【広報コラム】著作権とは?企業の安全を守る!著作権について解説~後編~
この記事には前編がございます。
前編では、そもそも著作権とは何か?という基本のほか、著作権侵害になるケース、ならないケースなどをご紹介しております。
ぜひ前編もご覧ください。
前編(1~3)はこちら↓↓↓
後編
4.著作権を侵害した場合の企業のリスク
著作物は身近なところに存在するため、つい気付かず権利を侵害してしまうケースは少なくありません。しかし、もし企業が著作権を侵害した場合、思いもよらぬ損失につながるリスクがあります。社会的な信頼を失墜させてしまうこともあるでしょう。ここでは、考えられる主なリスクを3つ解説します。
1.損害賠償を請求される
企業が著作物を無断で利用した場合、著作者はその行為をやめるように企業側へ請求できます。著作権法第112条に基づく差止請求です。多くの場合、配達証明付き内容証明郵便などで確実に知らせる方法が取られるでしょう。
差止請求にとどまらず、損害賠償を請求されるリスクもあります。賠償額の算定についてはさまざまな方法が考えられますが、著作権法第114条に推定方法の規定があり、「侵害されなかったとすれば、手に入れられたはずの利益」や「侵害者が侵害行為によって得た利益」などをもとに推定されます。ただし、利益が多く見積もられている場合、侵害者がその立証をできれば推定が覆ることもありえます。
また、不当利得返還請求といったアプローチで、支払いを求められるケースも存在します。
いずれにしても金銭的なダメージはかなり大きな規模になることがあるため、十分注意しなければなりません。
2.刑事上の罰を受ける
損害賠償請求や不当利得返還請求を受けるのは民事上の問題ですが、一方で刑事上の罰も発生します。著作権法第119条では、著作権侵害と確定した場合、
・10年以下の懲役
・1,000万円以下の罰金
のいずれか、もしくは両方が科せられると定められています。実行者本人のみならず業務主体たる法人には3億円以下の罰金が科せられるなど(同第124条)、大きなダメージを受けるでしょう。
3.謝罪広告の掲載をする
万一著作権侵害の事実が判明した場合、それが単に過失であったとしても、侵害した企業は社会からの信頼を一瞬で失ってしまいかねません。とくに多くの著作物やコンテンツなどを扱うような業種の場合は、その後の受注にも大きな影響を与え、経営状態が悪化することも十分考えられます。
また、著作権法第115条において、著作者は名誉・声望を回復するための措置を、損害賠償とは別に侵害者へ請求できるとされています。措置例としては、新聞などに謝罪広告を掲載することなどが挙げられるでしょう。
しかし、そもそも謝罪をして済むような話ではなく、コンプライアンス体制にも関わってくる大問題です。広告で多くの人が目にすれば、信用回復までに相当時間をかけなければならない可能性があります。
5.著作権侵害にならないように気を付けるべきこと
企業が著作権を侵害しないようにするために気を付けるべきポイントを3つ紹介します。
1.著作権について深く理解する
まず、すべての従業員が著作権とは何か、どういったときに侵害になるのか、といった基本的な知識を身に付け、深く理解することです。そのためにはアンケートで知識の度合いをチェックし、社内で著作権に関するセミナーを受講させたり、著作権のことを学べるサイトを共有したりすることが有効でしょう。
また、業務で関わりそうな事例を挙げ、それが著作権侵害に当たるかどうかを示すなど、誰にでも分かりやすい社内ガイドラインをつくるのも一案です。たとえば、オンライン上の画像販売サイトで正規に購入した画像は社内で利用しても問題はありませんが、出所が分からない画像を勝手に使うのは著作権法に違反するおそれがあります。このように、具体例を使うとより分かりやすくなるはずです。
社内の啓蒙活動を、1回限りではなく継続して実施することで、著作権を守るのが当たり前といった企業風土を醸成できます。
2.専門の弁護士に相談する
著作権に関わる問題は奥深く、細かなところまでしっかり確認しなければならないため、自社のみで対応するのが困難なこともあります。
そのような場合は、専門家である弁護士に相談するのも手です。とくに、著作権が関わってきそうな案件や契約を行う前には、念には念を入れて確認しておくほうが安心でしょう。業務内容として著作権にからむことが頻繁にあれば、単発で相談するのではなく、顧問弁護士を付けておくと、過去の案件もふくめてスムーズに相談しやすいためおすすめです。
3.委託先と著作権に関する契約内容を定める
業務の内容によっては、社外にコンテンツの制作を委託することがあるでしょう。その場合、委託先が著作権について知識を持ち、侵害行為をしていないかどうかを、委託元として確認することが重要です。
方法としては、まず委託契約を交わす際、契約書において著作権を侵害しないことやトラブルを起こさないことなどを明記します。万一侵害した場合は、委託元も罰せられるリスクがあるため、その際の対応や規則についても定めておくとよいでしょう。
また、著作物を扱ったサービスを利用する場合は、許諾を得てサービスを提供しているかどうかを確認することも重要です。
6.まとめ
著作物には著作権があり、基本的に複製や模倣は許されません。とくにインターネットが浸透した現代では簡単に複製や模倣ができてしまうため、著作権について深く理解することが大切です。
著作物の一例で紹介した新聞記事を切り抜いたり利用したりする場合も、著作権法上問題がないか注意が必要です。新聞記事の著作権については以下のホワイトペーパーがおすすめです。広報や営業の現場でご活用ください。