第33回 上司の仕事って?
著者 徳田孝一郎
イラストレーター 大橋啓子
【前書き】
今回、投稿するエッセイは2014年6月26日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。COVID-19という大きな変化がある時代だからこそ、責任を取る上司が欲しい気がしますが。残念ながら、もうそういう時代じゃないのかも、とも思っちゃいます。(著者)。
【本文】
いよいよグループリーグがほぼ一通り終わって(日本の成績? そんなことには触れません、ええ触れませんとも)、日曜日の夜(月曜の朝?)からknockout stageが始まりますが、みなさんの予想はいかがでしょう? 優勝はブラジル? アルゼンチン?
いきなり何の話かと思われるかもしれませんが、ワールドカップですよ。ワールドカップ。ブラジル2014です。3回連続フットボールネタで、食傷気味という方もおられると思いますが、4年に1回のことなので許してください。
ワールドカップを見ていて思うのは、その国民性があらわれるなぁということ。
ドイツはやはり規律がしっかりしていて、約束事で動いているし、ブラジルは明らかに最低限のルールだけ決めて、即興で動いている。
じゃあ、日本はというと、決断するのを怖がっているという感じがします。
例えば一番わかりやすいのが、シュートの場面。われらが代表はなかなかシュートを打たない。相手のディフェンスを完全に崩して、これは誰もがシュートをしていいという状況以外ではシュートを打たないんですね。責任を取りたくないというか、無理めの状況でシュートを打って入らなかったら、みんなに責められるので、安全なプレイに終始する。いまの日本代表は、ディフェンスラインの崩し方がかなりのレベルになっているので、シュートを打っていいよという場面がたくさん作れるようになってきていますから、シュートを打っていますが、もうひとステージ上がるためには批判される場面でも決断しないといけないんじゃないかと私は思っています。
でも、私は前回のディドのように自分の独自の判断をして、それを説明することが、日本人の決断力を上げる唯一の方法だとは思っていません。もちろん、Native English Speakerとのやり取りの場面ではそういう力が必要で、用意しておかねばならないと思いますが、Native Japanese Speaker同士では、ちょっと違う気がする。
日本人には日本人のやり方があります。
これは、最初の進学塾に就職して2年ほどたった時のことです。
当時、私は高校受験の英語と中学受験の国語を担当していたんですが、担当していた小学6年生たちは国立学芸大付属中学(日本一の共学校)や麻布中学、開成中学、桜蔭中学、女子学院中学と言った日本の将来を背負って立つ人材を育成する中学に進学を希望している生徒たちでした。実際に優秀で、60名ほどのクラスのなかには、中学受験の全国テストで国語でトップの生徒もいましたし、大人なら二次方程式を使うような問題を、読んだだけで一瞬にして解いて、答えを出してしまうような天才もいました。
前にも書いたことがありますが、急な業務命令で英語を教えることになり、ついでに国語も教えていたわけですが、変に根が真面目なんで与えられたタスクは何とかしたいと思ってはまっちゃうんですね、私。
で、英語は独自の教え方を作り出したんですが、国語も同様。
特にクラスには、国立学芸大付属中と麻布中、桜蔭中志望者がいたんで、普通に読解力を上げるトレーニングをしていたんではだめで、ちょっと工夫した授業をしていました。で、順調に成績も伸びてきて、6年生の夏の塾内テストを私が作ることになり、事件を起こします。
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