吸い込まれる墨汁
大寒を迎えました。
一年でいちばん寒さが厳しくなると言われる日です。
冬休みのことです。
お習字の後に筆とすずりを洗いました。
すると筆に残った墨汁は、うずを巻きながら排水口に吸い込まれていくのです。
思いがけずシンクに描かれた黒のマーブル模様がキレイで、はっとしたことを覚えています。
そして先日の夕方。
夕焼け空の手前にいっぱいに、黒い雲が広がっていました。
まるで墨汁で濃淡をつくりだしたような黒い雲。
それが排水口に吸い込まれるがごとく、大空に広がっていたのです。
まるで大気が、彼方へ吸い込まれるみたいに。
自転の影響を受けながら大気が流れ、うずを巻くように。
とても風の強い日で、雲の流れもまたたく間でした。
ミクロな視点もマクロな視点も同時に開かれたような、不思議な光景。
身に染み込むくらいに冷え込む夜でした。
りんとした冷たい空気に、冷たい風。
すぐ水に流されて消えていったマーブル模様。
気持ちまで引き締まった時間でした。
まだまだ寒い日が続きます。
来週にかけてさらに強い寒気が流れ込む予報が出ていました。
どうぞ皆さまも、お身体に気をつけて良い週末をお過ごしください。
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