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詩集

16
芸術と愚痴が混在する散文詩
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2023年2月の記事一覧

生きる

私が死ぬべき理由を書いた
たくさん理由を並べて
皆にわかりやすく
余すことなく全て書いた

私が死ぬべき理由を書いた
何枚も何行も書いた
けれど私は生きていたい
そう思えたことが私の誇り

時が経てば理由もなく
私は必ず死ぬのです
時が経てば理由もなく
私は必ず消えるのです

等しく灰になるのなら
図々しく生きてみます
生まれてきたことを呪っても
図々しく生きてみます

皆が見ている麗らかな空が
僕には全く見えません
僕の淀んだ瞳には
どうにも光は届きません

そちら側で生きていたいと思うほど
僕の所在はわからなくなります
この苦しみも悪くないと思うほど
僕の心に穴が開くのです

険しい冬にようやく慣れたころ
雨と晴れを繰り返します
丸裸の森が好きになったのに
蕾は膨らみ出します

苦悩を歌にしなけりゃ伝えられない
そんなに虚しいことはない
その狂気に沈みゆく僕の

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不条理について

木々に囲まれ断罪される
今しも獣は目を光らせる
ヘドロな涙に揺らぐ月
僕らはともかく罪人だ

木々に囲まれ判決がくだる
真の罪人は神だった
五月に響く夢の歌
僕らは夜に許された