何者にもなれないんじゃなくて、何者なのかまだバレてないだけ
私はたぶん、いわゆる「何者にもなれそうにない」大学生。
だけど、「何者にもなれない」っていう表現がどうにも好きになれない。
だから、私は「何者なのかまだバレてないだけ」。
誰に?
世界に。
正直、最近まじで何も上手くいってない。
大学生になってもうそれなりの時間が経つのに、進路の方向性も定まっていなければ、卒論のための準備も完全に出遅れている。
まあ、進路については良いとしよう。
いや、別に何もぜんぜん良くないんだけど、どうせ私は未来を考えるのが苦手(詳しくはこの記事)。
進路関連が上手くいかないのは最初から分かりきっていた話だから、まだ想定内の事態ではある。
まさか学業の方でもやらかすとは。
今まで、最上級にすばらしいわけじゃなくとも、学業は上手いことやってこれたから、こちらは想定外の事態。きつい。
「努力してないんじゃないの?」って言われたら、あんまり反論もできそうにないのだけれど。
対して周囲の同級生たちに目を向ければ、彼ら彼女らは次々とアイデンティティを確立していく。
みんなの姿を見ていると、自分のモラトリアム海溝の深さを実感させられる限り。
ここまでは何かと上手くやってこれたのにな。
今になって出来損ないになっちゃった。
もうこんな調子じゃ、何者かになれる見込みすらない。
……そう言いそうになるけれど、私はこの「何者にもなれない」っていう言葉がどうにも好きになれない。
たぶん、最初は別に何とも思っていなかった。
ただ、耳たこになるくらい色々なところでこの表現が使われ過ぎているものだから、目にするたび心に引っかかるようになっちゃったんだと思う。
「何者にもなれない」って、あなたとして生まれた時点で、他でもない「あなた」という者ではあるでしょうに。何だよ、「何者」って(いじわる)。
そんなわけで、どうしても「何者にもなれない」っていう言葉を避けたくなった私が辿り着いた表現が、「何者なのかバレてないだけ」というもの。
別に、大層な発明じゃないよ。
「何者にもなれない」って言いたくないから、そう言ってるだけ。
「何者にもなれない」という言葉には、現在という時間が隠れているんじゃないだろうか。
今はまだ何者にもなれちゃいない。今のところ、何者かになる見通しが立たない。
そういう、「今の自分」から見た絶望を映す表現なんだと思っている。
でも、その「何者にもなれない」が永遠のものかはわからない。
未来は予測不能。
ずっと、「何者でもなかった」人が、何かをきっかけに「偉大な何者か」になる、そんな未来が訪れるかもしれない。
きれいごとではあるんだけど、嘘ではない。
仮にいつか、自分が自分として生まれた意味を知る日が来るとして、まだそこに辿り着けていない状況は「何者なのかまだバレてないだけ」だ。
自分にも、世界にも、まだバレていない。
そしてこれは、死ぬまで否定できない。
ある人が一生の間に巻き起こす瞬間最大風速なんて、人生の最後の最後までわかんないんだって。
私はおそらく遅咲きのタイプ。
そもそも最期まで咲かないかもしれないけれど。
ただ、早咲きでないことは確信せざるを得ない。
私だって、自分が何者なのかまだバレてないだけ。
せめてそうでありたい。早咲きでないのなら。
ほら、連ドラとかでも最終話の近くまで本性とか重要な情報が隠されているキャラクターっているじゃない。
私はきっと、そういう役回り。
いずれ自分や誰かや世界に大きな影響をもたらす非常に大きなキーを、自分が持ってるのかもしれないな。
私はそう信じてる。
何の根拠もないけれど、どうせ信じるだけならタダだし。
たまにはそれくらい、楽観的になってもいいよね。
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何の意味も持たない、何のストーリーも描かない登場人物などいない。
もちろん、それはフィクションであれば、という仮定の話。
私が参加している物語が、優秀な脚本家に手がけられていることを願う。