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埋もれた文学

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世界のどこか片隅に漂う文学の欠片です。拾い集めた方は大切に心に梱包していただけますと幸いです。
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祈りと文学についての小文

 言葉は祈りだ。言葉を紡ぐ行為は祈りを捧げる行為に近しい。だからこそ、自分の言葉を紡ぎあげて作る文学は心の砦なのだ。個人の最終防壁ライン。僕が紡ぐ言葉で築き上げられた砦だけは誰にも譲ってはいけない。自分で大切に守り切らなければいけない。
 文学が失われる時、心も失われる。例え社会が求める「普通」に反してでも、僕は祈りを辞めてはいけない。

メモリリウム

充電切れ。
脇腹にコードを差し込まなければ。体の側面に開いた二つの穴から僕の何かが漏れていく感覚がする。それはやる気なのか、髄液のようなものなのか、はたまたエーテル的なものなのか。

充電が切れる。電気羊の声がする。
「バッテリーを交換してください。あるいは代替案として、あなたが現在使用している海馬をサブスクリプション契約に変えることをお勧めいたします。あと2週間で無料トライアル期間が終了いたしま

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