呼ぶことのできる彼
先日、仕事帰りのこと。
仕事が終わり、いつも駐車場まで一緒に帰る同僚がその日はたまたま別々の駐車場に停めていた為、私は一人で少し離れた駐車場まで帰ることになった。
一人となれば寄り道がしたくなる。
そう思う前に体は動いていた。
駐車場までにあるコスメ売り場。
「これ、ずっと買うか迷ってんだよなー」なんて思いながら、
今日も買わない選択をした。
寄り道すると出費もする、、、と思いながら歩き始める。
そんな、買わない選択をしたコスメのことで頭がいっぱいだった時、
「ん?名前を呼ばれたような?気のせいか?」と思いながらも振り向いてみた。
数メートル離れていただろう。聞こえるか聞こえないかという微妙な距離。
そこにいたのは別部署の彼だった。
「〇〇さん。お疲れ様です。」と私は言い、彼は近づいてくる。
彼とは別部署でも、月に数回会議で会う。
しかし、まだ知り合って一年ほど。
会議でも話したことがあるのは片手で数えられる。
それ程、親しい仲とは言えない。
人見知りの私からすれば、初対面の人となんら変わりない態度をとってしまうであろう。
そんな関係性に加えて、よくこの距離で呼びかける選択をしたな。と彼に対して関心を持てた。
私にはない選択。呼んでも聞こえなかったら?もし人間違いだったら?
気づいてもらえたとしても何から話す?呼んだらダメだったかな?
なんて色々考えて、結局スルーするという選択をするに違いない。
今までも何度かそういった場面に遭遇したことがあるが、毎回その選択。
呼べない私。
呼びたい時だってある。
私は少数派なのかもしれないが、わかってくれる人も多いはず。
でも呼ばれた時に感じた、わざわざ呼ばれて挨拶されるって素敵だな。
気づいてもらえるって意外と嬉しいんだなと。
ちょっとしたことでも、私にはすごく響いた。
自分では選択しない方をたまには選んでみようと思えた、ある日の帰り道だった。
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