えいた☆

主に叙情詩、短編の物語などを綴っています

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    自分の創作のヒントになりそうなものを集めています

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    心に残った作品だけを集めています

  • カイコと暮せば ①〜④

    半ば強制的に同居する事となった『おカイコさま』。それを飼育することになったニートの俺と不登校児イトの、あの夏の命の物語。

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はじめまして えいた☆です

えいた☆です ワケあって叔母のサエコさんちに 絶賛居候中のダメ男です アラフィフの『サエコさん』 旦那さんの『叔父さん』 従妹の『イトちゃん』の3人が 今の俺の家族 毎日賑やかに 時にしんみりと 流れてゆく日常や物語の欠片を 拾ってはココに仕舞っています やぁ 紅茶と珈琲どっちにする? 砂糖いっぱい入れようか 全部俺のじゃないけど(笑) ---✢--✢--✢--✢--✢--- 主に叙情詩、短編の物語などを書いています 気分次第で小説なんかも 書くかもしれないし、

    • 銀木犀

      俯けど立ち昇る この熱いため息は 冷めやらず千千に別れては 彼方の空に届こうと 舞い上がり遠く気流にのった 置き去りの身体はただ やるかたなしに立ち止まり すべて忘れてしまった と 零れる銀木犀に嘯くけれど 足元に踏みしだく無数の花が まるきり数多の涙のようだ 遠雷の行方を遠く見つめる 薫り立つペトリコールに 過ぎた日は息衝く 気流から舞い降りた 私の幽かなため息がいま 空仰ぐあなたの頬を濡らし 足元に黒く来訪を告げても 降り積もる日々に私の声は あなたの過日の影に

      • 夏が終わった朝に

         久しぶりに早朝、車を走らせることになった。空模様は曇天。爽快な朝とはいかなかったが、空気が思いの外ひんやりとしていることに驚いた。  肩を上げて大きく外気を吸い込む。  ようやく夏が終わったのだ。  そうだ。終わる。   永久に終わらないんじゃないかと思うような憂鬱なあの日々でさえ、いつの日かこんな風にあっけなく終わるのだ。  エンジンをかけると、10年落ちの老体は辟易しながらアイドリングを始めた。オイルがゆっくりと一巡りしたらこっちもゆっくりとアクセルを開ける。  

        • 気泡

          君はそして 黙ったままうつむいた 俺はまた 諦めるしかなくて コーラでも飲もうか といった ふたりで黙ってコーラを飲むと 君は気泡をじっと見つめて わからない とだけいった その目に映る気泡の数ほど 君の中に言葉は生まれど 声に成らずに割れているのか 君に見えている世界は どんな色をしてるのだろう 君に聞こえる言葉たちは どんな音をしている そのコーラはどんな味がしていて 俺は今どんな顔をしている そのたった13年と少しの心で 見えない何かと独り闘う それ程の拒絶の

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        • カイコと暮せば ①〜④
          4本

        記事

          新たの海より

          世界はこんなにも広かった 居心地の良かった潮溜まりを追われ 飛び出した外の海は淋しかったが 手を振った優しい潮騒が 見たことのないプリズムや魚達が 藍色の心を高揚させて 忘れていた喜びや感動を 失くしていた憐憫や優しさを また少しづつ見つけ始めている 新たの海に ひとり泳ぎながら考える あの針はいつ抜けたのだろう 二度と痛むこともない もう少し時が経ったなら ひとつ残らず忘れるだろう こうやって人生は少しだけ優しく その痛みを削ぎながら今日も続く 眩い果てへ

          新たの海より

          あなたって馬鹿みたい

          少し涼しい風が吹いたから だからってなんだっていうの あなたの心が淋しい理由は あなた以外知るわけがないじゃない 秋が近付くのは自然の摂理だし くだらない事で気分を揺らすのね ねぇ知ってる? メランコリーって実は病気の名前なのよ 病気はよく寝て治すことね そんな事でいちいち電話なんか してこないでちょうだい だいたいね 女がいつも優しいなんて思わないで 傷付いた振りなんかしてるけど 割とあざといの見え見えなのよ ちょっと口が寂しいからって もう なんて簡単なのかしら

          あなたって馬鹿みたい

          可哀想な姫

           遥か昔、大きな城に双子の姫が住んでいた。 そろそろ世継ぎが欲しかった王は、ふたりの姫に結婚相手に相応しい男を探してくるよう命じた。  姉のロマニーは社交的で人気があったが、たいそう強欲な女だった。妹よりも早く相手を見つけ城と財産を我が物にしようと考えたロマニーは、宝石で着飾った仮面を被り毎夜舞踏会を渡り歩くと、片っ端から金持ちの伯爵に声をかけた。  一方、妹のシンシアは刺繍好きの控えめな娘だった。顔こそロマニーと瓜二つだったがその心はとても美しく、すでに心に決めた男が

