米国でTikTok売却法案が成立(+TikTok側の世論誘導工作について)

米、TikTok「禁止」法が成立 バイデン大統領が署名 9カ月以内の売却を要求

「ティックトックは中国政府の情報収集や世論操作に悪用され、安全保障上の脅威になると懸念される一方、禁止は言論の自由に反するとの見方も出ていた。

法案は、ティックトック運営企業の親会社、北京字節跳動科技(バイトダンス)に発効から約9カ月以内に米国事業を非中国企業に売却するよう要求。従わなければ米国でのアプリ配信を禁じる。」

https://www.sankei.com/article/20240425-OCVKI7YWPJNDTBPBQHUFP36CAA/

法案は上院では賛成79票対反対18票で可決されました。
TikTok側も法廷で争う覚悟をしているため、売却も一筋縄ではいかないと思われます。

Politico誌では、TikTokの世論誘導工作が失敗した背景について詳しく報道しています。

https://www.politico.com/news/2024/04/24/tiktok-china-lobbying-washington-00154232

・情報やデータのセキュリティの懸念についてTikTokやBytedance側は、疑問や懸念をはぐらかすばかりで、イメージ向上に多額の資金を注ぎ込んだ政治的なロビー活動や世論誘導工作をしていた。

・米国事業売却について、TikTokと親会社である中国のBytedance社が、同類の企業と比べても例を見ないような拒絶反応を示した。

・TikTokはアプリ内のプッシュ通知を利用し、米国内のユーザーに対し法案反対運動に協力するように要請。また情報セキュリティではなく、言論の自由の問題だとすり替えた。

・TikTokは法案反対運動の一環として、米国内のユーザーに対して、地元の議員及び米国議会に電話をするように促した。

・TikTokに促されて議員や議会に電話をかけた米国人TikTokユーザーの多くは、極めて感情的かつ攻撃的な口調や意見だった。また議員への脅迫や自害を示唆する内容も多数見られた。

・Bytedance及びTikTokが執拗な程に売却に拒絶反応を示し、ユーザーも巻き込んでの反対運動を繰り広げている事で、売却は中国共産党に不都合なのではないかという考えが広がり、情報セキュリティへの懸念がますます強まった。

・電話をかけてきたTikTokユーザーの多くは感情的で、脅迫や自害示唆などが多く見られたため、「若者にとっては悪影響があるアプリ」「主に情緒不安定な目立ちたがりの若者が依存しているアプリ」というイメージが更に強化された。

TikTokの情報セキュリティに関してはFBI関係者も懸念を示しており、米国を含む多くの国々ではセキュリティ上の懸念から政府・行政所有の端末にインストールする事が禁じられています。

それに加え、「真っ当な企業・SNSならここまでの拒絶反応は起きないし、ここまで売却反対のロビー活動はしない」「真っ当な企業・SNSなら、非常識なユーザー、過激なユーザー、情緒不安定なユーザーはこんなに目立たないのでは」というのも可決に拍車をかけたのではないでしょうか。


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