フィードバックから次のアクションを行っていくことで、はじめて効果検証が可能になりますし、フィードバック・ミーティングにおけるメンバーとの対話が新たな気づきを生みます。

以上、7選でした。
まだまだご紹介したい本は尽きないのですが、今回はこれまで。

少しでも皆さまのCXMやEXMの気づきの一助になれば幸いです。
ぜひ素敵な読書体験を。ではでは、また。


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