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過去の恋愛 〜Rくん編〜 #2

大学1年の夏休み、高校の部活の後輩の大会の応援に行くと、そこにはRくんがいた。

もう卒業して直接の知り合いはいないはずなのになぜここにいるのか気になり声を掛けてみると、彼女の応援のために足を運んでいるうちに、この部活自体を応援したくなったそうだ。どんな話の流れだったかは忘れたが、気付いたら私は彼と2人で会う約束をしていた。きっと誘ったのは私だったと思う。

当日、駅で待ち合わせて映画館に行った。もちろんのことながら周りに高校時代の知り合いはおらず、私の知り合いに誰にも告げずに彼と会っている事実が、なぜだか悪いことをしているような気分にさせた。完全にプライベートな時間にRくんと2人きりで会うという経験がなかった私にとってこの日は、特別な初デートとして鮮明に記憶に刻まれる日となった。

映画館で隣に座るRくん。座る時にズボンが下がったせいか、後ろからちらっと見えた背中と下着。左腕から感じる彼の体温。ふわっと香る洗剤の匂い。こんなことに興奮する自分への嫌悪感よりも、彼が初めて経験させてくれた胸の高鳴りの方が遥かに大きかった。正直、映画の内容などほとんど頭に入ってこなかった。

映画が終わった後は、カフェに入って甘いものを食べながら2時間ほど話した。初めて長時間、真正面から見るRくんの顔はとてもかっこよかった。それまでは教室や駅のベンチなど、横並びで座って話すことしかなかった。この瞬間は彼の時間を私が独占しているんだと考えたら世界中の誰よりも幸せだと感じられた。

お互いの大学の話、将来の話、様々な話題で盛り上がった。いつまでもこの時が続いてくれればいいのにと思うほどには充実した時間が流れていた。話をする中で、彼の目指す職業が私と同じであることを知った。無知で経験の乏しい私はその時に少し運命を感じてしまった。

書いているだけで恥ずかしくなるほどに、あの頃の自分は舞い上がっていたんだなということを実感する。

未来への期待を込め、この日は解散した。

次回に続く

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