アーユルヴェーダー基礎理論 五大元素とトリドーシャ
はじめに
今回はアーユルヴェーダーをまったく知らない人へざっくりと基礎を解説します。
私は以前、ある日本のヨガのNPO協会でアーユルヴェーダの基礎理論と実習を教えました。その内容にプラスアルファしながら公開していこうと思います。
アーユルヴェーダとは生命の科学・真理を意味する約5000年の歴史がある古代インドの伝承医学でありサンスクリット語の詩歌にして口頭で伝えられ多と言われています。
その知識は後にチャラカ・サンヒタ―、スシュルタ・サンヒタ―、アシュタンガフリダヤ・サンヒタ―の3つの古典書にまとめられました。私がアーユルヴェーダーがしっくりきたのにはいくつかの理由があります。
5000年以上の歴史があり現在も世界中でその知識が利用されていて、アーユルヴェーダーがもし有益な知識ではなかったら、とっくに衰退してこの世の中に存在はなく誰も知らなかったでしょう。
過去100年くらいの中で医学は凄まじいほどに発展してきています。
その現代医学分野やWHOでもアーユルヴェーダーや東洋医学と現代医学を並行して生活に取り入れることを薦めています。
心理学や健康分野では様々な大学や機関で臨床実験など行われていますが、実験回数や期間、実験した人数や規模について正直疑問になります。
その実験について議論する余地もないほど誰もが当たり前に安全と思うようになるには少なくとも数百年くらい経過が必要なのではないかなと個人的に思いますが、もちろん緊急を要す場合や様々な状況下ではそんなことを言ってられないのでしょうが。
私たちって、科学的には...だと証明されているという言葉に弱いと思います。
科学的には...だと言われると専門家でない限りは何も語れる理論も学んでないし知識がないので、感覚的にそうかな、それ本当かな?って感じても相手にそう言われたら、その場ではとりあえず受け止めるしかないし、科学的に証明されているという定義はある理論があって、その話題を展開した人の中の定義ということになるので実際には○○という理論の中では科学的に証明されていて、その理論が好きで自分に合っていると思う人が他者にそれを理解してもらうために科学的に...だと伝えるのだろうけど科学的に証明されていると言われると実験回数や期間、実験した人数や規模、その実験から何年の時が経過して、その後に結果の相違がなかったのか...これは人の寿命が100年だとしたら自分が生きている間に起こったことなら簡単に信頼するにはエビデンスとして満足できるかなあと思うんですが、結局はその科学的に証明されたという理論さえも、個人の好き嫌いで認めるしかないのだろうなとも思います。
皆さんがアーユルヴェーダを面白い、好きかもしれないと思うかどうかはこの記事を読んでみてもらえればと思います。
人生には4つのタイプがある。
有益な人生と無益な人生、幸福な人生と不幸な人生、人生にとって何が有益であるか、長い命と短い命についてを伝える科学である。
~アーユルヴェーダ古典 チャラカ・サンヒタ―より
魂・精神・肉体のすべての調和がとれていることが健康であると言えるというのがアーユルヴェーダーの考え方なんですね。
なので人間関係の悩みのなら心の問題なんじゃないの~?と思うかもしれませんが、前提としてホリスティックな理論です。
アーユルヴェーダーでは魂・精神・肉体のすべてが繋がっていると考えるので、心、精神だけを取り出して対処しても根本的な解決には至らないと考えるのです。
アーユルヴェーダの定義
身体的健康と精神的健康について下の表の中のコンテンツがすべて健康でありバランスがとれていることがアーユルヴェーダーでの健康です。
※とりあえず アーユルヴェーダーで使用するサンスクリット語を載せましたが、覚えなくても大丈夫です。
・身体的健康と精神的健康がバランスが調和すること。
・3つのドーシャがバランスをとること。
その内容を下記に分類しています。
宇宙で起きていることと人間の身体で起きていることは関連している。
「力を与えるもの、力を取るもの、動き、、、月、太陽、風、、、宇宙と人の間ではカファ、ピッタ、風(ヴァ―タ)が維持されている。」
~スシュルタ・サンヒタ―
太陽の熱は肉体を消耗させ、月は滋養を与え、風によって動かされるということです。
パンチャマハブータとは
五大元素をサンスクリット語ではパンチャマハブータと言います。
パンチャは5つ、マハは大とか偉大な、ブータは元素という意味です。
トリドーシャとは
3つの生命エネルギーをサンスクリット語でトリドーシャと言います。
トリは3、ドーシャは生命エネルギーですという意味です。
ヴァ―タ
性質:空間、動き、サンスクリット語で風を意味する。
どのような動きにも空間が必要であり、動きを伴う生命現象はすべてヴァ―タがつかさどっている。
宇宙もアーユルヴェーダではひとつの空間・スペースである。
写真のカイトは風によって飛び、動いている。
特徴:乾燥している、軽い、冷たい、ガサガサしている、粗い、微細(目に見えないくらい)、動き
ヴァ―タがいる場所:直腸、大腸、下腹部、腰、大たい骨(人間の一番太い骨)、耳、腸や骨の隙間、皮膚
宇宙空間と同じように人間の身体の臓器はひとつの空間である。
ヴァ―タの機能:意欲的に働く、呼吸(吐く吸う)、あくび、咳、くしゃみ、空腹、げっぷ、おならをする、排せつ、眠気、性欲などの生理現象
ピッタ
性質:変化する。サンスクリット語で燃焼を表す。水元素に依存する。
変化する性質を与える力。水のように流れる働き。
溶接のように熱を加えることで性質を変化させる力があります。
物質だけを見るのではなく、ピッタタイプの人は目の前に与えられた仕事を処理する能力が高い性質です。
特徴:少し油っぽい、理解や消化が早い、鋭い、熱い、汗をかくことでの臭い、変化、液体の流動
