vol.18【note創作大賞2023 存在の耐えられない愛おしさ】を読みました…
note主催 創作大賞2023
(メディアワークス文庫賞)を受賞した作品
存在の耐えられない愛おしさ
(著:伊藤亜和)株式会社KADOKAWAを読みました。
1.歴史小説家・今村翔吾先生の影響…
読むキッカケは、私の尊敬する方が
この本を読んでいたことでした。
普段私が読むのは、仕事関連以外では、
ミステリー、歴史小説、漫画あたりが
多く、エッセイを読む機会はあまり
多くはありません。
子供の頃は、漫画の割合がほぼ100%
でしたが、最近は、めっきりと読みたい
漫画も少なくなってしまいました。
歴史小説は、完全に今村翔吾先生の影響です。
「塞王の楯」の余韻が凄く、近々映画
公開予定の「イクサガミ」も買って読んで
しまい、とうとう最近では、司馬遼太郎の
「燃えよ剣」が積読されている状態に
なっています。
(数年前の自分では考えられない…)
2.帯で本を選ぶこともある…
本屋に行くと、タレントさんや、最近だと
YouTuberの方のエッセイっぽいものが
目立つところに陳列されているのですが、
「○○さんの本が出てる、読みたい!」
ということには全くなりません。
エッセイは誰かに薦められないと、
読まないジャンルだと言えます。
しかし、この本には帯に著名人の方の
名前がずらりと並んでいました。
ジェーン・スーさん、糸井重里さん、
シソンヌのじろうさん、漫画家の森恒二先生。
私の好きな方ばかりがおススメしているので、
これは読んでみないと、という気に
なりました。
(森先生は著者の伊藤さんに、本の執筆を
するべきだと進言されていたことも、
作中で書かれていました。)
3.ムスリムの父と豚肉
見開きに伊藤亜和さんのプロフィールが
載っています。
これだけだと、ワクワク感は特にありません。
1ページ目がこのようなスタート。
「面白そう!」
となり、読み進める事が出来ました。
作品は、22個の小見出しがありますが、
基本的に地続きで繋がっています。
「ブタニク」では、小さい頃に豚肉が嫌い
だったエピソードが書かれています。
ムスリムの父がいるので、食卓に豚肉が
存在しないが、給食では強制的に食べさせ
られるのが地獄だったというお話です。
両親の離婚後、定期的に行われる、父、
母、弟と外食に行ったときの父からの、
この一言。
離婚後は日本人の母と一緒に暮らし、
父とは離れて暮らしていたので、カツサンド
などの豚肉の入った食べ物も多くの日本人と
同様に普通に食べるようになっていたが、
父の一言で、店員さんにお肉を取り換え
られたお話でもありました。
e-startという政府統計ポータルサイトに
よると、2022年の夫婦の一方が外国人の
婚姻件数は17,685人となっています。
夫妻とも日本人の婚姻数が487,245人なので、
全体の3.5%の割合。
結構多いんだなという印象。
宗教の問題は、食事にも影響するのだと
この本を読んで改めて実感しました。
4.「共感」できなくても驚きはある…
この本で一番印象的なのは、伊藤さんの
祖母です。
「山男とじょっぱり女、ときどき、
あやしい孫」という見出しで
全部で5つ書かれています。
1つ目のエピソードで強烈なインパクトの
祖母が登場し、もっと生々しいことが
読みやすく、丁寧に書かれています。
5つ目のエピソードでは、伊藤さんが
このように思う場面が書かれています。
祖母との1つ目のエピソードにしても
5つ目にしても、
「共感できる」というよりも、
「そういう捉え方があるのか」という
著者に対する驚きの方が大きかったように
思います。
5.嫌味な所がない…
『尊敬している人が読んでいた本』という
ことで読み始めましたが、作中に著名人が
登場するなど、随所に著者の凄さが書かれて
いるのですが、何も嫌味な所もなく、確かに
この文章は読みやすいし、引き込まれるなと
感じました。
知らない人のエッセイも、1ページ目を読んで
面白ければ、買って、そのまま続けて
読んでみるのもいいですし、自分の好きな人、
尊敬する人がおススメしている、ということ
だけで読み始めるのもたまには良いかなと
思いました。