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【映画レビュー】水中世界が描く愛と希望『シェイプ・オブ・ウォーター』
1962年の冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で働く、言葉の不自由な女性・イライザはある日、研究所に運び込まれた謎の生物と出会う。言葉は通じないけれど、心は通じ合う。謎の生物との出会いが、彼女の平凡な日々を一変させる。
この映画で最も心を打たれたのは、イライザと生物の純粋な愛情だ。言葉を超えた彼らの交流は、まるで静かな湖面に映る月のように美しく、そして力強かった。サリー・ホーキンスの繊細な演技は、言葉がなくても感情を伝えてくる。彼女の表情一つ一つに、喜び、悲しみ、そして愛が溢れている。
マイケル・シャノン演じるストリックランドの冷酷な姿も印象的だ。彼の存在が、イライザと生物の愛を際立たせている。そして、オクタビア・スペンサー演じるゼルダやリチャード・ジェンキンス演じるジャイルズの存在が、イライザを温かく見守っている。彼らの友情は、この物語に温もりを与えている。
社会の差別や偏見、そして人間の本質を描いた本作。イライザと生物の関係は、外見や背景が違う者同士の愛の物語だ。同時に、自分と異なる存在を受け入れることの大切さを教えてくれる、心に深く残る作品でもある。観終わった後、きっとあなたの心にも何かが生まれるだろう。