【シナリオ】「恋したからって」(課題ー迷っている人)
〈人物〉
迎井幸子(15)中学三年生
早乙女佳子(よしこ)(15)幸子の親友
吉田正(15)中学三年生
○幸子の部屋(夜)
勉強机に向かって迎井幸子(15)がノー
トを書いている。
ノートには「緑高校」、「東高校」の字
右手の人差し指をトントンさせながら、
首をひねっている。
「緑高校」の下に「偏差値高い、進学に
有利」と書く。
「東高校」の下には「友達多し、偏差値
ほどほど」と書く。
幸子「(ため息をついて)それでなぁ……」
ノートの「東高校」の下に「吉田くんが
行く」と書き、机に突っ伏す。
○迎井家・外観(夜)
○通学路・川のほとりの道(朝)
幸子の中学へ向かう道。土手の上。
生徒たちが歩いている。
早乙女佳子(15)が、幸子に追いついて
声を掛ける。
佳子「(息を切らして)幸子ー!!」
幸子「あ、佳子」
佳子「志望校、決まった?」
幸子「うーん……」
吉田正(15)が、二人の後ろからやっ
てくる。
幸子、気づいて頬を赤らめる。
吉田「おはよう。緑高校に行ける人はいいね
ね。さっちゃん行けるんだろ?」
幸子、悲しそうな顔をする。
佳子「幸子、緑高校にするの……!?」
幸子「……」
佳子「幸子……?」
幸子「うあーん!(と言って泣き出す)」
吉田「どうしたの?」
佳子「吉田くん!」
吉田「は!?」
佳子「幸子は、吉田くんが好きなのよ!そん
な皮肉言わなくても……!」
吉田「え……!?」
吉田、顔が真っ赤になって逃げる。
佳子「吉田ー!!」
○幸子の学校・外観(朝)
○同・教室(朝)
幸子、未だ付いた涙の跡を拭いながら、
カバンから教科書などを出して席に着い
ている。
佳子「幸子」
幸子、佳子のほうを振り向く。
佳子「吉田から、速達」
幸子、吉田の席の方を見る。
吉田、赤くなってふてくされて、幸子の
ほうをチラチラ見ている。
幸子、慌てて吉田の手紙を見る。手紙に
は、「緑高校やめないで。俺、頑張る。
一緒に行こう」
幸子、思わず 吉田のほうを見る。
吉田、顔を合わせない。
佳子「なんて書いてあった?」
幸子「ううん、内緒!」
教室の窓から、緑が見えて、カーテンを
そよそよと揺らす。
おわり
トップ画像は、メイプル楓さんの
「みんなのフォトギャラリー」より
いつもありがとうございます🍀
©2023.4.22.山田えみこ
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?