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パレスチナを考え(てみ)る

 『現代思想』の特集『パレスチナから問う』を読んでみる。とても興味深い内容なのだが、情報量が多すぎて四苦八苦している。でも、この問題を語るには、それなりの知識が必要だと感じる。簡単に意見してはいけないような、非常に複雑な問題ではないだろうかと思い、ページをめくる。

 ユダヤ人といえば、第二次世界大戦のときのナチによるホロコーストの犠牲者のイメージが浮かぶ。子供の頃「アンネの日記」を読み、幼く亡くなったアンネに涙した。仕事でシドニーのユダヤ博物館を何度も訪れたが、そこで語られるホロコーストの惨状に心が苦しくなる。映画ではさまざまにナチは描かれるが、「戦場のピアニスト」で描かれる様に心が痛い。これもまた仕事でポーランド系のユダヤ人作家で、ノーベル文学賞受賞者のアイザック・シンガーが書いた本を読み、戦争とホロコーストの悲惨さがどれほどまでに人間の精神を傷つけてしまうかに呆然としてしまう。

 今ガザでは多くの人間が亡くなっている。ホロコーストはジェノサイドだが、今パレスチナで起こっていることはジェノサイドだと言われる。イスラエルにも今の状況を良しと思っていない人たちもいるだろう。なぜ殺し合わなければいけないのか。なぜ死んでしまわなければいけないのか。それを少しでも理解したい。

 「bystander(傍観者)」。ホロコーストの時もなにもせず、現実から目を背け、傍観していた人たちがいた。傍観者は消極的な加害者でもある。わたしたちは何ができるのか。まだ私には明確に見えない。だからこそ、傍観するのではなく、少しでも学び、理解したい。少しでも多く人がそう考え、この問題に向き合えば、かならず何かが動き出すだろう。

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