【映画レビュー】緊迫の会話劇が魅力のサスペンス『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』
過去の未解決事件に振り回される二人の男の物語。実業家のアドリアーノは、愛人の死体が見つかり殺人容疑をかけられてしまうことに。絶体絶命の状況に追い込まれた彼は、負け知らずの敏腕弁護士ヴァージニアを雇う。ヴァージニアは、アドリアーノの無罪を証明するため、彼との心理戦を繰り広げるが、アドリアーノは何かを隠しているようで…。
本作の一番の見どころは、なんといっても弁護士と容疑者の心理戦だろう。ヴァージニアは、巧みな質問と鋭い洞察力で、アドリアーノの心の奥底にある闇を暴き出していく。特に、過去の交通事故に関するエピソードは、アドリアーノの心の闇を浮き彫りにするかのようだった。
本作を観て、私は人間の心の奥深さを改めて感じた。アドリアーノは、成功を手に入れたにも関わらず、過去の過ちに苦しみ続ける人物。彼は、自分の犯した罪を隠すために、嘘を重ねていくものの、ヴァージニアの鋭い質問によって、その嘘は一つ一つ剥がされていき、最終的には何もかも失ってしまうのだ。
一方、ヴァージニアもまた、完璧な人間ではない。彼女は、依頼人の無罪を証明することに全力を尽くすが、その裏には自身の野心や名声欲も垣間見える。二人の登場人物の複雑な心理描写が、この映画をより深く、そして面白くしていると感じた。
個人的には、弁護士と容疑者の心理戦、美しい映像、そして人間の心の闇を描いた重厚なストーリーなど、見どころ満載の作品であった。