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『ラスト・イニング』あさのあつこ

あさのあつこ先生の『バッテリー』シリーズの外伝。

相変わらず面白い。セリフが秀逸というか、よくこういう粋なセリフを考えれるんだなって、不思議。

瑞垣俊二くんが主人公の物語。小学生の頃にバッテリーを読んだ時は、幼馴染の天才に嫉妬、という言葉に収めることは叶わない感情を持っている瑞垣というキャラクターがあまり理解できなかった。けれど、自分が大学生になり、自分とは違うキラキラした人物が横にいるという事実が、時にその心に影を作ってしまうんだなって、理解できるようになり、ようやく瑞垣くんお心情に共感できるようになるなった。

特に印象が残ったのは、門脇と瑞垣が永倉に対する評価の差。天才である門脇が永倉を気に留めないのとは反対に、原田という天才が横にいながらも、そこから逃げない永倉を尊敬と悔しさと苦い気持ちで眺める瑞垣の差に、いろんなことを考えさせられた。

天才たちではなく、その周りの人物に焦点を当てた物語。
圧倒的な才能の横で、それでもと覚悟を決めた人たちの物語。
それでいて、天才凡才関係なく、自分達の道を行く少年少女を静かに肯定してくれる物語。

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