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四行詩集「北海道」

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2021年12月の記事一覧

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 廃屋」

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 廃屋」

「廃屋」/ Заброшенный дом

以前にも増して廃屋が増えてきた
押しだまる集落が 確実に増えてきた
住みやすくさせた町が だんだん住みにくゝなる
廃屋のすぐそばにだって 花は咲いているのに

「廃屋」 四行詩集「北海道」より
2002年初出 2021年再推敲

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 灰色の家」

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 灰色の家」

「灰色の家」/ Серый дом

新興住宅地に立ち並ぶ 灰色の家
比較的新しく 小ぎれいに立ち並ぶ
朽ちていく家よりも 数は少ない
留寿都村長の家も 灰色だった

「灰色の家」 四行詩集「北海道」より
2002年初出 2021年再推敲

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 札幌の路面電車」

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 札幌の路面電車」

「札幌の路面電車」/ Трамвай Саппоро

市電はのんびりと走る 札幌の街の中
始発から終点まで乗っている人は
運転手か 暇人のどちらか
途中で降りない限り 旅人は道に迷わない

「札幌の路面電車」 四行詩集「北海道」より
2002年初出 2021年再推敲

【詩作日記】「異国の出来事 / 絨毯」

【詩作日記】「異国の出来事 / 絨毯」

「絨毯」

アナトリアの娘は
絨毯の一つも織れないと
嫁に行けないらしい

幸福な結婚の為に
彼女たちは絨毯を織る
それは緻密にして華美
敷物などと言うものではなく
ひとつの芸術

一枚が孫子の代まで使われ
時間とゝもに色が変わる
しかしそれは
褪せているのではなく
変化をしている
それがトルコ絨毯

芸術品を尻に敷くことは
畏れ多いことだが
トルコ絨毯の目的は
やはり敷くためのもの

ふと手を伸

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【詩作日記】「四行詩・北海道 / 茂津多岬」

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 茂津多岬」

「茂津多岬」/ Мыс Мотта

どうしてこんなに 寂しいのだろう
どうしてこんなに 震えるのだろう
何もない訳でもないのに 身体が震える
越すに越せぬ場所は 峠だけじゃない

「茂津多岬」 四行詩集「北海道」より
2002年初出 2021年再推敲

【詩作日記】「四行詩・北海道 / モモイワ」

【詩作日記】「四行詩・北海道 / モモイワ」

「モモイワ」/ Момоива

蝉のいない静かな入り江の夏
地球の丸さを知った
風が凪ぐ 波静か 寄せ返る大地の声
木の少ない丘の上 風を待つ

「モモイワ」 四行詩集「北海道」より
2002年初出 2021年再推敲

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 後方羊蹄山」

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 後方羊蹄山」

「後方羊蹄山」/ Гора Ширибеши

これでしりべしざんと読ませるのは
なんとも無理があるけど みんな大好き
名前も変わらなければ 山も動かない
姿が見えないと とても寂しくなる

「後方羊蹄山」 四行詩集「北海道」より
2002年初出 2021年再推敲

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 十字街」

【詩作日記】「四行詩・北海道 / 十字街」

「十字街」/ Дзюдзигай

右へ行くなら観光地
左へ行くなら温泉地
どちらへ行こうか それとも戻ろうか
思案の市電の岐れ道

「十字街」 四行詩集「北海道」より
2002年初出 2021年再推敲