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「自由な」生き方や働き方はない
前置きとして、自営業・起業・個人経営の事業・フリーランス自体を一括りにして批判しているわけではありません。
ただ一部のフリーランス・在宅勤務・起業界隈における「自由な生き方」「自由な働き方」という言い方や価値観、そしてそれに伴う言動に強い違和感と嫌悪感を感じます。各国の政治体制や経済における自由の度合いという概念はわかりやすく、客観的に見て取れます。
しかし生き方や働き方、ライフスタイルそのものを「自由」と表現するのは客観的ではなく主観的な事であり、自分とは違う働き方・生き方・職種を「不自由」または「自分と比べて自由の程度が低い」と位置づけている事になってしまいます。
つまり、そうした考え方は本人や同じ界隈内の優越感が根本にあるわけですね。
社会はいろんな人がいて回っているし、経済もいろんな人がいて回っています。
当然その「いろんな人」には、フリーランスでもない、自営業でもない会社勤めの人が多数います。更には表には出てこない(見えない)けれども、その事業やサービスを支えている人もいます。
カフェチェーンには店員がいますね。店員以外にも、軽食やスイーツを製造する側、本社で商品企画をする側、コーヒー豆の調達をする側、食品や飲料の原材料を作ってくれている国内外の農業に携わる側などがいるわけです。ここに羅列していないものでも他にいろんな人々がそのカフェチェーン自体を可能にしていますね。
彼らは基本的にフリーランスではないし、在宅勤務でもありません。他の企業やサービスに置き換えても同じ事が言えます。
でも「自由な生き方をしています」「自由な働き方をしています」と言っている側は、「自分及び自分と同じような生き方・働き方・ライフスタイルは自由であり、他の職種や働き方は不自由(または自由の程度が低い)」という優越感を少なくとも潜在的に持っているわけです。
つまり「いろんな人や職種がいて世の中が回っている」という理解が乏しいわけですね。あるいは、ある程度そうした理解はあるけれど、完全に認めると自分のプライドに傷がつくという人もいるかもしれません。
どちらのケースでも、世の中の大半の人々を侮辱しているのではないかと思います。また同じ自営業・起業経験者でも、「自由な生き方」という価値観を持たずに、自身のサービスや商品を提供している人もいますから、彼らにも失礼な事をしていると思います。
米国のマルチ商法・ネットワークビジネス企業で近年物議を醸したのは「ルラロー」という会社です。カラフルなレギンスを売っていました。
それについてのドキュメンタリー「ルラリッチ」がAmazonプライムビデオにて配信されています。
「自由な働き方」云々と言っている側は、必ずしもマルチ商法に関与しているわけではないし、一見関係がないように見えますが、ドキュメンタリーを見て共通点や類似点があるように感じました。
「ルラリッチ」のドキュメンタリーで知った事:
・女性もつかめるビジネスチャンスだと謳い、お金と自由な時間が欲しい女性たちを引き込んでいった。「女性の活躍」「女性が輝く」という事を強調していた。
・家族との時間を持ちながら社会貢献したい、友達を作りたい、ビジネスで成功したい、家にいながらお金を得たいという女性たちの気持ちにつけこんでいった。
・実際にルラローに引き込まれていった女性たちは、こうした甘い話を信じた。
・フォロワーが大勢いたり、ライブ配信を行ったり、トップの近くにいたりすると、その世界では「有名人」「カリスマ」扱いされる。
・ルラロー(とその他のマルチ商法・ネットワークビジネス)では、ビジネスに関与している女性らの旦那が「早期退職」する事を目指している。
「関係者女性の稼ぎだけで家族は生きていける」「旦那はルラローに関与した奥さんの手伝いをさせる」という甘い話だった。
このマルチ商法にのめり込んだ女性たちに対し、「旦那が(マルチではない普通の)仕事をやめれば幸せな生活となる」と同調圧力をかけてくる。理由は夫婦ともに関与していれば、逃げたり、やめたりする事が難しくなるから。(さらには「この在宅のお仕事は自由、会社勤めは不自由」という選民意識も垣間見える。)
・集客やモチベーション維持のための会議や集会では、実際のビジネスの世界や営業職として役に立つ事や企業経営・経済・営業に関する専門的な事は語られなかった。
・加入者を増やす、購入者を増やす、フォロワーを増やす、そしてそれに向けた努力をする。これが、ルラロー(及びマルチ商法、セミナー商法、ネットワークビジネス、起業など)の「やり方」。
・関与した女性らは、販売を促進するために、苦労話をするように促される。理由は「成功への道のり」を強調するため。
例えば:「昔は〇〇だったけど、今はXXです!」「昔は貧乏だったけど、今はお金に余裕があります!」「昔はあくせく働いていたけど、今は「自由な」働き方をしています!」などとアピール。
・「女性起業家」「成功したビジネスウーマン」のイメージを強調するために、写真などではヘアメイクをセットした状態で、服装もおしゃれにするように指示されていた。
・ドキュメンタリー内に登場するマルチ商法に詳しい専門家の話
専門家:「お金を稼いでいるのは一部のトップのみ。しかも彼らは1日中マルチ商法に関連したなにかをやっている。下は稼げない仕組みになっている」「顧客が販売員になる事で、販売員だけ増えている。商品の需要に見合わないレベルになり、販売員にとっては同業者とライバルが増え続ける仕組みになっているため、更に稼ぐことは出来ない」
また引き込まれた人達は、自分たちが正しいと思っているので外部の意見を聞かずに否定すると指摘。また関与している人達は「自分はビジネスで儲けている。自分は勝ち組にいる」と洗脳されてしまう。
・なかなか稼ぎにつながらないという販売員に対してルラロー側は「あなたの努力不足。もっと働きなさい。」の一点張り。