ピッタがいる場所:へそ周辺、胃、汗、血液、リンパ、目、皮膚の色艶
ピッタの機能:消化、体内の熱、空腹、のどの渇き、視覚、皮膚の色、知識の保存(記憶)、皮膚のなめらかさ
アーユルヴェーダでは火にも水の元素があると言われています。
カファ
性質:体を構成する。サンスクリット語で水から生まれたものという意味。結合する性質。
ものとものを結び付け、栄養を与え、体を形成する。固形、密集、硬い、潤う
岩や石のように固く密集し重いものはカッファの性質です。
氷は水、冷たい、固まっている、水というすべてのカッファの要素を満たしています。
特徴:油性、重い、冷たい、ゆっくりしている、べとべとしている、なめらか、安定感がある、はちみつのような遅い速度
カファがいる場所:胸、のど、頭、全ての関節、胃、脂肪、鼻(粘液、粘膜)、唾液
カファの機能:安定感を保つ、体の全ての器官に潤いを与える、全ての関節をつなぐ、寛容性
カファタイプの人の性格は粘り強い、忍耐力がある、包容力がある、しかし不安定になればしつこく何時までも恨んだり怒っていたりという具合です。
あなたや相手がどんな本質なのかを知るテスト
アーユルヴェーダを知ると相手の外見から性格を見抜くこともできるのも実用的です。
もちろん相手でなくまずは自分を観察することで自分の長所や短所を知ることもでき、仕事や人間関係にも活かすことができます。
相手の本質的な特徴がわかった上での対処の仕方を知っているほうが何がなんだかわからなくて、相手のことをまったく読めないより合理的ですよね。
あなたや相手がどんな本質なのかを知るテスト方法を試してください。
テストは2種類あります。
・プラクリティ・テスト-
プラクリティはバランスのとれたという意味のサンスクリット語です。
生まれ持っての本質である生命エネルギーであり良い悪いということでなく、生涯変わることはありません。
プラクリティは受精した段階で決まると言われています。
しかし、下記のヴィクリティの影響で自分の本来のプラクリティを見分けるのはなかなか難しいので、節目節目でヴィクリティテストをするといいですよ。
何度もやっているうちにテスト結果が変わらない部分がでてくるのでそこを確認しましょう。
・ヴィクリティ・テスト-
今現在のあなたの心身の状態を調べるテストです。
人は生まれ持っての本質であるプラクリティの五大元素のうちのいずれかの優勢なドーシャが環境、気候、天候、食事、ストレスなどの影響で常に変化します。
ドーシャとはそれによって自分のプラクリティに影響する五大元素である空・風・火・水・土のエネルギーのことです。
ヴィクリティ・テストは今現在のあなたがどうアンバランスになっているのかを確認するテストです。
この2つのテストについて、インドやスリランカのアーユルヴェーダーの医師のクリニックに行けば、脈診や望診をしてくれます。
但し旅行中は日常とは異なり、自分の住んでいる場所の気候と異なっていたり、飛行機に乗ったりして、ドーシャのバランスが変わり、医師のテストでヴィクリティ結果はでてもプラクリティについては正しく診断するのは難しいです。
インドに行くと医者にもよりますが、到着後すぐに、あなたは○○のプラクリティだと断言してしまう医者もいます💦
私はインドで暮らしたりインド人との交流経験から、それもインドの文化と受け止めていますがもし現地で医師に脈診されたとしてもプラクリティについては過信しないでくださいね。
メインドーシャ?サブドーシャ?って何?
ポイントー
メインドーシャとは自分の心身のもっとも優勢なドーシャのことです。
サブドーシャとはメインドーシャの次に優勢なドーシャです。
現代ではほとんどの人はこのふたつのメインドーシャとサブドーシャを持っていると言われています。
もちろんメインドーシャのみの人もいるし、トリドーシャといって3つのドーシャを同じくらいのバランスで持っている人もいます。
ヴィクリティ・テストで重要な点は一度きり行うというのではなく、季節ごと、住んでいる場所を移動したり、旅行に出かけた時など環境の変化があった時、ストレスを感じた時、不調を感じた時、病気の時などに行って記録を保管することですが。
その個人のデータを見て違いを理解していくと自分のドーシャが明確になります。
例えば、Aさんはプラクリティがヴァータ・ピッタとします。
ヴァータは空・風の構成要素でできていて、ピッタは火と水の構成要素でできています。
Aさんはプラクリティ・テストではメインがヴァータ、サブがピッタですので一番影響を受けやすいのが空と風、次に影響を受けやすいのが火と水です。
ヴィクリティ・テストの結果、風の構成要素が増悪していたので外見的には肌や髪の乾燥が目立ち、体内では腸に空と風が増悪し乾燥性の便が溜まる便秘、また公私ともにとても忙しかったことから風が増悪し、ストレス過多からの不安、記憶して脳に保存する力が弱くなっていました。風の増悪からドライで冷たい対応や、一過性のカッとなる怒りなどで対人関係にも影響がでそうです...というように分析することができます。
アーユルヴェーダはこのドーシャの増悪で乱れた心身をセルフケアする方法を実践することでより良い人生にしていこうという智慧なのです。
これを自分だけでなく家族や友人などにこっそりやってみると、なるほど💡 !!!とおもうことだらけで思わず、にやけてしまったり、シリアスになりすぎず楽しめますよ。
ちょっと内容が多かったので、頭の中を整理するために何度か読み直してみてくださいね。
ここまで読んでくれた人には次回はプラクリティ・テストとドーシャ・テストの問診票とそのやり方や間違えないでできるテストのしかたなどを解説していきます。
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