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再編:ハリネズミかヤマアラシか

『THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY』リリース50周年を記念し、今回『子羊解体新書 前編』から記事を公開することにした。

『子羊解体新書 前編』ツカモトヤシマ 著(2013年)

 どれにするか迷ったため、事前にX(旧Twitter)でリクエストを募ったものの反応がなかったので私自身で選んだ。

 公開にあたり修正を加えたが、内容自体は変えず、誤字脱字の修正、語用と表現の変更程度にとどめた。さらに理解しやすいよう新たに補図2点を加え、冒頭のアルキロコスからの引用も今回加えたものである。

 今読んでも本稿はとてもユニークである。ユニークという語は日本では単に「愉快」「おもしろおかしい」を指すが、そもそも英語では「独自」「唯一」を意味し、その両方を含む代表的な論考が本稿だと思ったため選んだ。

 タイトルは一見すると些少なトリビアをうかがわせるが、調査や考察を進めるうちに興味深い事柄が次々に現れ、最終的に主人公レエルの出自が明らかになるばかりか、物語の起点となる重要な鍵へと行き着く。そうした展開はまさにユニークである。

 そもそも『子羊解体新書 前編』で心掛けたことのひとつは「日本発の内容」「日本独自の内容」だった。私の英語力と当時の翻訳環境からすれば日本語で書くしかなく、当然読者は日本人に限定される。それは決して望むものではなかったが、その状況が変えられないのなら、せめて日本の事情を盛り込み、日本人にしか書けない内容を書き、それによって日本人が読んでこそ存分に楽しめる内容を目指した。その目標は実現できたが、何より拙書の弱みを強みにできたことがうれしかった。

 特に本稿では、歌詞や『TEXT』の日本語翻訳での誤訳が出発点になっており、それは私たち日本人にとってこそ意味を持つ。一方で記事の内容には動物の生態という、一見『LAMB』に関係ない内容も含み、それは単なる愉快さを招くとともに、プログレマニア特有のスノッブな冷笑をも誘うだろう。それもまたユニークだ。

 さまざまな面から考察を重ね、その緩急ある旅を読者と情報を共有しつつ進み、最後に壮大なエンディングへと達する本稿の展開は、同様の作風を得意とした前期ジェネシスのファンであれば分かってもらえると思う。

 なお、本稿は全15ページだが、本サイトでは4ページまでの公開とし、全稿を読みたい人には別ブログで読めるようリンクした。






続きは以下のサイトで(↓)


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