【年忘れ雑談回】これがあなたが来年読むべき50冊だ！ の感想
※これはポッドキャスト番組「翻訳文学試食会」の感想です
年末のお楽しみ・年忘れ雑談会。3時間30分！
紹介されている本のリスト化は無事完了したので、配信内容の感想を綴ろうと思う。
2024年を振り返る
「音声が良くなった」と大東先生はよく言っているが、そもそもそんなに悪かったかなぁ？あまり気にしなかったんだけど。少なくとも聞きにくいなぁと感じたことはほぼないな。
「奇矯な人」を取り上げた話。『クロイツェル・ソナタ』まだ読めてないんだけど、この回は面白かったな。（関西弁で怒鳴る奥さんのくだりが大好き）
ジーン・リースはには哀しみがある。あれはちょっと息苦しくなる奇矯さ。
その他の感想
三週に渡りメールの集まりが悪いというアナウンスをした干場さん。結果的には約50通も集まったと。すごい。
読み上げられるメールを聞いていると、「普段はメールを送る勇気がないのですが、今回は初めて送りました」という方が何名かいて、これが年末回の醍醐味だよなー！と嬉しくなる。
この番組を聞いているということは本好きなことには間違いない。だけど番組にメールを送る勇気は出ない。それでも本好きの習性で「あなたのおすすめしたい一冊を教えてください！」と言われたら参加せずにはいられなかったのではないだろうか。そうだとするとその「この本を紹介したい！」という思いが本当に素敵だと思う。
また「（紹介されているのが）女性の生き方の指針になるみたいな小説が結構多い」ということに言及されていたのが印象深い。「女性は恋愛の対象として出てくるけど、主役ではない」「男やから、ある種の傲慢さがあるんかな」「女性はロールモデルを探すような読み方をしている。励ましを与えてくれる作品」など、これからもっと深堀りしてほしいトピックだった。
特にヴァージニア・ウルフの『自分ひとりの部屋』を紹介されていた方の「三十数年生きていますが、未だにいろんなことにやり方がわからないと感じることがあり……」という言葉には深く共感した。
『男性作家が女性を主人公に据えた小説に面白いものは少ないという持論』を挙げてらっしゃった方がいらしたが、これ私も知りたい。アメリカのハードボイルドとかミステリが好きでよく読むんだけど、女性像が陳腐でげんなり、ってことがよくあるので。（ロバート・B・パーカーの描く女性とは特に相性悪し）
翻訳小説じゃなければ、ぱっと思いついたのは久生十蘭の『キャラコさん』なんだけど。
干場さんのおすすめ『プロジェクト・ヘイル・メアリー』もちょうど読みたいと思っていたところ。アンディ・ウィアーは『火星の人』がすごく良かったので。
クラウドファンディングの手ぬぐいの話はとても良いと思うのだが「ラッキースケベ」っていう表現がしばしば出てくるのがとても気になっている。時代的にもうアウトな気がするんだけど。
今年は生配信、リアルイベントという計画もあるようで、そちらは本当に楽しみ。
2025年の年末には「読んだことないけどこれを読みたいとずっと思ってるっていう小説を聞きたい」とのことだったが、私は「闇の奥」（ジョゼフ・コンラッド）です。もう半年くらいずーっと置きっぱなしで読んでない。去年の夏に「地獄の黙示録」観てからすぐ買ったのにまだ読んでない。
2024年配信で印象に残っている作品
#64 カーソン・マッカラーズ「家庭の事情」
「夫の仕事の関係で見知らぬ地に帯同する妻の悲しみ」は私自身まだ消化しきれていない。その意味で「家庭の事情」は忘れられない作品。
今回の雑談会第3部で紹介されていた『夏のヴィラ』もぜひ読んでみたい。
#68 ケヴィン・ウィルソン「地球の中心までトンネルを掘る」
これも好きな作品。番組内ではとかく辛い評価になりがちだが、アメリカ文学がやっぱり好きです。
今回紹介された中で読了していた作品
第1部
・スイマーズ / ジュリー・オオツカ（※これは私がメールを送ったもの）
・やし酒飲み / エイモス・チュツオーラ
第2部
・大地 / パール・バック
・自分ひとりの部屋 / ヴァージニア・ウルフ
・あしながおじさん / ジーン・ウェブスター
第3部
・フィフティ・ピープル / チョン・セラン
・停電の夜に / ジュンパ・ラヒリ
・愛人（ラマン） / マルグリット・デュラス
※ラヒリは表題作もいいが、第2話の『ピルザダさんが食事に来たころ』が大好き。
他にも挙げられているどの作品も気になるので、個人的なブックリストをNotionで作ってみた。準備万端。2025年じっくり読んでいきたい。
過去の年末雑談会
2023年の雑談会
2022年の雑談回
伝説の『フェイクお便り』の回。これ今でも聞き返すくらい大好きな回。この頃から考えたら50通のメールって本当にすごいことだ。