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コミュニティが起点に!ユーザーの行動を喚起する仕掛けづくり

需要を喚起することもマーケティングの重要アクション

こんにちは。イーライフのアドバイザー水野です。
年の変わり目は、何かと目標設定を行う機会が多いですよね。お正月🎍には「一年の計」、新年度🌸には「新しい売上げ目標」など。個人の生活の中でも、「今年は○○にチャレンジしてみよう」といった意気込みを掲げるのではないでしょうか。この意気込みに寄り添い、行動を喚起することも、企業マーケティングの重要なアクションのひとつだと思います。

自社の商品・サービスを思い浮かべてください。すでに出来上がっている市場の中で一定の売り上げが得られていて、競合とシェアを競い合っているのであれば問題ありません。しかし、そういう市場ばかりではないはずです。 縮小する市場では、「買われなくなること」が真の競争相手であるといえます。したがって、代替市場の商品・サービスへ顧客が流出し、やがて忘れ去られる前に「買う理由づくり」が必要になるのです。

行動喚起の例でよく語られるのが、「土用の丑の日のうなぎ」です。今では高価になり、食べる機会も減ってしまいましたが、うなぎは秋から冬のほうが美味しい時期だそうです。

真夏の「土用の丑の日」にうなぎを食べる習慣ができたのは、江戸時代といわれています。夏場の販売不振に困ったうなぎ屋から相談を受けた平賀源内が、「土用の丑の日は『う』のつく食べ物を食べるとよい」という風習を活用して、うなぎを食べる習慣を提案したのだとか。

博報堂行動デザイン研究所,國田圭作.(2016).
人を動かすマーケティングの新戦略「行動デザイン」の教科書

この「土用の丑の日のうなぎ」の例における行動で着目したいポイントは、「土用の丑は『う』のつく食べ物だよ」というコミュニケーション策もさることながら、うなぎ屋自身が店頭プロモーションなどの行動をとったことです。

うなぎから急に専門的な話になって恐縮ですが、関西学院大学の森一彦教授の論文「行動喚起型コミュニケーションの分析と考察」では、A-C(Act活動-Connect情報コネクト)型情報モデルと呼んでおり、「起点となる活動自体のあり方にその後の情報拡散への共感・共創の重要な誘発要素が含まれている」と記されています。また、同論文では、共感・共創を生み出すコンテンツとして、フィクションとしての作り込みではなく、 リアルな共感をもたらす体験性をデザインする必要がある、と述べています。社会的な意義やインパクト、希少性の高いイベントが、「自分ゴト化」を生み出すようです💡

まずは企業が仕掛けて、拡散の構造をつくる

私がカゴメ🍅時代に関わったプロジェクトで現在も進行中なのが、日本の野菜不足をゼロにすることを目指した「野菜をとろうキャンペーン」です。野菜飲料の需要喚起につなげる意図もありますが、「日本人の野菜摂取目標350gに対し、あと60g不足している」という情報を発信し、野菜摂取意欲を高める啓蒙活動を起こしたのです。不足量をわかりやすく伝えるために、60gがどれくらいの量かをヴィジュアル表現したほか、多くの企業とコラボレーションを行い、社会全体で野菜の必要性を訴えています。

他には、「受験生応援マーケティング」が思い浮かびます。2000年代前半のネスレのキットカットが火付け役ですが、今やたくさんのメーカーが冬場から春先にかけて、受験生応援のマーケティング行動や関連商品の開発を行っています。受験生やその親にとってかなり特別な時期であるが故に、共感を得て、情報拡散する行動を誘発しています。

コミュニティを行動喚起の起点にする

このような行動喚起は、仕掛けは企業起点であったとしても、受け手の消費者が触媒となって拡散していかないと、大きなムーブメントは起こせません
情報チャネルとして、SNSのフォロ ワーからの拡散はムーブメントを起こす王道の方法と言えるでしょう。そして、拡散力はSNSには及ばないかもしれませんが、企業コミュニティも行動喚起の起点になり得ると思います。行動喚起を促すテーマをコミュニティ内に提起し、双方向でディスカッションの場をつくりながら、UGCを生成することが可能です。また、行動喚起を促すテーマに対し、アンケートを実施するのも有効です。

社会課題をテーマに、コミュニティを活用して「声」を生み出しているのが、寝具で有名な西川です。西川が運営するコミュニティ「みんなの眠ラボ」では、睡眠に関するセミナーやQ&Aなどでその重要性を啓発するとともに、双方向のコミュニケーションによって、会員の睡眠に関する課題や意識を把握しています。

また、JALの「旅コミュニティ trico」では、SNSと組み合わせた運営を行っています。JAL側が旅に関する情報発信の場を構築し、そこに会員やSNSフォロワーが触媒として情報発信することで拡散につながり、旅行への行動喚起を生んでいるのです。

「ちょっといい話」第11回まとめ

今回のテーマ「人を動かす」は、企業のマーケティング戦略で考えると壮大なプロジェクトのように感じるかもしれません。でも、「企業が先に仕掛けて、共感を生み出す」という原理がわかると、意外と小さなアクションでも「人を動かしているんだな」と実感できるでしょう。 逆に、自分が動かされた体験が、次に動かす側になったときのヒントになることも。日々の生活のなかでハッと思ったことは、記憶に留めておくとよいと思います。