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【大人の読書感想文】神隠島

 はやみねかおるさんの昔のホームページ?に書かれている作品です。

 教授がM大学で探偵同好会の顧問をしている頃のお話です。時系列的には亜衣ちゃんたちと出会う前ですし、シリーズが始まる前に書かれた作品なのか教授の性格もシリーズとは少し違うところもあります。ただ本編と変わらないのはとにかく面白いことです。物語に惹き付けられるというか引き込まれるというかそういう感じはさすがははやみねさんです

・ストーリー
 教授が顧問を務める探偵同好会が神隠島で合宿を行ないます。そこで連続殺人事件が起きて、そこに巻き込まれてしまうといった感じです。ミステリィの王道的な感じのお話です。
 夢水清志郎事件ノートシリーズとちがってリアルタイム描写で割と人がしんでいきます。あちらは児童書というのもあって物語の現在軸で人が死ぬことはなかったと思いますが、こちらは児童書ではありませんのでその辺りの描写もやや大人向けとなっていますね。ただ文章に重苦しさはなく、軽快に読むことができます。そしてそんなに長くないのであっという間に読めちゃいます。

・登場人物
夢水清志郎:M大学論理学教授兼探偵同好会部長です。シリーズのときよりも大人っぽいというかダーティな性格です。謎に対するスタンスが少し違います。シリーズでは「みんなが幸せになる」解決をしていましたが、こちらでは「自分が謎が解ければよい」というスタンスです。ただそれが嫌な感じで出ることはなく、全体的には教授はやっぱし教授という感じです。
風街美里:主人公というか、狂言回しというんですかね、夢水清志郎シリーズにおける亜衣ちゃんポジションはM大学4年生の風街美里さんです。探偵同好会の部長さんです。特技は空手です。ぼくの感覚では物語におけるツッコミ役です。
勇嶺美奈湖:探偵同好会の唯一の部員です。男系家族で生まれ育ち、なかなか癖のある性格になっています。
 この辺りがメインの登場人物です。ぼくははやみねさんの文章が好きですが、何よりもやっぱりはやみねさんが描く人物画好きです。読み終わったときにどの人物のことも好きになっているんですよね。気がつくともう一回読み返したくなっているんです。読み返したくなると言うかもう一度登場人物達に会いたくなるというのが正しいかもしれません。

 物語自体は短いお話なのであっという間に読めてしまいます。教授は訳あってほとんどの場面で寝ていますし、風街さんと勇嶺さんが主体で動きます。ただそれでも決めるところはやっぱし教授が決めます。ラストらへんはミステリーの館に似ているかもしれません。教授が教授だったころに興味がある方は読んでみてほしいです。書籍化されていない作品なので他の人がどんな感想を持っているかとかが全くわからなくてさみしいので、是非いろんな人に読んで感想を書いて欲しいです。ただの読者の勝手な願いですが。ぼくはこの作品好きでした。この探偵同好会のメンバーでの他のお話も読みたいと思いました。


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