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三重で日本語のうつろいを考察する3選



 都道府県47本勝負 近畿ギャンブル編 三重をやります。三重と言えば伊勢神宮、松坂牛、鈴鹿サーキット。マニアックなネタだと、津市の山側にルーブル美術館から公式に許可を得ているルーブル彫刻美術館という施設もあります。

 今回は三重をめぐりながら日本語の変遷について考察してみました。それでは、どうぞ!



①本居宣長記念館


 松坂市にある本居宣長記念館です。本居宣長の功績といえば、江戸時代にはすでに読み方が分からなくなっていた『古事記』を読み解き、係り結びの法則を発見して意味を解読したことです。





②天岩戸(恵利原の水穴)

 天岩戸と言えば宮崎県の高千穂にある洞窟が有名ですが、三重にもそれっぽいものがあります。三重は洞窟から湧水が出ています。実は高千穂はまだ行ったことないです。




③伊勢山上(いせさんじょう) 飯福田寺(いぶたじ)


 701年に役小角(えんのおづぬ)によって開創された霊場です。長い歴史を持つ修験道の行場で、アスレチック感のある体験ができます。



 第一の難所、鎖場「油こぼし」です。2方向に鎖が伸びていて、崖を登るキツい鎖場か、斜めに登る難易度低めの鎖場のどちらかを選べます。



 油こぼしを登ると本堂に行けます。



岩屋本堂の全景写真






 第2の難所、「鐘掛」です。ここをロッククライミングのように登ります。ここは危険なので回避ルートもあります。



「鐘掛」を登った後は断崖絶壁、落ちたら必死の鎖場を登ります。個人的にはここが一番怖かった。


 ここを登った後は山をぐるっと一周して終了です。途中岩場がありますが、回避ルートがあるので登らなくても進めます。

 






 以降、日本語の唇音退化について考察します。


 奈良時代以前ではハ行の「はひふへほ」の発音は「パピプペポ」だったという説があります。例えば、母(はは)はパパと発音してました。

 奈良時代にはパ行の発音が変化して「ふぁ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ」、そして「は、ひ、ふ、へ、ほ」となり、パ行音は失われてしまいました。これは唇音退化と呼ばれる現象で、日本語だけでなく様々な言語で見られるものです。原因について定説はないらしいですが、発音の労力の軽減などがよく言われているそうです。


 この唇音退化について、とある仮説を提唱した方がいました。

この〔F〕の音は、奈良時代をさかのぼるもっと以前の時代には唇の合わせ方がもっと強くて〔p〕の音であったろうと推定されている。ちょうど現代の沖縄の八重山方言で歯を pa、花を pana、蠅を pai、墓を paka、骨を puni、帆を pu: というように、奈良時代よりずっと以前の本土の日本語でも、舟を puna などと言っていたのだろうという。これは今日の学界の定説である。/(では〔p〕→〔F〕→〔h〕という変化は何故起こったのかについて従来説をとなえる人がいないが、私はこれが日本人の顎の骨の後退という骨格の年台的変化と密接な関係があるのだろうと考えている。日本の縄文式時代の人骨では上歯と下歯とはぴったり咬み合わさっているが、弥生式時代以降、下顎が後に退き、相対的に上歯が前方に出る傾向がある。そして鎌倉時代の人骨、徳川時代の人骨と時代がくだるにつれて、下顎が小さくなり、下後方にさがって行く。そして出歯やそっ歯が多くなりつつある。これは元来上唇の短い傾きのある日本人の上下の唇の合わせ方をしにくくする原因となる骨格的変化である。この変化の漸進と、ハ行子音の〔p〕→〔F〕→〔h〕の変化とは平行しており、次に述べる〔w〕子音の脱落も、発音機構の変化としては全く同一の原因によってひき起こされている。)

日本語の"唇音退化"とその原因
https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2012-10-19-1.html

 

 要は骨格の変化に伴う下顎骨の変化が唇音退化をもたらしたという内容の仮説です。


 今回、これが成立するメカニズムを具体的に考えてみました。

 まず、パ行を発音するのに口唇閉鎖機能が必要となります。口唇閉鎖機能とは唇を閉じる力のことで、機能が低下すると口唇音(マ行、パ行、バ行)の発音に障害が生じます。

 弥生時代以降、日本人の下顎が小さく弱っていきます。この原因としてはコメなどの柔らかい食べ物を食べるようになった為と考えられています。



 下顎が小さくなって後退した結果、どういう変化が起こるでしょうか。下記の論文から推測してみました。


 すなわち、最大舌圧に対して口唇閉鎖力が大きいほど上顎骨に対して下顎骨が前方で、下顎前歯が舌側に傾斜していることが示された。

口唇閉鎖力、舌圧と顎顔面形態の関連性についてhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/sgf/19/1/19_40/_pdf/-char/en


 一つ前の引用文に戻りますが、"弥生式時代以降、下顎が後に退き、相対的に上歯が前方に出る傾向がある"そうです。下顎が後方にあるというのは最大舌圧に対して口唇閉鎖力が小さい状態であることが仮定できるのではないでしょうか。"上歯が前方に出る傾向がある"というのは舌圧が強く、舌が上の前歯を押す傾向にあったのではないでしょうか。これは何でそうなるかと言うと、顎の大きさに対する適切な舌圧があるのではないかと推測しています。

 この傾向が進むことで口唇閉鎖機能が徐々に低下してゆき、それに際し、パからファに、ファからハに、似たような音で発音しやすいものへと無意識的に変化したのではないでしょうか。昔の文字情報は現代のように音声ファイルを聴かせてくれる訳ではないので、口伝が徐々に変化していったのではないしょうか。



 以上が私の想像した日本語の唇音退化のメカニズムです。



↓↓↓補足↓↓↓










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 終わり






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