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共愛学園および地域の未来、教育テック学への期待 | Focus on people

学長が注目する学長で3年連続1位(『大学ランキング』)に選ばれ、中央教育審議会では教育振興基本計画部会委員や高等教育の在り方に関する特別部会副部会長などを歴任する大森昭生氏に、自身が学長を務める共愛学園、および前橋市、群馬県といった地域の未来に向けた取り組み、教育テック学および教育テック大学院大学への期待やアドバイスについてお話を伺いました。


【略歴】
1968年、宮城県仙台市生まれ。東北学院大学文学部英文学科、同大学院博士課程にて研究。1996年に学校法人共愛学園に入職、共愛学園前橋国際大学国際社会学部長、副学長等を経て、現職。 専門はアメリカ文学で特にヘミングウェイを研究。文部科学省中央教育審議会の各種委員、内閣官房の各種委員等の他、群馬県青少年健全育成審議会会長、同教育振興基本計画策定懇談会座長等地域におけ る各種公的委員を多数務め、各地での講演多数。



本学がDX人材を育成して地域に貢献するのは自然な流れ


Q.2026年4月に「デジタル共創学部」を新設のご予定です。当学部設立に対する大森学長の想いを教えて頂けますでしょうか?
 
共愛学園前橋国際大学は地域と一体となって学び、地域からお預かりをして、地域にお返しするということを永らく行ってきました。前橋市、群馬県は現在デジタル立県を構想し行政を行っている中、例えば、R4年のデジタル田園都市国家構想推進事業においては前橋市は唯一タイプⅠ‐Ⅲまで採択されている都市でした。市民の暮らしのあらゆる所でデジタルを活用し、‘暮らしテック’‘Well-being’な街づくりを行い、デジタルグリーンシティを目指しています。デジタル人材を活用しながら街を豊かにしていく、そのためには産業界の取り組みも重要です。前橋市においては’めぶくID‘というデジタルIDも導入されており、官民共創の取り組みが進む中、地域と一体となって学びを進めてきた本学がDX人材を育成して地域に貢献するのは自然な流れだと考えています。多くの地元企業ではDX人材が足りないという声もあり、企業に貢献出来る人材を育てたいですし、‘暮らしテック’を行政面で進める事が出来る人材を育成出来ればとも考えています。
 

個々に寄り添った教育を、デジタルを併用しながら行う


 Q. 共愛学園をどのように育てていかれるのか?未来に向けての大森学長の構想をお伺いできるとありがたいです。また、取り組みを進める中で理想と現実のギャップ等があれば、そちらについてもお伺いさせてください。
 
軸は2本あり、共愛学園の未来を考えるためには地域の未来のことも考えなければなりません。共愛学園においては大学でのデジタル共創学部新設に加え高等学校がDXハイスクールに選ばれ、小・中学校はGIGAスクールで取り組まれているような事をコロナ以前から行っており、共愛学園はデジタルとは切っても切れない関係、共愛学園の未来とデジタルは大変親和性が高いと考えています。前橋市の再開発に伴い、市の中心部に小中一貫の9年生の義務教育学校を創設する予定ですが、そこでは学年を超えた個別最適な学びを展開する予定です。個別最適になるためには教育テックが絶対必要であり、例えば学習歴や到達度等 個々のデータを認識した上で学習を進める必要があり、より一層デジタルを意識して取り組んでいきたいと思っています。めぶくIDを活用して学習歴等を蓄積出来ればよいなあ、というアイデアも持っています。個々に寄り添った教育を、デジタルを併用しながら行っていく、という学園に育てていきたいと思っています。地域の少子化に向けた取り組みは周りの他校とも協力し、群馬県の子どもたちの為に学びのアクセスを確りと残す必要があると考えています。一方、地域での学校間連携については、現時点では地域の中で、まだ想いを十分共有出来ていない事が難しい部分でもあります。
 

黙っていても学生が集まる時代では無い


 Q. 教育テック学に期待されること、未来の教育テック学(2040年を想定)はどうあるべきか?大森学長のお考えやアドバイスをお伺い出来るとありがたいです。
 
これからの学校経営として、今までのように黙っていても学生が集まる時代では無いため、各学校が独自のヴィジョンを打ち出していく必要があると思っています。そのためにも、学校のトップは学校運営に関する専門的な知識を身に着ける必要があるでしょう。その意味でも教育経営学は今後重要な役割を果たすと思います。学校法人という非営利組織のマネジメント・リーダーシップ、如何に教職員を引っ張っていくか、という事はハイレベルな対応が求められており、教育経営学を学べる意義は大きいと思います。同時に、学校の現場ではデジタル機器を使用する事は進んできたが、その先の教育の高度化や業務の効率化までは取り組めていない状況と認識しており、教育情報学が果たす役割は大きいと思います。DXを進めるためには、DXをするとどういう事が出来るようになるのか、想像して示せる人が必要です。教育情報学を学んだ先生が教育現場に戻り、デジタルを活用するとこんな事が出来るようになるよ、と職員室で示してくれる、そんな先生が一人でも増えてくれれば良いなあ、と思っています。未来の教育テック学という点では、学校経営や学校でのICT活用が当たり前の世界になっっていくことが望ましいわけですが、そうなった場合、次は何を教えていくのか?という問題があると思いますので、常に最新のカリキュラム、コンテンツを作り上げていって欲しいなあ、と期待しています。
 

 
お話をお伺いした中で、営利組織のマネジメント手法・リーダーシップと非営利組織である学校法人での手法は違う、何をモチベーションとして教職員に示すのか?という点は改めて気付かされる事がありました。
手段としてのテクノロジーは必要である一方、人間としてのコミュニケーション、如何に学校組織を円滑に運営していくか?については当大学院でもテーマとして取り組んでいきたいと思います。
(取材者:編集部・笠原)


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