僕たちは(7.0~のエオルゼアで)どう生きるか。
以前に、というか初めてFF14の話を投稿してからはや三か月が経って、もう少し書き足りないことがあったから書いてみる。
7.0の感想についてはこちら。ネガポジ半々くらいだからどんな人も閲覧は自己責任でお願いします。
前段
発売からしばらく経ったので感想は出尽くした感もあり、まあ世の中的には評価は落ち着いたのかなあと思っています。
未だに尾を引いているのはグラフィックスアップデートくらいのもんでしょうか。
私はアプデ肯定派です。というかヒカセンの見た目に拘りがない派。
キャラクリは大好きなので拘るけど、キャラクリが大好きなだけなので、今回も「え、幻想薬タダでもらえるんすか!?」くらいの感覚です。
描写のクオリティが上がったことで背景や表情、演出に幅が広がったことも感じているので、トータル+と考えています。とはいえアプデ直後に顔の変化に違和感を覚えたので作り直したけど。
自身の分身の外見が変化したことに不満を感じる人の気持ちはまあわかるけど、そもそもFF14ってそんなに外見微調整できるでもないし、キャラクリ大好きマンとしてはそこまでのこだわりは覚えられんのよなあ。
何より今回は実質「FFXIV-II」みたいなとこあったから、まあグラが大きく変化するのは当たり前かー・・・くらいの気持ちでした。(まだ最新パッチに至ってない人の気持ちは全く考えてなかった)
そう、今回はFF14-2だったんだよね。っていうのが、今回のお話。
FF14という「作品」の原状
まず、そもそもこの文章を投稿しようと思ったのは、様々な感想の中に
「この先、私の大好きなこのFF14はどうなってしまうんだろう」という不安の声が多数聞こえたことが理由です。
どうなってしまうのか。その予想を考えるときに必ず必要なのが、
今どういう状態なのか。というのを正しく認識することだと思います。
それは、「今吉田が忙しくて手が回ってないのでは?」とかの製作側の都合の話ではなく、ストーリーを構築し、ユーザーに向けて出荷する以上避けては通れない構造の話をしたいと思います。
あなたが感じている不安が「ストーリー、シナリオ、世界観に関して」なら、これを読んだら少し納得できるかもしれない。
だからコンテンツに不安を覚えている人には何の参考にもならないかもしれない!
「ヒカセン」は次に何をするのか
光の戦士は「わたし」である。
ある時は「帝国を退けた冒険者」であり、
「竜詩戦争の終結者」であり、
「アラミゴとドマの解放者」であり、
「夜を齎す者」であり、
「終末を退けし英雄」である。
世界を救った英雄には、信頼できる仲間がいる。
傲慢だった過去や、己の無力さへの気づきを経て大きく成長したアルフィノ、アリゼー。
大きな喪失の果てに大事なものを見つけたサンクレッド。
世界の探求を続けるヤシュトラ。
口下手だったけど理解者を得たウリエンジェ。
憎しみを克服したエスティニアン。ヒカセンへの愛に殉じたグラハティア。
彼ら、彼女らはこれまでの旅によって大きく変化し、終末に立ち向かえるほどに成熟した。(なんかハイデリンみたいなこと言ってるけど、まさにその通り)
はい、ではパッチ7.0です。彼らを使って面白い展開を作ってください。
できるでしょうか。私にはちょっと難しいです。
なぜなら、彼らの物語は既に描き切っているから。
ハイデリンが総括してしまったことが全てなんですよね。
世界を救った英雄ぞ? 何を苦悩するのだ?
何に躓き、何の隠された事実が、傷が、成長が描かれるのだ?
