(5)〝デジ力〟の前に〝読書の筋力〟―「よく読む子」に育つ5歳頃からの本好き大作戦 ~図書館利用編~
さて、10冊の本を借りて一週間もするといろいろ見えてくることがあると思います。
もし〈B郡〉〈C郡〉の本をあまり読んでいないようであれば、必ず一冊につき一回は一緒に読んであげて、興味、反応について少し観察してみてください。
まったく興味がなさそうだな・・・と思えば、その本についてはひとまず諦めます。
そして返却期限の数日前に、一度子どもと「総括の時間」をつくりましょう。
〈返却前に「総括の時間」で感想を聞きましょう〉
私は当時5歳の長女と過ごすこの「総括の時間」が大好きでした。
難しいものではなく、簡単に言うと子どもへのインタビューなのですが、「こんな感想があるんだ」とか、「意外とこういうのが好きなんだ」とか、子どもの心がいろいろ見えて楽しいものです。
読書って、心の文化だと思います。
だから、突き詰めると子どもに「あなたの心を教えて」と触れさせてもらうような気持ちです。
子どもにとっても30分から1時間程度、パパ、ママと本を通してたっぷり触れ合うことができるので、豊かな時間になるなんじゃないかな・・・と思います…ので、お膝に抱っこしたり、スキンシップしながら、笑顔でお願いします!
具体的にはまず、次のことを聞いてみましょう。
「どの本がいちばんおもしろかった?」
「これ!」という本が出てきたら、「どんなところが好きなの?」と優しく質問。
しつこくしたり、詰め寄ったりはNGですが、この聞き取りには重要な意味があります。
例えばクイズの本を気に入ったようでも、詳しく聞くと実はその中のたった見開き2ページの「迷路」がお気に入りだったとか、そういう子どもらしいオチがあることも…。
なので、もし迷路が気に入ったのなら、次回は迷路がメインの本を借りてあげることができます。
こんなふうにして、「じゃあ2番目は?」「3番目は?」・・・と楽しく聞き取りしながら、子どもがノってきたら、
「じゃあこの10冊を好きな順番に並べてみてくれる?」というようにランキングをつけてもらえたらベストです。
子どもは順番をつけたり、並べたりするのが好きなので、けっこう楽しんで取り組んでくれるかもしれません。
ただ、子どもによっては「ランキング」が難しい場合もありますので、その時はパッと切り替えて、「じゃあ…好きだなって思うのを何冊か教えて」程度でいいと思います。
〈10冊のランキングからまた会話を広げましょう〉
もし、うまい具合にランキングが決まったら、上位5冊くらいはできる限りていねいに聞き取りを。
6位、7位も子どもなりの「苦渋の決断」で下位になっている可能性もありますから、優しく話を聞いてあげてください。
反対に9位や10位については、「これはあんまりおもしろくなかった?」と聞いて、「うん」と言えば次回から似た内容の本は要らないでしょう。
子どもは「おもしろくない理由」を話すのは不得意。おもしろくないものはおもしろくないので、そこらへんはあまり突っ込まなくていいと思います。
おもしろかったとしても、本の感想をうまく言葉にできない子どももいるので、この「総括」に飽き始めている様子なら適当なところで切り上げたほうがベター(その代わり、普段からどの本を積極的に手に取っているか見ていてあげてくださいね)。
「ねえ、もっとちゃんと教えて!」などと詰め寄ると、「毎回これを聞かれるのかな?」とネガティブなイメージを抱いてしまうかもしれないので、これはお子さんの反応を見ながら適度なさじ加減でやってみてください。
あくまでも、楽しく!
〈好きなジャンル・傾向が見えたら第一歩は成功!〉
さて、こうやって聞き取りをしているうちに、子どもの好きな本のジャンル・傾向が見えてくるので、この情報を2回目の図書館でフル活用します。
さあ、ここからが本番です。1回でやめるのなんてもったいない!
ちなみにうちの長女の場合は、私が期待した〈C郡〉の2冊はほとんど興味を示さなかったので、このジャンルは諦めました。
諦めも肝心です。
〈A郡〉は読んで当たり前なので、〈B郡〉について観察しましたが、放っておいても読んではいました。
そこで、さらっと何冊かの感想を確認したところ、おじさん探偵の本がおもしろいとのこと。
そこで私も真剣に読んでみたのですが、これがなかなか興味深く、〈事件篇〉と〈解決篇〉に分かれているうえ、解決のヒントもしっかり〈事件篇〉に示されていて、読み応えのある内容。
一見、絵が多くて絵本のようですが、内容は文章をしっかり読まなければわからない。「あ、いいな」と思いました。
シリーズもので他にも数冊出ていることがわかり、「次に図書館に行った時もう一冊借りてみる?」と聞いたところ、「借りたい!」と好反応だったので、これで次回の一冊は決まりです。
また、やはりクイズや謎解きが好きそうなので、絵と文章のバランスが同程度の他の探偵ものも借りることに。
また、料理好きな女の子の冒険ファンタジーや、迷路とクイズも楽しく読んでいたので、このジャンルも継続することにしました。
クイズの本は「文章を読む」要素はほぼありませんが、そういう本が混ざっていてももちろんOK。
この段階では、「本が楽しい」「図書館が楽しい」という印象付けが大事ですから。
〈「好き」をググっ!と広げてワクワクが増える仕掛けを〉
こうして子どもの好きな本のジャンル・傾向がわかってきたら、そこをググッと広げて、次回は好きな本ばかりを借りてあげましょう。似たような本が重なっても大丈夫。
うまくいくとこの2週間の経験で、前回の〈A郡〉にあったような、これまで何度も読んでいた絵本類を卒業しかける子がいるかもしれません(本人が望めばもちろん何度借りてもOK)。
そしてパパ、ママと一緒に選んだ〈B郡〉の良さがわかるようなら、そこを張り切って広げましょう。
親から見て素晴らしいジャンル・本でなくていいんです!
それなりでいいんです!
ただ、親が〈C郡〉にまだ期待したいのなら、引き続き2冊くらいは入れてもいいと思います。
とにかく、子どもの好きなジャンルを広げて、そういう本をどんどん借りてあげましょう。
そう、この図書館通い、本好き大作戦の最大の特長は、その時々で子どもが気に入った本を漫然と借りるのではなく、「行くたびに子どもの好きな本が増えていく」というところなんです。
つづきます。
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(6)〝デジ力〟の前に〝読書の筋力〟―「よく読む子」に育つ5歳頃からの本好き大作戦 ~図書館利用編~|涼原永美 (note.com)