興味のない映画を観るのも悪くない
先週、母と一緒に映画『マイ・ダディ』を観に行った。
母はもっぱら洋画好きで、私も普段日本のものはあまり観ないのだけれど、知り合いからチケットをもらい、せっかくだから観に行くことにした。
普段なら絶対に観ないようなタイプの映画だし、あらすじも出演者も何も知らないまま映画館に向かった。
その日は卒論関連の提出物の締め切りで前の日から徹夜で一睡もしていなかったから、寝ちゃいそうだなあ、なんて思いながら席に着いた。
映画が始まって15分ほど経った時、私は泣いていた。
自分でもびっくりした。全く興味もなかったし、それほど期待もしていなかったのに。
結局最後まで寝なかったし、幾度となく涙を流した。時々隣の母を見ると、母の目にも涙が浮かんでいた。
もともと母も私も涙もろいタイプだというのもあるかもしれないけれど、2人とも全く興味がなかった映画にそれぞれ何かを感じて涙を流した。
たまには興味のない映画を観てみるのも悪くないな、なんて思った。
ムロツヨシが演じる映画の主人公は教会の牧師で、娘の白血病の発症を機に隠された過去に苦しめられながら、親子の愛が深まっていく。そんな物語だった。
作中の台詞で印象に残っているのは、牧師である父が病気の娘にかけた
“神様は耐えられない試練を与えない”
というセリフだった。
ありきたりな言葉だけれど、妙に心に刺さった。確かに私たちは、いろんな試練をなんとか乗り越えながら生きていく。それに、神様を信じることも悪くはないと少しだけ思った。
私たちは辛い時こそ何かにすがろうとする。それは家族や友人や恋人かもしれないし、夢や希望かもしれないし、あるいは自分の中のプライドや責任感かもしれない。そうしてすがりつこうとする対象が神様であってもいいと思った。だって、そうでもしないとやってられない時もあるから。
なんだかちっともまとまらないけれど、とにかく、それほど興味のなかった映画を観に行ってよかったなと思う。
これからは、たまにこうやって自分が絶対に好んで選ばないような映画を観てみようと思う。
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