          可哀想な姫

          鳥と火花

          路地裏に隠れて絡めた指と 逸り高鳴る心拍の摩擦 みぞおちはチリチリと 火花を上げて震えた 部屋に入るなり解き放たれて 崩れるようにふたりで笑う 品のないシャンデリアが カシコカシコと音をたて 秒針に追われる俺達は 笑ったまま鳥籠に飛び込んだ 悪事を鎹に繋がった 子供のようなその恋は 鳥籠で戯れ合う小鳥のように ふざけているだけでただ熱く 飛べないことなど何でもなかった 薄暗い部屋に繰り返す 明日のない交わりに 心が近付けば戸惑いは増え 愛に近付くほど無口になった ふ

          鳥と火花

          エリーゼのために

          闇がさんざめく部屋の中 不確かな曇天の明けを待ち 重く溜めた息を吐く度 喉はひゅうひゅうと鳴りました 昨日と今日の刻の間で 白む窓をただ待ちわびた そんな夜 古い白木のオルゴォルは 過ぎた日を巻き戻し シリンダーを廻すのです エリーゼのために 高い高い音階が 胸の奥を弾く度 彼を蝕む悪夢の淵へ 深く堕ちてゆきました  むせ返るほどの花の香りと  抗えぬ心臓の浮遊を追って  螺旋に堕ちてゆく絶望の記憶  エリーゼは  エリーゼは彼を愛さなかった 頭を垂れた首筋に

          エリーゼのために

          白いだけの

          ときに真っ白なバズルを 延々と組み続けるような 気の滅入る錯覚に襲われる 俺の営みが終わる時 後に何が残るのだろう 無償の愛を切り崩し ただ貪るばかりの俺は いつか愛を食い尽くす ただ白いだけの キャンバスを残して

          白いだけの

          カシスの香りは嫌いだ

          白い指がシャツをつまんで 俺を引き寄せ耳打ちをする なんていったの 周りがうるさくて よく聴こえないけれど 俺を留める磁力から その指で身体ごと引き剥がす カシスの香りは嫌いなんだよ 紅い引力が思わせ振りで いつも俺をイライラさせる

          カシスの香りは嫌いだ

          小さな燈火

           かれこれ7年くらい前になるだろうか。  イトの通っていた保育園で年長組が主役になる、とあるクリスマスイベントがあった。どうやら特別なイベントらしいと聞いて、俺は暇潰しくらいのつもりで参加したのだった。  後から他の保育園に通っていた同級生からきいても、比較的イベントの多い保育園だったから、とりたてて気にしてもいなかったのだが、子供達のイベントにしては大変厳かに粛々と行われたそれは、イベントというよりも儀式に近い内容だった。  その日の遊戯室の窓は、一面すべてがカラーセ

          小さな燈火

          蛍火

          生きているということは 尊いことだ 聖書を読むように つぶやいてみる 暗闇の蛍火が フワリと頼りなく飛び立って 光の尾をひいては消えた

          今日の終わり

          一日が終わる 今日が俺の中から またひとつ零れて 手のひらがすこし 軽くなって 淋しさがすこし 重くなって 明日がどうにも 悲しくなるのは 君があまりにたくさんの数 今日を持ってるもんだから いつか俺の今日がすべて 零れてしまう日が来たら 君の残りの今日の中には 俺が居ないと 思うからだ

          今日の終わり

          俺はフル・モンティ

          『あいつの書くものはまるでパンツを履かないで外を歩いているようなもの。私にはとても恥ずかしくて書けない』  俺の書き物は、こんな風に揶揄されたことがある。それまでさほど絡みもなく、いつもいいねを押してくれる一介のフォロワーだった彼の唐突なカミングアウトだった。  ことの発端は、俺のゴシップ記事(笑)を書いたひとりのブロガーに対して『もっとキレイな記事を書いたらどうか』とため息まじりで俺がひとことコメントしたこと。  本当はもっと言いたい事もあったが泥試合などに発展すれば大

          俺はフル・モンティ

          姉に電話をかける

          朝から降っていた雨は昼前にあがり いやに蒸した午後 首筋の汗を拭きながら 遠くに暗く立ち込める雲を見る ずっと南に嫁いでいった 姉に大事はなかろうか おもむろに電話をかけてみる 『えいた?そっちは大丈夫?』 俺がいうより先に 覇気のある姉の声が訊く 俺がどんなにジジイになろうが 姉は俺が心配らしい 『今度実家に行く時も ひよこ饅頭買っていくわね』 思わず『うん』といって電話を切ったけど ねぇちゃん 今どきひよこ饅頭はこっちでも 買えるって知らないのかな 久しぶりに

          姉に電話をかける