ちょうど良い気温
いつのまにか、朝晩の風が少し肌寒く感じるようになった。
今年も長く暑い夏がようやく終わるのかと、少し、というかとても嬉しい気持ち。
相変わらず昼間は暑いけれど、1日の始まりと終わりに微かに香る秋の気配に胸が踊る。
なんとなくここ数年の私にとって、秋は恋の始まりの季節だった。結局どの恋も実らなかったのだけれど。
だから、冷たい空気に触れると実らなかった恋たちを思い出してなんだか無性に切なくなってしまう。秋も冬も大好きな季節なのに、記憶と気温が自然とリンクしてしまう人間の感性が恨めしい。
でも、今年の秋はいつもと少し違う。きっと新しい季節になると思う。
2ヶ月前に彼と付き合い始めてからこれまで、彼の家のドアを開けて外に出た時の一言目は決まって「暑いね」だった。それが気づけば、ここ最近は「涼しいね」に変わっていた。
今まで付き合ったどの人にもなかった落ち着きや安心感をくれる彼。初めて本当の居心地の良さを知った気がする。とても好きだ。
そんな彼と過ごす秋が楽しみだ。きっと特別なことは何もなくて、当たり前に一緒に過ごすのだと思う。でもそれがとても楽しみだ。
誰かと一緒に、特別な何かをするのではなくて、ただ日常を共にしたいと思うこと。秋はそんな思いにぴったりの季節だと思う。愛する人と過ごすのにちょうどいい気温。
たくさん手を繋いで、たくさん抱きしめたい。
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