作品紹介 #007~#010
こちらでは、
能「和布刈」「草薙」「西王母」を描いた作品を紹介していきます。
更に詳しく解説が知りたい方は、ぜひ公式HPのほうでご覧になってみて下さい。(ページ下部にLINKあります)
Mekari Ryujin/Noh Art #007
能「和布刈(めかり)」波を蹴立てる龍神
こちらは「竹生島」と書いてありますが(当時間違えました(^-^;)
和布刈で描いた龍神です。
龍神はどの演目も出で立ちが面も装束もそっくりなので、なかなか見分けがつきません。
こちらは竹生島の詞章ですが、、
「波風頻りに鳴動して下界の龍神現れたり」
(なみかぜしきりに めいどうして げかいのりゅうじん あらわれたり)
月が湖上に澄み輝く頃を迎え、湖中より龍神が現れる場面より
龍神は金銀珠玉を臣下に捧げ、祝福の姿を表します
Mekari Ryunyo/Noh Art #008
上と同じく、能「和布刈(めかり)」より
月の灯りのもとに舞い遊ぶ龍女です
和布刈神社で行われる神事を基にした能です
福岡県和布刈神社で、
毎年旧暦元日の早朝に和布刈神事は行われます
神楽が奉納された後に、
3人の神職が夜中の2時~4時の海に入って
鎌でワカメを刈り取り神前に供えて、航海の安全や豊漁を祈願する神事です
登場する竜女は、和布刈神社では月の女神・潮の満ち引きを司る女神である瀬織津姫(せおりつひめ)としてお祀りされています。
「異香薫ずる龍女は波をもかざしの袖を返すも立ち舞ふ袂かな」
(いこうくんずるりゅうにょは なみをもかざしの そでをかえすも たちもふたもとかな)
”この世のものとは思えない雅な良い香りが満ちて、龍女は波をも髪の簪の花にして、袖を翻して舞うのである”
月光の中に龍女が現れる場面からです
和布刈の龍神とこの龍女を描いたころから、やっと装束の成り立ちが理解できるようになってきたので、自分でも印象に残っている作品です
Kusanagi /Noh Art #009
能「草薙(くさなぎ)」より
草薙剣を掲げて舞う日本武尊(ヤマトタケルノミコト)です
愛知県の熱田神社が舞台となる演目で、
三種の神器の一つ天叢雲剣(草薙剣)が登場します
恵心僧都が尾張国熱田の宮に参籠し、
最勝王経を講じている時に花売の男女に逢います
実はこの夫婦の正体は、日本武尊と橘姫の霊
能の中では草薙の神剣の物語が語られます
宝生流にしかない演目で、上演もあまり無い珍しい曲です。
「尊(みこと)剱を抜いてあたりを拂ひ 忽ちに焰(ほのお)も立ち退けと、
四方の草を薙ぎ拂へば」
(みことつるぎをぬいてあたりをはらひ、たちまちにほのおもたちのけと、しほうのくさをなぎはらえば)
” 尊は劔を抜いて焰よ直ちに退けと、周囲の草を薙ぎ払った "
草薙の剣という名が付いた由来でもある場面からです
草薙剣は三種の神器の一つで、
三種の神器の中では天皇の持つ武力の象徴であるとされます
スサノオが出雲国で八岐大蛇を退治した時に、
大蛇の体内から見つかった神剣です
神話の時代の話なので、それまで描いたものよりも更に昔の雰囲気を出そうと意識した作品です。全体的に強い色を使った作品でしたが、背景、狩衣の緑の色味や、袴の色合いが気に入っています。
Seiohbo/Noh Art #010
能「西王母」より
西王母が天女の姿で現れ、
周の穆王に桃の実を献上する場面
古代中国の西王母伝説が基になっている演目です
西王母は中国で信仰された仙女で、
全ての仙女を支配する最上位の女神です
三千年に一度実るという桃の木を持っており、
その実は不老長寿の妙薬だったと言い伝えが残っています。
「君に捧ぐる桃實の花のさかづき 取りあへず」
(きみにささぐるとうじつの はなのさかづき とりあへず)
王に桃の実を捧げる場面で、花を浮かべた盃で酒宴が始まる様子から
両隣に飛んでいるのは、
極楽の鳥である迦陵頻伽。
後半、天女達を伴い西王母が現れた時に、
迦陵頻伽、孔雀、鳳凰といった瑞鳥も一緒に舞い遊びました
迦陵頻伽は中国では人頭鳥身、
日本では菩薩形の上半身に鳥の下半身の姿で描かれてきたそうです
ここまで御覧いただきありがとうございました。
下のリンク先の作品紹介ページにて、
演目の詳しい内容や、登場人物、使用している面や能装束、縁のある史跡等について解説しています。宜しければぜひご覧下さい。
「みずらほ」… https://mizuraho.eisui.space/
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