ひとり旅・自分と繋がる新しい自分へ・16話

暗い中、足場の不安定な崖のトレイルを慎重に一歩また一歩と降り終えた時、漆黒の世界に純白な泡が押し寄せては静かに消えてゆく様子を目にしました。辿り着いては、自分の意思とは無関係に吸収されていつのまにか消えてしまう。何かの縮図を見せられた感じです。

薄明り、漆黒の海岸に次々と大波が押し寄せては、真っ白に変わる度、このままビーチが波にのみ込まれてなくなってしまうのではないかという不安を打ち消しながら、サンライズの映像を安全に撮れそうな場所を探します。
最初はビーチに入って直ぐ、大波がきたら高台にすぐに避難できるところに設置。しかし、サンライズが昇る地点に重なるように岩が映り込み、足場も不安定。何かに動かされるように直感を信じて移動することにしました。幸い海の動きは引潮に向かっていました。ビーチ入口近くよりも更に奥、崖から1メートル離れたギリギリのところに場所を定めました。誰もいない夜明けのビーチでは何が起きても仕方ありません。自己責任を覚悟の上、iPhone11を三脚にセットして、ビデオ撮影モードでスイッチオン、撮影スタートです。

映像を撮っている横で、刻々と色が変わる水平線を見つめていました。この場所で、立ったまま瞑想状態です。到着した時に激しかった波は、夜明けとともに海容されるように、大らかなリズムへと変わってきました。
それでも、時々大きな波が押し寄せ、届きそうです。

KEHENA（ケヘナ）the hell（地獄）、地獄で迎える夜明け。

真っ黒い砂の上、心の奥にあった暗闇、扉を解放して、自ら創り出してきた『お好みの思考の世界』を大掃除。一滴の光、闇夜から空と大地が開いた瞬間に見える力強い光。この光を受け入れた途端に全てが光の世界へと変わります。光の世界にもう闇はどこにもありません。支配の下、光と影をいいように使い分け、都合に合わせて育てられた思考に別れを告げます。
思い込み、刷り込みの世界から未知で未経験の自由な世界へ。本当は人は生まれてからずっと自由なのだけど、大人になって社会の一部として生きて、ある程度年齢を重ねた頃、気づいたら2極のコントロールに巻かれて、制限された光と影が創り上げる両極までも楽しんでいると錯覚していました。
本当は光しか存在しないのに。

本当の自由。黒砂に反射する黄金の光の中に一糸纏わぬ人の姿が投影されます。押し寄せる波、景色がスローモーションになり、波がその姿を神聖なる色（透明なようでいて淡い色の粒がたくさん）に塗り替え、そのまま地球になりました。と、次の瞬間、勢いよく大波が押し寄せ、滝行や禊のように頭から海水をかぶり全身が水浸し。引き波にもっていかれそうになり、とっさに掴んだ三脚とiPhoneは流されず確保できたのですが、その時、ふと何かを失ったような気分になりました。実際に失った物は何もないはずのに。。。涙があふれ出し、急に空から大粒の雨が降りはじめます。

急に「カラダ」を脱ぎ捨てたくなり、波打ち際の純白な泡に誘われるように輝く光の中に一糸纏わぬ姿で海へ入りました。波に身を任せ、両手を広げて海に浮いてみる。時々波に砂浜まで押し出されて、黒砂がドレスのようにカラダを覆い、純白な泡とともに全て消えて肌色になり、波打ち際で生まれた時と同じ姿で無邪気にコロコロと転がります。暗闇（悲しみ）がスーッと消えて、子供の頃のような楽しい笑いがこみ上げてきました。『いいんだ、これで、いいんだ。』優しく包まれるようにいつのまにか自然と一つになっていました。ワンネス。すべてが繋がって世界がひとつになったような感覚です。

誰もいない早朝の海。
水が冷たい。
生きている。
ああ、光。
太陽の温もり。
愛おしい。
鳥の声が聞こえる。
この世の世界。
地球。
今世たった一つ。
大切なカラダ。
ありがとう。

すっかり雨が上がり、少し斜め上になってきた太陽の黄金の光に包まれて、すべてが生まれ変わったみたいです。
今ここにいる、今ここにある、全てのことに、感謝しかありませんでした。
誰に会うことも無く、まるで人払いされていたかのようでした。

ふと、禊から生まれた神々のことを思い出しました。

ハワイ島の東側の秘境は女神・ペレの本拠地。力強さの中に優しさ、時おり厳しいエネルギーを感じながら、カラダを維持したまま、魂だけになりたかった思いに繋がることができました。迷い続け、色々なことに気づいた今、これからは光の中で純粋な心を持ったまま過ごしたいと思っています。
地球でやりたいこと、好きなことを追求しながら。

貴方の中の”神”と繋がった時、必ず幸せが訪れます。

【貴方が笑えば世界が笑います。貴方が幸福であれば、世界も幸福の中にあります。反対に貴方が悲しめば、世界も悲しみます。神は貴方が幸福であることしか願っていません。】（引用:奇跡のコース）

これが本当の事だからです。
貴方の幸せを心よりお祈りいたします。