それはヒカセンも、というか、わたしたちも同じなんですね。
この世界の果ての果てを見て、レベルも90まで上げてホットバーもいっぱいにして、私たちの物語はこの結末の先から何を続けていけるというのか。
劇作の観点で考えると、これは非常に難しいんです。
世界を救った英雄に、次は何をさせるのか。
おそらく今回製作側が最も苦心したであろう問題です。
ストーリーにおける「ストック」
上に書いてあることと重複はするんですけど。
漆黒が面白かった理由って、今まで漠然としていた「世界の危機」みたいなものがより身近に、理解可能な形になったことがあるんですよ。
アシエンの目的とか、ハイデリンの正体とか、霊災の仕組みとか。
さらに現在進行形で滅びかけの第一世界に、ヒカセンのみが闇を与えられるんだということ。
問題の当事者ではなく、ともすれば傍観者であった主人公が、初めて当事者性を獲得していく。それと同時にプレーヤーにも世界設定を明かしていく。
加えてヒカセンのパーソナルな部分にも大きく切り込んでいくことで、本来プレイヤーの分身に過ぎなかったキャラクターに人間性を吹き込んでいく。
これを暁月にて回収していくこと、そして自身が世界を救わねばならない理由を明示していくことで、この二作で素晴らしいストーリーを構成してるんですけど。
そこまでやっちゃうと、もうこれまで書いてきた内容で広げる余地はなくなっちゃうんですよね。
新生~紅蓮で適当に広げた風呂敷を漆黒と暁月で畳みにいったので(いつまで続くかわからなかったから設定は後でつじつまを合わせた、と以前インタビューで語ってました)、有効になりそうな展開のストックがなくなっている。
まあつまりこれまで培ってきたFF14というコンテンツの貯金は、キャラクター、展開共に使い切っているのが今、ということになります。
FF14-2という新たなMMORPG
ここまでは現状について触れてきたわけですが、
この実際結構詰んでる状態で現世界最人気のMMORPGであるFF14は継続をせねばならないんですね。
吉田は10年やるっつてるしさ。
そういうわけで、今回製作がやろうとしたことを(前の記事にも書いてあるけど)振り返ることで、今後このゲームがどうなってしまうのか、僕らはどんな気持ちでいたらいいのか、私の考えを書いておきたい。
まだ味のするガム
先ほどキャラクターを描き切ったという話をしたけれども、キャラクターというのはガムなんですね。
嚙んでると味がなくなっていく。
ぶっちゃけ暁の皆さんはほとんどもう味がなくなっているんです。
ここから第一世界にみんなで渡れた時にちょっと味が戻るくらい。
とはいえ彼らはいきなり死んだり消えたりはさせられませんので、キャラクターとして登場させつつ、進行は別の人間に任せなくてはならない。
そうして生まれたのがウクラマトということになります。
また、既存キャラの中にもまだ半分くらいしか嚙んでないので味が残っているキャラがいます。
クルルやエレンヴィルがそうです。
つまり今回のメインキャラクターたちは、選ばれるべくして選ばれたわけです。
前作までのメインキャラクターは端々の登場に留め、今作は所縁のあったキャラや新キャラにメインを任せる。
こうすることで、これまでの世界観やストーリーを踏襲しながら、改めてキャラクターの深掘りを行う余地を作ることができます。
もう一度起承転結を
上で書いた構成方法って実は我々何度も見たことがあるはずで。
RPGの「〇〇〇〇2」って大体こういう手法で作られてるんですよ。
前作主人公はほとんど出てこなくて、メインキャラクターもゲスト参戦程度。
前作であんまり目立ってなかったやつとか、メインキャラの肉親とかがパーティ加入する感じ。
これはまだ噛める余地のあるキャラクターしかメインに据えられないから、という話。
上に書いた通り、今回はFF14-2をプレイすることになったんだ。
そう考えたら前作プレイヤーからして今作だけだと消化不良になるのはある程度仕方ない。まだ冒険は序盤だから。
今回のストーリーに不安を感じるのも仕方ない。まだ面白いとこまで行ってないから。(とはいえ問題はあった。詳細は前の記事に)
「黄金のレガシー」はFF14-2の第一拡張だ。今作で生まれた謎は、二作目、三作目と続いていく中で飽和し、やがて明かされ、我々にカタルシスを与えていく。
前作のファンにはもしかしたら不満はあるかもしれない。ともあれ、これから続くのはこれまでとは違うゲームである、という心持ちが必要かもしれない。
でも第一作って割にはうまくまとめすぎたんだよね。クルルもエレンヴィルももうだいぶ味しないよ? ラハ君もまあまあ厳しいよ? もう少し通しで味のしそうな新キャラ出した方がよかったんじゃないか?
