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『マリッジ・ストーリー』アダム・ドライバーに共感しすぎた週末

『マリッジ・ストーリー』、観終わった後、しばらく放心状態でした。アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンの演技が本当に素晴らしくて、胸を締め付けられるような感覚がずっと残っているんです。

物語は、舞台演出家のチャーリーと女優のニコール、二人の離婚調停を中心に展開されます。冒頭は二人がお互いの好きなところを語るシーンから始まるのですが、これがもう切なくて…。お互いを深く愛していたからこその言葉の数々が、その後の展開を知っているだけに、余計に胸に突き刺さります。

ニューヨークとロサンゼルス、それぞれの場所で弁護士を立て、どんどん事態が悪化していく様子は、まるでドキュメンタリーを見ているようでした。特に、子供の親権を巡る争いは、見ていて本当に辛かったです。どちらも子供のことを大切に思っているのに、弁護士を介することで、お互いのエゴや意地がぶつかり合ってしまう。

アダム・ドライバー演じるチャーリーは、才能に溢れ、どこか子供っぽさが残る男性。ニューヨークを拠点に舞台演出に情熱を注ぐ彼にとって、ロサンゼルスで女優として活躍したいニコールとの間に、少しずつ溝が生まれていくのは必然だったのかもしれません。

一方、スカーレット・ヨハンソン演じるニコールは、チャーリーの才能を認めつつも、彼の陰に隠れてしまっている自分に葛藤を抱えています。新しい環境で自分自身を見つけようとする彼女の姿は、多くの女性が共感できるのではないでしょうか。

映画全体を通して、二人の感情が繊細に描かれていて、観ているこちらも感情移入せずにはいられません。特に、激しい言い争いのシーンは圧巻。二人の演技があまりにもリアルで、まるで本当に夫婦喧嘩を目の当たりにしているような感覚に陥りました。

ネタバレになりますが、ラストシーンでニコールがチャーリーの靴紐を結んであげる場面は、涙なしには見られませんでした。離婚という形で終わってしまっても、二人の間には確かに愛があった。そう思わせてくれる、希望の光のようなシーンでした。

この映画は、単なる離婚劇ではありません。愛、家族、自己実現…様々なテーマが詰まっていて、観る人によって様々な解釈ができる作品だと思います。ぜひ、ご自身の目で確かめてみてください。きっと、心に深く残る何かがあるはずです。

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