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【27日間沖縄旅行】おすすめ沖縄本。
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先日の沖縄旅行から沖縄の食文化、文化に興味が湧き、旅行中、旅行後に本を買い足し何冊か読み終わったり終えてなかったりしています。
どの本も私にとっては今回の旅の内容と余韻を最大に高めてくれるものだったのでその感動を忘れないうちに書いておきます。
◉先日の沖縄旅行記はこちらです↓
【沖縄島建築】
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この本に旅の初めに出会ってなかったら結構旅のクオリティが変わったんじゃないかな・・という位お世話になった本です。
沖縄の歴史とともに代わっていく建築様式について、初心者にもわかりやすく、しかし結構深く教えてくれるのですごく勉強になりました。
よくみてる沖縄の昔ながらの家も、「ウワーッ!!何気なくみていたコレ、こういう意味があったのか!!」とか「ウワーッ!!このブロック使い、たまらんね!!」とか「ウワーッ!!この家玄関がない!!昔ながらの作りだーウワーッウワーッ!!」と仕入れた知識が街中で発揮されるたびにアドレナリンがドバドバ出るという非常にハッピーな状態で街歩きができます。ドーピングです。特に私と旦那は写真を撮りつつ街を歩くのが趣味なので、その恩恵が大きかったのかもしれません。
そして一般的な家の説明はもちろん、沖縄で特に魅力的な建物についてはさらに詳しく説明してくれています。普段の旅行なら決して行かなかったであろう場所にいく機会を与えてくれて、そしてそこで貴重な経験も色々したのでほんとに感謝しきれない。
あと紹介されている建物にたまたま出くわすたびに「ウワーッ!!沖縄島建築に載ってた場所だ!!ウワーッウワーッ!!」となるのでまあ、結局ドーピングです。ドバドバ(アドレナリンの音)。
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そして筆者の岡本さんの、建築と共に沖縄の人たちの記憶を書き留め、つないでいく。という思いをひしひしと感じる本です。意識しないと当たり前のように日常の中で見過ごされて、気づいた時には無くなってるものってきっと沢山あるんだろうなー。
【沖縄島料理】
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こちらも島建築の続本ということで同じ著者の方が監修されています。
島建築を愛読していた旅の中盤で本屋でこちらを見つけ、元々の興味としては食文化の方が遥かに大きいので飛びつきました。
私は元々その土地特有の、自分の出生地からは考え付かないような食文化がめちゃくちゃ好きで、特に沖縄は独特も独特で本当に面白い。中国文化の影響が色濃い琉球時代のおもてなし料理とか、宮廷菓子、物凄い多い季節ごとの行事の菓子、などスーパーで目にしてもなんのこっちゃだったものの意味がわかると、これまたテンションが上がってそして愛おしさも爆発します。
(どうでもいいですが地方の食の狂気性(非常に良い意味で)が一番出るのはスーパーの菓子パン売り場だと思っているので、私はそのコーナーを見るのがめっちゃ好き)
そして歴史を知った上で伺ったお店に対しての敬意と感動も増しました。伝統を継いでいくってすごい努力と覚悟がいるであろうこと、なかなかそんな事を意識してお店に行かないので本当にいい経験をしたと思う。
旅の中盤に手に入れたので回れたお店は一握りですが、寄れなかったお店に行くのはまた次回の楽しみでもあります。
そんなわけで旅の中で非常に大きなウェイトを占めたこちらの2冊。とてもおすすめです。岡本さんにお礼を伝えたい。ほんとお世話になりました・・(ここで言う)
【日本人の魂の原郷 沖縄久高島】
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これは沖縄の旅行本に紹介されてて、旅中ずっと探してたんですが見つけられず帰ってきてから購入して読んでいるところです。
今回久高島には行かなかったんですが、なんとなくこの本のことが頭にあり読んでから行きたいなあと思ってたのでまあよかったのかなとも思っています。
著者の比嘉さんが実際久高島に通い、見聞きした文化を詳細に書いてある本なのですが、実は難しすぎて1/10くらいしか理解できていません。沖縄方言による催事や役職の名称がなかなか頭に入ってこないのと、それ以上に久高島の文化が非常に緻密で複雑であるからです。
もうほんと、信じられないくらい複雑。これを繋いでいた人々の信仰心の高さと努力は計り知れない。と同時に、島の決まりによる息の詰まるような思いもきっとあっただろうとは思うのです。
今は後継者不足により、催事も途絶えてしまったり、そもそもの語り部がいなくなってしまったりしているようですが、この本は島の歴史の記録として大きな意味を持っていると思う。
私はあんまり理解できていないのが悲しいところですが、久高島が「どれほどの熱量で神様と向き合ってきたか」は本から伝わってくるので、もし伺うときはそういう島にお邪魔する。という気持ちで伺おうと思っています。