と思ったんだけどね、まだまだ味の出せそうなキャラがいるんですよね。
プレイヤーです。
「ヒカセン」の物語
FF14における「光の戦士」は「わたし」である。
ある時は「帝国を退けた冒険者」であり、
「竜詩戦争の終結者」であり、
「アラミゴとドマの解放者」であり、
「夜を齎す者」であり、
「終末を退けし英雄」である。
しかしこの説明は叙事的であり、彼/彼女の偉業であり、決してその人となりを表していない。
これは、このゲームがMMORPGであり、プレイヤーの分身であることを求められているのが原因である。
FF14の優れたところは、プレイヤーの分身という役割に、前述したようなバックボーンを無理なく取り入れ、作劇上の個性にまで昇華させていることにある。
展開に全く影響しない選択肢を選ばされ続けることも、プレイヤーの人間性をキャラクターに反映させながらストーリーを進めていくためのギミックとなっている。
しかしその行程上、主人公というキャラクターは深掘りする余地がたくさん残っているのだ。
では、FF14-2の主人公は一体どうなるのだろうか。
以下は私の期待交じりの予想です。
「黄金のレガシー」における主人公は、そのほとんどの決断を自分で行わなかった。
特筆して挙げる決断は二つ、リビングメモリーの消去と、エターナルクイーンとの戦いである。
この二つの決断は、スフェーンとの邂逅時に交わされた彼女との約束が影響している、というのは前回の記事に書いた。
今回の旅で唯一、主人公が「英雄」として託された願いを果たす場面である。
最後の戦いでのみ描写されるアゼムの魔法と、「鍵」から浮かび上がるアゼムの紋章。
これによって今後の展開が主人公の魂の大本であるアゼムが今後深掘りされることが予想できるのだが、
つまりFF14-2は、アゼムというキャラクターの謎を解き明かすことで、主人公というキャラクターの背景を深掘りしていく作品になるのではないか。
思えば、なぜエメトセルクは黄金郷の話をしたのだろうか。
知っていながら、この危険な(アシエンにとって有用そうな)技術をほったらかしていたのだろうか。
南洋諸島にも今回謎が生まれた。これもエメトセルクが伝えた話にある。
そして、黄金郷の「鍵」にはアゼムの紋章が遺されていた。彼/彼女に執着していたエメトセルクからこの場所の話が出てきたのは偶然なのだろうか。
彼は一体我々に何を見せたかったのか?
世界を救った英雄は次に何をするのか。
それは、自身が一体何者であるのかを知る冒険である。
FF14-2のテーマはこんな感じになるんじゃないかな!
今回話の風呂敷があんまり広がらなかったのも、エメトセルクの遺言提案っていう大きな指針が既にあるからなのかもしれない。
彼の伝えた通りに世界を巡ることで、アゼムに関する大きな謎が明かされていく。
その過程で今回のアレクサンドリアのような、旧作をモチーフとした問題のある世界を巡っていく。
そこまで広げられれば作劇的には十分だったのかも。
あくまで期待たっぷりの予想ですがね、こうしてみるとあのFF14の続編としては結構期待できるんじゃないか?
もうすぐ7.1がやってくるから、どうなることやらっすね。答え合わせがてら、期待して待ちます。
これを読んだ誰かがちょっとでもそう思えたら何より。