卒業生代表、オレ。
前書き
前任校を辞めたのは6年前。その時に保護者・生徒へ渡したメッセージです。一緒に載せたコラムはいずれ別途公開します。
当時はもう、同僚との関係とか、お世話になった人とか、そういうのは全てどうでも良かった。教師とは程遠い、”教員”という職には辟易していた。
でも、生徒と授業はとても好きだった。ここだけは譲れない、かつ、向いていないくせに辞められない自分の矜持である。学校って、センセイと仲良くなってもヤなことばかりだけど、生徒と仲がいいと、ホント楽しいです。
自分はアラフォーのいい年にもなって、トガリまくりの中二病ですが、この時ばかりは、感謝の気持ちでいっぱいだった。理由は、勝手に自分の都合で辞めた自分に、多くの生徒が涙やら手紙やらプレゼントやらをもって感謝を伝えてくれたから。
「モテ期」って、こんな感じなのかなと想像してしまいました。
損得勘定の無い、子どもたちの感謝って、本当に温かくて貴重なものだと最後に教えてもらいました。普通は生徒から卒業の挨拶をするのだけど、今回は、私が生徒にした卒業の挨拶です。
卒業の辞(本文)
さて、もう知らない人はいないくらいに大騒ぎになっていましたが、皆さん本当にお世話になりました。
この文章を皆さんが読んでいる頃には、もうすべての授業が終わっていると思うと感慨深いですね。
今の時代に国語を教えることが、こんなに楽しくなるとは思わなかったし、こんなに熱心な生徒たちに出会えるとは思いませんでした。
僕は君たちのことを(学問的には)子ども扱いせずに、本気で教えてきたつもりです。
もちろんそれなりに大変な思いもしましたが、結局のところ、僕がやりたいことを好き放題やっていたに過ぎません。
それをきちんと授業の形にしてくれたのは他ならぬ君たち自身です。
本当に感謝しているし、とても幸せな時間でした。
そして、いつも温かく応援してくださり、それを許していただいた寛大な保護者の皆様のおかげです。
ほかの学校だったらこんなことが出来なかったかもしれないし、少なくともこんな通信を配ることが許されるとは思えません。
最後までご迷惑をおかけしてばかりでしたが、深く感謝しております。ありがとうございました。
僕は私立大の付属高校というぬるま湯で育ち、趣味で少し読書をしていただけの人間です。
大学受験のことなど何も知らないのに「進学校」に来てしまったのは9年前のことです。その時感じた、
「こいつらは誰のために勉強してるんだ?」
という強い違和感を払拭すべく、この学年の指導に臨みました。
目指したのは、「受験と学問は違う」という詐欺師の商売文句で「アカデミックな」欠陥品を売りつけるのでもなく、
生徒とほぼ同レベルのセンセイの下で展開される「分かりやすい」「偏差値が上がる」「親切な」授業でもない、真に楽しく魅力的で、学問的かつ結果的に受験勉強にも有用な、「高校レベル」ではない、しかし高校生が絶対に学ぶべきものです。
それを「教養」と呼ぶのだと思います。
もちろん、そんなことを出来るレベルではないのは、自分が一番よく分かっています。
それでも、優秀な生徒たちに助けられて、何とかやって来られました。本当に、普通では考えられないくらい凄いことをやってくれたのだと思います。
自分でも、まあ「金返せ」と言われない程度のものにはなったと思います。
中学からは5年間、高校から入った生徒は2年間の、長いようで短い付き合いでしたが、僕の授業から、何か一つでも印象に残るものや、面白かったもの、役に立ちそうなものがあったなら幸いです。
まあこの程度で、全員が気に入ってくれるはずはないのだから、ダメだと思ったら反面教師にしてくれればいいかなと思います。
犬とビールの話ばかりしてスミマセン。
もちろん授業のほかにも、体育祭や合唱大会、文化祭も研修旅行も、ファンキーモンキーベイベーな君たちと過ごす学校生活は毎日がエブリデイで、本当に楽しかったです。
「教師になってよかった」と何度も思わせてくれました。もともと、高校の先生になりたかったので、中学校の先生がこんなに楽しいものだとは知らなかったし、だからこそ高校が楽しかった。
あの中1のクレイジー軍団がたった5年でこんなに育つとは、やっぱり若いってすごい。その間にこちらは体が衰えて頭の回転が鈍くなったくらいですね。
あまりふざけすぎるのもアレなので、最後くらい真面目な話をしましょう。
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