博物館に行こう ②『香りの器~高砂コレクション』(パナソニック汐留美術館)
みんな「香り」に興味しんしんなんですよね~知ってる~。「アロマにはまっているんだよね~」「部屋でお香焚いているんだよね~」そーなんだ!!じゃあじゃあ、香道って知ってる??「え??」っていうね。
そんなあなたとわたしにピッタリ。「アロマ」でも「お香」でもない、『香りの器』展で「香り」をブラッシュアップしませんか?
1.「香りの器展」はここがすごい
パナソニック汐留美術館で開催されている「香りの器」展ですが香料業界の老舗、高砂香料工業のコレクションです。
いかにわたしたち人間が「香り」にこだわってきたか。
「香り」「匂い」これらを感ずる嗅覚は人間の五感の中で最も重視されにくいと言われています。なんと、人間は脳よりも鼻の器官が先に出来上がるのですよ。
香りにはひとの記憶や気持ちを呼び起こす力があるのはよく知られたことです。また香道ならば、その組香のなかに広がる古典文学の世界を訪ねることができる、そんな力も持っています。
紀元前から現在に至るまで、人間の歴史にずうっと寄り添ってきた「香り」を目で見る展示です。古代の人々を魅了した香油から、香水の時代へ。そして香りに寄り添うアート。最後は日本の香りの歴史を知ることができます。
香りを見る、知る、ってすごいですよね。そんな「香りの器」展をレポートします。
2.紀元前の香りは神様へのささげと祈り。
展示の最初は古代の香壺。最初は土器でした。土器でも、ちゃんと香油を詰めてどばっと出ないように口を細くしたり、さまざまな工夫がありました。
こんなふうに絵が描かれたりした手のひらに乗るような大きさの香油壺たちが残っています。土器だと油が染みてくるので、ベッタベタだったろうな…。ですから、石をくりぬくパターンのものも残されています。紀元前
この頃の香油は木から染み出した樹液とオリーブオイルなどで作られていたようです。その後、ガラス製法が生まれ、香油も土器、石器からガラスの器へと入れ替えられました。3000年ころのピラミッド内でお香を焚いた、という記録が残っています。何のために焚いたのか、それはまだわかっていません。なんと、ツタンカーメンのお墓からも香油は発見されています。(しかもすごくいい匂いだったとか!!)
キリストの三賢人が乳香、没薬を持っていたことは有名ですね。
ところで、香道で使う香木と呼ばれるものは日本では生産できないのですが、ギリシア、ローマなどで使われていたような香油、香料の産地もやっぱりアジア一帯でした。たとれば、シバの女王で有名なシバの国(南アジア)は香料の原産地でもありましたし、もっと東の東南アジアなどから運ばれてきた香料の売買の場としても大いに栄えていました。
同じ場所からとれた同じ香料でもアジアでは燻したり、粉にして固めたりする使い方のイメージだけど、ヨーロッパに来る基本、油につける使い方なのですね。
いずれにしても、洋の東西を問わず、香りというものは神仏への供物でした。日本にも仏教と一緒に香りは「仏にささげるもの」として、伝来してきました。
人間は生きていくために何らかの心の支えが必要です。空に上がっていく煙と香りはどの国のどんな人たちにも目に見えぬ神秘的な力だと感じていたのではないでしょうか。
博物館に行こう③に続きます…