きんもくせいの木に、メジロが来た日
引っ越して三ヶ月。まだ一年にも満たない。
我が家のベランダ前には、緑の壁のようにそびえる木がある。見た目は常緑樹。夏の猛暑によき日陰を作ってくれた存在だ。通行人の視線もさり気なく遮ってくれる。
今朝、ふと家の中に漂う香りに気づいた。カーテンを開けると、目の前には満開の金木犀。まさか、あの木が金木犀だったとは!こんなにも急に咲くものかと驚いた。
枝の間をメジロが飛び交い、楽しげに鳴いている。
さっそく豆柴と娘を呼び、一緒に日向ぼっこ。先週までの寒波が嘘のように、穏やかな陽気が戻ってきた。
抹茶アイスバーを頬張りながら金木犀の花を眺め、娘とおしゃべり。いつの間にか、娘も抹茶味を好むようになっていた。きっかけは、旅行中にスタバで飲んだ抹茶ティーラテだとか。確かに、あの海を眺めながら味わった抹茶ティーラテは最高だった。
青空に浮かぶ白い雲、金木犀の香り、抹茶の風味。ほろ苦さとミルクの甘味。飛び交うメジロ。
この瞬間が、しあわせだと感じる。身近に大好きな花があったなんて、秋が来るまで気づかなかった。
時が来れば、自然と気づくもの。
気づくべきときに気づき、気づいたときに楽しめばいい。
メジロもそれを知っているのかもしれない。今まで来たこともなかったのに、金木犀が咲いたから、こうしてやってきた。咲き終わればまたどこかへ飛び去るのだろう。
移りゆく季節を楽しみに。
今を大切にしていきたいと思う。