【現地料理人インタビューVol.3】和食経験ゼロから料理長に。コペンハーゲンの居酒屋で活躍する料理人の挑戦【木村元太郎さん】
今回は、デンマークのコペンハーゲンで活躍する木村元太郎さんにお話を伺いました。居酒屋スタイルで日本食を提供する「Jah Izakaya」の料理長として、現地での挑戦や日本とデンマークの文化の違いについて語っていただきました。
「日本人であることが強みに」デンマークでのキャリアスタート
木村さんは日本で中華料理やアメリカングリルの店で料理の腕を磨いてきました。和食の経験こそありませんでしたが、日本人としての特権を活かしつつ、現地の文化を理解し、料理と真摯に向き合い続けています。その努力が評価され、7年目には「Jah Izakaya」料理長に抜擢されました。お店では、現地では珍しい居酒屋メニューを提供し、中でもポテトサラダや揚げ餃子、揚げ出し豆腐が人気のようです。
-デンマークでのキャリアをどのようにスタートしましたか?
最初は和食とフレンチのフュージョンのお店で働きました。ワーホリビザでの就労期間が半年だったので、その直前に仕事を探して、Jah Izakayaにジョインすることになりました。シェフとして採用されて、すぐにスーシェフになり、Posh Jahをオープンするということで、1年前に繰り上がりで料理長になりました。当時は日本料理店での経験はなかったですけど、和食のお店ですぐ採用してもらえたので、日本人でよかったなと思いますね。
-Jah Izakayaにはどのようなお客様が来られますか?
いろんな方が来てくれますね。こっちは日本とは違って、飲食店で大声で話したり笑ったりする文化ではなく、静かに料理を楽しむ方が多いイメージです。そういう面では、すごい賑やかで、みんなキッチンまで聞こえるくらい大声で笑ったりするので、珍しいかもしれません。
「日本とデンマークの違い」料理の工夫と働き方
同系列レストラン「Posh Jah」の料理長、伊藤さんにも日本とデンマークの違いについて伺いましたが、木村さんの視点から見る違いについても聞いてみました。またそれを受けて意識していることや工夫していることを語っていただきました。
-デンマークで働いて感じる、日本との違いはありますか?
まず労働時間が違いますね、日本は月に160時間と言いつつ、200~300時間は平気でいっちゃいますけど、デンマークではコンプライアンス違反に厳しくて、「これはおかしい」と言える環境なので、そこの透明性が全然違うと感じます。また日本特有の気を遣うような、暗黙の了解みたいなのもないので、すごく気が楽に働けています。
-戸惑ったことは?
反対に、思ったことはちゃんと伝えないとわかってくれないですし、自分の意思表示はしないといけない文化の違いはあります。だけど自分がこっちにきている以上、自分がこっちのやり方に合わせないとっていうのは意識していますね。
-お客さんの嗜好の違いはありますか?
デンマークの料理の味付けは濃いというか、白ご飯をそのまま食べるという文化がないので、ソースや醤油をかけないと食べれない人が多いです。日本人の感覚でシンプルなものが、こっちの現地の人からすると貧相に見えるというか。例えば寿司にしてもお米と魚だけで寂しく捉えられてしまうので、花をデコレーションしたり、マヨネーズをつけたりといった工夫をしています。その背景には、外食するときはみなさん特別感を期待していて、少し高級なものじゃないと受け付けないっていう感覚があります。日本では人気の鯖も、安い魚っていうイメージがあるみたいで、少し抵抗感があるようですね。逆に好まれる魚はタラやヒラメなど。スペシャル感を感じられるみたいです。
▼デコレーションの工夫
デンマーク生活の魅力
「日本にいたら副料理長止まりだったと思います」和食経験ゼロでデンマークでのキャリアをスタートした木村さんは、わずか7年で料理長を任されています。もし日本で働いていたら、まだまだ下積みの期間にいただろう、とキャリアを振り返ります。そんな木村さんにデンマーク生活の魅力を聞きました。
-料理人としてデンマークで働く魅力ってなんでしょう?
やっぱり、海外の人にしかない感覚だったり、海外ではこんなことをするんだ、っていう新しい発見がたくさんあるので、それを学べるというのは料理の経験にプラスになっていて、深みを増してくれていると思います。料理の世界は、一般的に下積みや労働時間が長いものですが、ここでは自分の時間も作りつつ、新しい知見と経験を得られるバランスが取れるので魅力的に感じています。
あとは、個人的にはキッチンで"NO"と言えるようになったのも、こっちで働いて得られる経験値だと思います。日本では自分より上の立場の人に否定の意見を言うことは、あり得ないことだったんですが、ここではお互い意見を言い合えて、フラットな関係なのがすごくいいです。
-充実感を感じる瞬間はどんなときですか?
やっぱり日本料理という、自分の文化の料理を現地の人に受け入れてもらったときはやっててよかったなと思いますね。あとは僕の場合プライベートの時間も大事にしたいと思っているタイプだったので、仕事に打ち込みつつ休みもしっかり取れるっていうところの充実感が一番大きいですかね。日本で朝から深夜まで働いていた頃に比べると、何にもない休みでも楽しみが増えて、仕事も楽しむことができています。
日本とは異なった環境で、その文化を深く理解しながらアプローチし、料理人として成長し続けている姿勢は非常に印象的でした。和食経験ゼロからでも成功されている木村さんの事例を通じて、多くの方が北欧での挑戦に興味を持ってもらうきっかけになればと願っています。
次回も、現地で活躍する料理人の貴重な経験をお届けします。
この記事を通じて、読者の皆様が少しでも北欧での挑戦に興味を持ち、次のステップへの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです!
料理人さんの海外進出を支援する"越境料理人"
越境料理人では、北欧を中心として海外に挑戦したい料理人の皆様を支援するサービスを開始しました。わからない不安を解消し、キャリアの発展を支援いたします。転職のご相談から渡航前の準備はもちろん、就労後の現地でのサポートを継続して行います。
【サービス紹介記事】
無料キャリアカウンセリング随時受付中!
お問い合わせはLINEまたは問い合わせフォームよりお願いいたします。
【公式LINE 】
【お問い合わせフォーム】
【Vol.1】
【Vol.2】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?