望遠
好きな時間帯は深夜。好きな季節は冬。そんな人間が行き着く先は途方もない自己愛だ。自己愛なんて言えるほど純粋なものではないかもしれない。ダメな自分に不満を抱きつつ、どうしようもなくそこから逃れられない自己依存症だ。アルコールが必要無いのも、イヤホンがあれば対話相手が必要無いのも、独り言が長く面白くないのも、全部自己に対する依存の現れなのだと思う。
ちょっとしたズレに酷く敏感に傷付き、全てが嫌になったかのように元いた場所へ帰ってくる。距離が計算出来ないから、上手く感情衛星を打ち上げられない。砂漠に落ちた残骸を愛でながら、涙が出ることもなくボーッと哀しむ。結局この惑星から脱出することは出来ない。無味乾燥なこの土地を愛さずにいられない。未文明の心を正しいと信じないとやっていられない。
日が昇る前に自分を痛めつけるように走る。肺に刺さる空気はひどく冷たく噎せかえりそうになる。でもどこまでも自分に甘いから、走り終えて帰ってくると案外ケロッとしている。そんなことさえもちょっと嬉しいと思ってしまう。
他所の星のカタルシスは程遠い。