【詩作日記】「異国の出来事 / 絨毯」
「絨毯」
アナトリアの娘は
絨毯の一つも織れないと
嫁に行けないらしい
幸福な結婚の為に
彼女たちは絨毯を織る
それは緻密にして華美
敷物などと言うものではなく
ひとつの芸術
一枚が孫子の代まで使われ
時間とゝもに色が変わる
しかしそれは
褪せているのではなく
変化をしている
それがトルコ絨毯
芸術品を尻に敷くことは
畏れ多いことだが
トルコ絨毯の目的は
やはり敷くためのもの
ふと手を伸ばして
その感触を確かめる
アナトリアの娘達の
祈りが織り込まれているようで
僕はこの目とこの手で
絨毯を見つめていた
「絨毯」 詩集「異国の出来事」より
1997年ユルギュップにて 2021年再推敲5
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