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団塊さん「Zくんは国民民主党に投票したんだって?社会保障はね、守らなきゃいけないんだよ」Zくん「その点において僕らは対立していません。僕は社会保障を守るために国民民主党に投票したんです」

団塊さん 77歳男性 大卒 元大企業勤務 妻と息子と3人暮らし 4LDK 東京郊外の一軒家在住、住宅ローン完済 金融資産2000万円(現金500万円 株式1500万円)
長女は別の家庭を持っている
年金収入は国民年金と厚生年金で月20万円

氷河期(後期)くん 46歳 フリーター 独身 23区内シェアハウス在住 手取り15万円 国民年金のみ支払い 両親は地方都市に在住(75歳)
金融資産は50万円(銀行預金)

Zくん 25歳 正社員 独身 23区のワンルームに一人暮らし 手取り20万円 金融資産は120万円(100万円 つみたてNISA 20万円は銀行預金)

この会話は架空のものなので、全員がお互いの上記プロファイルを正直に、明確に把握できるものとする

団塊さん「Zくんは国民民主党に投票したんだって?社会保障はね、守らなきゃいけないんだよ」

Zくん「その点において僕らは対立していません。僕は社会保障を守るために国民民主党に投票したんです」

氷河期くん「社会保障費が減ったら俺達も貰えなくなるんじゃないかなあ」

Zくん「社会保障を維持するには規模を適正にしなきゃいけないんですよ。少なくとも20年くらい増加が続いているんですよ。これはあと10年とか15年位で無理が来ると思います」

氷河期くん「国債は増刷できるし、お金だって印刷できる。それに今までなんとかなってきたんだからなんとかなるよ」

団塊さん「頭の良い官僚が緻密な計算をして、うまくやっているんだ。Zくんは心配しすぎだよ」

Zくん「あの…みなさんがその楽観性を持つにいたる具体的な証拠って何かあるんでしょうか」

氷河期くん「証拠…?MMTの理論では基軸通貨を発行する国家は財政的な限界がないから大丈夫なんだよ」

団塊さん「今までの日本の発展が何よりの証拠だよ」

Zくん「つまり、お二人とも具体的なデータをお持ちではないと…。まず、僕らは短期的に、つまり、5年くらいはかなり異なった利害と見通しを共有しています。一方で、長期的には利害が近づくんじゃないかと思っています。これを一度表にします」


著者作成

お話から、皆さんの希望を推定しました。
協会けんぽの財務表や人口動態などから推定すると、現状のままの社会保障は維持できないと推定しています。

MMTに関してですが、お金の不足は確かに解決できると思いますが、人員の不足は解決できません。そして介護も医療も人口集約的な産業で、今のところ機械化の目処はたっていません。
西欧諸国の対応を見る限り、移民の受け入れも限界があります。

つまり、この制度がゆくゆく機能しなくなるのは既に予測できます。
それが10年後なのか、それとも僕が後期高齢者になる50年後なのかを正確に予測することはできませんが、すでに薬剤の不足介護施設の倒産など、が起きているので、持続可能性について僕は非常に懐疑的です。
厚生労働省や保険組合、或いは自治体の財政、僕や氷河期さんの給与明細や資産額を見れば持続可能性が限界に近付いていることは理解できるはずです」

団塊さん「Zくんがとても心配しているのは伝わってきた。しかしいつ壊れるかなんて誰にもわからないだろう」

Zくん「多分これは複雑系に属する事柄なんです。だから正確な時間を予測することはできません。でも、予想外の事態に対する耐久力と考えた場合に、徐々に脆弱になっている、ということはできます。なにしろ
2024年の歳出は24.0%が国債の利払いと債務償還費、33.5%が社会保障費でした。
1998年、つまり26年前は、歳出の21%が国債費、18.6%が社会保障関係費だったわけです。
これ以外から国の財政をやりくりしなければならないので、財政の自由度は減っています。

例えば南海トラフ地震が起きれば、171.6兆円の被害を被る可能性があるわけです。その場合は現状の水準で社会保障が維持できなくなるかもしれません。これは突然の戦争、経済危機でも言えます。新型コロナウイルス感染症の流行がもたらす人的資源への継続的なダメージもきっかけとなるかもしれません。団塊さんは、壊れる可能性を下げたいとは思いませんか」