比嘉さんの写真も空気感が伝わってきて素晴らしいです。写真集見たいなあ。
【料理沖縄物語】
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こちらも旅中に見つけたんですが、読む時間がなかなか取れず主に帰ってきてから読みました。そしてもっと早く読んでいれば色々買ってきたのに・・カステラかまぼこ、上等なラード、芋くず・・と悶々としています。
1910年生まれの著者古波蔵さんが体験した沖縄の食にまつわるエピソードが短編形式で綴られているんですが、戦前の古波蔵さんの幼少期の話が多く、よくもまあそんなに詳細に覚えていますね!と思うほど丁寧に描写されていてその頃の沖縄の景色が目に浮かぶようなんですよ。そしてどれも美味しそうで幸せそうで、
時代が変わりもう手に入らない物悲しさもある。
知っている料理も知らない料理も古波蔵さんの綴られる文章だとあまりに魅力的で夢中で読み終え、後がきを読む前にどんな方なんだろうとネットで検索したらあまりのカッコ良さに震え上がりました。
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どうやら第一回ベストドレッサー賞受賞者らしいです。超納得。
その後大姪である与那原恵さんによる彼の人生を綴った後がきを読んで、それだけでもう映画のような人生で情緒がぐちゃぐちゃになりすごい泣きました。(謎に)
実は旅行中に那覇で泊まった民泊の宿は辻という地域にあり、全然場所の情報を知らずに宿に着いて周りを歩いてみたら沖縄一のソープランド地域だったらしく、無料紹介所のおっちゃんやら呼び込みのお兄ちゃんにビクビクしながらたどり着いた辻のスーパーは薄暗くコンビニレベルに物が高い上品揃えは良くないのになぜか花札はしっかり在庫されているという独特の環境で、穏やかな名護の日々から一転しすぎてめっちゃ落ち込みました。疲れもあってほんとに泣きました。笑
結局数泊した後宿に不具合があり北谷に移ったのですが、そんな辻はかつても沖縄一の風俗街であり、重要人の社交場であり、もてなしのために沖縄の料理の発展に非常に重要な役割を果たした。とこの本を読んで知り、非常に興味深く、そしてその場を見ているので想像もしやすく、辻に泊まったのも無駄じゃなかったなあ、とこの本で救われた部分もあります。
(辻とそこで働いていたジュリと呼ばれる遊女のシステムがとても興味深くて色々調べました。ジュリ馬祭りというお祭りも2000年に復活されて行われているようです。)
そして沖縄島料理でも最初に紹介されている琉球伝統料理の「美榮」というお店が彼の実妹の登美さんが創業したお店であることが繋がり、いつか是非「美榮」に伺ってみたいという目標ができました。
古波蔵さんの文章からは、母や妹の登美さん、他の沖縄の女性に対しても敬意と感謝が伝わってきます。沖縄料理は働き者の女性たちによって伝えられてきた料理、と思うと手間がかかるのもなるほどねぇと感慨深いです。
古波蔵さんの沖縄物語というエッセイも読んでみたいけど、古本ですごい値になってしまっています。いつか読めるといいなあ。
【わたぶんぶん わたしの料理沖縄物語】
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こちらはひとつ前の「料理沖縄物語」がすごく面白かったので、あとがきを書かれていた古波蔵さんの大姪である与那原さんによる「料理沖縄物語」へのアンサーエッセイとのことで是非読んでみたいと思って買ったもの。
こちらは与那原さんが経験した沖縄料理に関する短編エッセイ集で、両親が沖縄出身だけど自分は東京育ちという与那原さんがすごい引力と行動力であらゆる沖縄の方々と出会い、そしてあるいは、別れる時が綴られています。
古波蔵さん初め、どの方々との出会いもドラマのようでキラキラして与那原さんの大切な思い出としてそこに閉じ込められているのが伝わってきて、(決してキラキラした文章とかそういう意味ではないのですが)そして同時にその時間がもう戻って来ないという現実がすごく突き刺さってきてぼろぼろ泣きました。
私も30半ばを過ぎて、思えばあの当たり前のようだった時間が実はすごく幸福でありもう二度と手に入らないものだ、という現実に言いようのない悲しさを覚えることがたまにあります。それをまさに誰かが書いた文章でなぞった感じ。すごくシンクロしてしまいました。特にあとがきがダメだった・・。
これを読んで私は死についてちょっと考えるようになりました。大好きな人も親しい人も自分もいつか死ぬんだなということ。死ぬと思ってなくても突然死んで別れるかもしれないこと。別れる時の後悔を無しにはできなくても、いい思い出の割合を増やせたらいいよね、ということ・・頭で考えてても実践は難しかったりしますが、でもそういうのを学ばせてもらった。
エッセイとしてこちらもとても面白く、料理沖縄物語に興味を持たれたら是非おすすめの一冊です。忘れた頃にまた読んでもきっと同じように感動と面白さをくれる2冊だと思うので、大事にしようと思います。
おまけ
料理沖縄物語で私が一番惹かれたたべもの、「芋くじあんだぎい」を本からの想像も合わせて作ってみました。カリッとモチっとで美味しかった!
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