スミレはスミレらしく(春宵十話)
前書き
数学はもっとも純粋な学問である、と言われる。
僕はド文系の人間で、数学は全く分からないのだが、数学者のものの見方はとても好きで、優れたエッセイに出会うことが多い。
なぜ勉強しなければいけないのか、という問いはあまりに愚かでまともに答える気はしない。
でも、学ぶ理由はある。結構熱い理由が。その熱が結構苦しくもあった。
本文
「春宵十話」は天才数学者、岡潔の随筆であり、冒頭はその引用である。
かつて、多くの数学者が挑んでは心と身体と人生を砕かれ続けてきた「多変数