団塊さん「そりゃあ、壊れるって言われればね」

Zくん「僕は、その気配が少しずつ表れていると思います。若い世代の静かな退職適応障害の診断数の劇的な増加…。なんとなく僕らの世代からは、社会を支えようという気持ちが失われているように感じるんです。どちらかといえば、社会保障制度をうまくハックしてやろうっていうか…。まあ、僕の周りだけかもしれないんですけど。離脱オプションを積極的に行使していると言い換えてもいいかもしれないですが」

氷河期くん「そんなことしたら俺たちの世代が厳しくなるじゃん、やめてくれよ…」

Zくん「稼げば稼ぐほど取られるなら頑張らないのは当然じゃないですか?こんなこと言ったら怒られるかもしれないですけど、氷河期さんはその貯蓄で将来どうするつもりなんですか」

氷河期くん「そんな先のことわからないよ」

Zくん「僕は氷河期さんが生活保護にならないか心配です」

氷河期くん「ああ、それは大丈夫、親父の年金があるから実家に帰ればなんとかなるんだよ。家もあるし。そうなると仕事が厳しいけど…親父の年金は20万円くらいあるはずだから、それと相続財産でしばらくは食っていけるはず。つみたてNISAでS&P500やったら年率10%で増えていくんでしょ、親父が元気なうちは年金で暮らして、亡くなったら相続財産の2000万円をそれで運用すれば年間の運用歴が200万円、これと持ち家ならまあなんとかいけるかな」

Zくん「やっぱりそこが僕らの利害関係が一致しないところなんでしょうね。僕の父は55歳で、すぐに年金も貰えないし、亡くなる予定もないですから。それにさすがに実家暮らしは嫌だな…」

氷河期くん「俺だっていやだよ。でもさ仕方ないじゃんさ。バブル崩壊で就職がめちゃくちゃになったのは上の世代のせいだし、あるものでなんとかしていくしかないんだよ」

団塊さん「まてまて、俺たちが築いた財産をどうするつもりなんだ。俺がお金を貯めたのは子供に実家暮らしを延々続けさせるためではないぞ」

氷河期くん「そうはいっても、他の方法がないんですよ。僕と団塊さんじゃ生活水準が違いすぎます。それに僕には昇給もないんです。僕の他の未来があるんだったら教えてください」

団塊さん「氷河期くんは…手取り15万で、非正規雇用で、国民年金ってことは月6-7万円か、金融資産はほとんどなくて、持ち家もなくて…正社員に転職すれば今からでもなんとかなるんじゃないか」

氷河期くん「まあ、確かに最近就職は増えてますけどね、でも僕46歳ですよ、ここから新人やるのはきついんですよ。それなら今やってる仕事を続けてた方がいいかなーって…そんなこと言っても未来がないとおっしゃるのはわかります。でも僕に未来なんてずっとないんですよ。僕はもうこれ以上新しい苦労なんてしたくないんです」

Zくん「僕は氷河期さんよりはだいぶ恵まれてるんですが、それでもまあ、団塊さんみたいな生活はできないんだろうなって思います。団塊さんが積み立てた資産と年金を氷河期さんが使って、その後には何が残るんでしょうか」

団塊さん「それは私も心配していることだ。私は日本を豊かにしようと思って一生懸命に働いてきたつもりだ。Zくんの考えるハックするだのなんだのはよくわからん。しかし、豊かにしようした資産が氷河期君に使われても、さらに古くなった持ち家のほかに何も残らないんじゃないか、ということは私も心配している」

氷河期くん「何が残るって言われてもな…おれも自分が生きていくためってことくらいしか考えていないし。ただね、俺も親父が亡くなる時には60くらいにはなってるのかな、それで友人もいない土地で一人で生きていくっていうのは確かにどんな未来なんだろうな」

Zくん「だから、今のままだと全員未来が暗いんです。団塊さんはそれを知らずに過ごせたかもしれないんですけど、今、知ってしまったわけです。僕の提案はこのろくでもない未来を少しずつ変えていきませんか、ということです。それには社会保障制度を変えていくことが必須なんです」


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